妊娠・出産・育児の情報サイト

【3753人にアンケート】子育ての常識は昔と今で変化する!妊娠・出産・育児の「戸惑ったアドバイス」ランキング

今回のテーマは「妊娠・出産・育児にアドバイスされて戸惑ったこと」です。妊娠中や赤ちゃんを育てているときに、まわりから自信たっぷりにアドバイスされて戸惑った経験をアンケート調査しました。妊娠・出産・育児の方法は、時代によって変わっていきます。昔は当たり前だったけれど、今では違っていることもたくさん。驚いたアドバイスランキングTOP10と、助産師さんに聞いた「今では正しくない理由」をご紹介します。

今回のテーマは…

今と昔の「常識」の変化

※記事内のデータ・コメントは「ゼクシィBaby会員」3753人が回答したアンケートによるものです(2022年11月実施・妊婦さんと0カ月~2歳までのお子さんをお持ちのママ3753人が回答)。

誰にアドバイスされた?

親世代はつい助言。祖父母世代は昔すぎてあまり口出ししない傾向

Q.誰にアドバイスされましたか?

ママの親 24.4%
パパの親 13.7%
ママパパの祖父母 8.3%

言われた相手はママの親が一番多く、パパの親、祖父母と続きます。親に悪気はなく自分の時の経験から、子どものためにとアドバイスしているようす。祖父母の育児は昔すぎて、「さすがに当時と今は違うのだろう」と思うのか、あまり口を出さないケースも多いようです。

“「えっ!ほんと?」と思ったアドバイス”ランキング

昔と今で「常識」はこんなに変化している

昔の「常識」をはじめたくさんの迷信やジンクスについての体験談が集まりました。
1位から順に、助産師・看護師・保健師の岸本志織さんが解説します。

1位 ●●でおなかの赤ちゃんの性別がわかる

笑顔 赤

お腹が前に突き出すような膨らみだと男の子。横に広がって膨らむと女の子。肉が無性に食べたくなると男の子、甘い物を食べたくなると女の子だと言われました。(E.Hさん)

笑顔 黄色

ママの顔がキツくなると男の子、優しくなると女の子だと言われて、母に「絶対男の子よ」と断言されました。(Yさん)

「おなかの出方は、妊婦さんの骨盤の形や姿勢、体形、赤ちゃんの位置などによって変わります。嗜好の変化も、第一子、第二子で異なることもあるし、個人差もあってさまざま。科学的根拠はなく、あくまでも迷信と考えてください。私も『男の子ママっぽい』と言われて、関係ないとわかっていながらも『顔がキツくなった?』なんて考えてしまいました。人によってはデリケートな話題にもなりますので、妊婦さんに向かって子供の性別を当てるような話はあまり言わない方がいいと思います」

2位 泣いてすぐ抱っこすると抱き癖がつく

泣き 黄

夫の実家で、夫の祖母に「抱き癖がつくから、すぐに抱き上げては駄目!」と言われて困りました。(カピさん)

笑顔 青

抱き癖がつくよと親に言われましたが、今の子育てでは、いっぱい抱いた方がいいらしいよと返しました。(みねこさん)

「赤ちゃんは抱っこしてもらうことで安心や信頼感を覚えて、情緒が安定します。泣いたときにすぐに声掛けや抱っこで応えてあげることで信頼関係が形成されます。また、抱っこすると幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが赤ちゃんにも抱っこしている人にも出ると言われています。もし、親や祖父母世代に抱っこ癖と言われたら、逆に『赤ちゃんは抱っこが大好きなんだよ』と話して抱っこしてもらいましょう。身近な人との抱っこやスキンシップで赤ちゃんと家族の信頼関係を築いてください」

3位 沐浴の後は白湯を飲ませるべき

慎重 赤

今は母乳だけで大丈夫と伝えても、母に何度も「本当に白湯はいらないの?」と聞かれました。(さーしゃさん)

慎重 緑

夫の母に必要ないと話したけれど、お風呂上がりに湯冷ましが用意されていました。(mimiさん)

「沐浴後に水分補給は必要なので、半分当たってはいます。ただ、栄養がないただのお湯よりも母乳やミルクをしっかり飲ませましょう。基本的に、離乳食が始まるまでの赤ちゃんにとっては、母乳やミルクが最適な栄養源、水分源となります。白湯や麦茶などは、離乳食が開始してからを目安としましょう」

4位 妊娠中は2人分食べて

笑顔 青

吐きつわりで辛いとき、母にお腹の赤ちゃんの分までしっかり栄養を摂りなさいと言われました。(あっちゃんさん)

泣き 黄

医師から体重管理するよう言われていたのに、母に何度も「2人分食べなさい!」と言われてケンカになりました。(まりさん)

「2人分食べる必要はありません。体重の増えすぎは、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、難産などのリスクが高まることもあります。反面、痩せ妊婦の増加も問題になっています。痩せた体格で出産すると低出生体重児のリスクが高まるといわれており、実際に、最近では低出生体重児が増加しています。低出生体重児は、出生後にも医療的ケアが必要となる場合も多く、また発育・発達の遅延や障害、 成人後も含めた健康に係るリスクが大きいことが指摘されています。かかりつけの産婦人科の医師や助産師の指導をもとに、バランスのよい食事で、ご自身の体格に合わせた適正な体重増加を目指しましょう」

5位 無痛分娩は痛みを感じないので愛情が薄くなる

微笑み 青

無痛分娩予定だが父親に「痛みがある自然分娩の方がいいんじゃないか」と言われました。(RSさん)

泣き 黄

「無痛分娩は痛みを伴わないので、子供に愛情が湧きにくい」と親に反対されました。(コテツさん)

「出産時の痛みと愛情に相関関係はありません。愛情は痛みによって生まれるものではなく、赤ちゃんの存在そのものに生まれるものです」

6位 妊娠中に寿司、刺身など生ものを食べても問題ない

笑顔 赤

お寿司やコーヒーなど食べるものを制限していたら、夫の家族に「気にしすぎ、何でも食べた方がいい」と言われました。(SOさん)

笑顔 黄色

母に「自分が妊娠中は、お寿司食べていたよ」と聞いてとても食べたくなりました。(たまごさん)

「生ものが完全にダメというわけではありません。妊娠中は抵抗力も落ちているので、食中毒や体調不良になりやすい状況です。下痢・嘔吐で脱水症状になった場合は、赤ちゃんにも影響が出ることも。
加熱殺菌されていないナチュラルチーズや、生ハム、サーモンなどは、リステリア食中毒のリスクがあるので、食品の選択には気を付けましょう。
また、魚は良質なタンパク質やDHA、EPAを多く含み、バランスのよい食事には欠かせないものでありますが、マグロなど水銀濃度が高い水産物を極端に摂取し過ぎると、おなかの赤ちゃんの生育に影響が出る可能性があるとも言われています。厚生労働省が出している『妊産婦のための食生活指針』をチェックしておきましょう。
生ものは禁止ではないので、食べたい場合は指針に沿った量なら問題ないですし、親や祖父母から勧められて自分が食べたくないときは、『今は抵抗力が落ちているのでやめておくね』と話せば円満に断ることができるでしょう」

7位 生後1~3カ月で果汁を与えて

微笑み 青

帰省した時に、「もう3カ月なら果汁を飲ませないと!」と何度も言われました。(みくさん)

「昔は粉ミルクにビタミンを配合できなかったため、ビタミン不足防止目的で果汁を飲ませていたという経緯があります。母乳やミルクにはビタミン等も含まれているので栄養として十分。果汁を与えるのは、離乳食を開始してからにしましょう。『生後6カ月未満の赤ちゃんにとって、果汁は母乳や粉ミルクよりも栄養学的に劣る』という調査報告もあります。※アメリカ小児科学会 こどもに果汁を与えるリスクと適切な摂取方法についての勧告 2001」

8位 つわりは病気じゃない

泣き 黄

つわりで吐き気がひどく起きているのもつらいときに、母に「妊娠は病気じゃないんだから、きちんと家事をやりなさい」と言われて悲しくなりました。(SUUさん)

「確かに病気ではなく症状ですが、とてもつらいもの!個人差が大きいので、自分のものさしであれこれ言われるとつらいですよね。第一子、二子でも変わるし、食べづわり、吐きづわり、眠りづわり……など症状もさまざまです。本人の訴えを尊重して、周りの人は労わってほしいと思います。そして、妊娠重症悪阻となると病気になります。自己判断せず、日常生活に支障が出たり、症状が重いときはかかりつけの産婦人科で相談してください」

9位 背伸びしたらへその緒が巻き付く

微笑み 青

高いところにあるものを取ろうとしていたら、母が大声を出して驚きました。(ミチルさん)

「背伸びによってへその緒が巻き付くなんてことはありません。むしろ、おなかが伸びて子宮が広くなるのは赤ちゃんにとって快適なことです。今、スマホ姿勢の妊婦さんはおなか縮こまりがちです。へその緒が巻き付くのは、いろいろな因子があるので断定は難しいですが、高いところにあるものを取る、重たいものを持ち上げるといった行動は腹圧がかかりやすかったり、転倒の危険性もあったりするので避けたほうがよいでしょう」

10位 帝王切開は楽なお産

泣き 黄

逆子で帝王切開だったのですが、手術当日に母からのLINEで『出産頑張って』と来た後に『帝王切開は頑張らないか』とLINEが来ました。(n.nさん)

「帝王切開も経腟分娩もどちらも立派なお産。帝王切開は、身体的には経腟分娩の二倍のダメージを受けるとも言われています。決して楽なお産ではないですし、そもそもお産に楽なんてありません。赤ちゃんが、ママの命と自分の命を守るべく、必ずどちらかの方法で生まれてきます。赤ちゃんと自分を信じて、どんなお産でも受容できたらよいですね」

この記事のまとめ

昔の常識は受け流すか、医師の考えを伝えて

親や祖父母は、ママや赤ちゃんが心配で昔の常識や自分の時の体験談を話しているのかもしれません。あまり必要でないアドバイスは受け流し、困った時は医師に相談して「今はこうなんだって」と話すとよいでしょう。

合わせて読みたい

【助産師監修】【母親学級・両親学級特集】今さら聞けない?お産の噂に一問一答でこたえます 最終回、第5回目は、お産にまつわる噂について。特に初めてのお産のときはどうしても気になってしまう様々な体験談や噂話…。しかし中には本当かどうか…
構成・文/
竹本紗梨
イラスト/
深川優
監修/
岸本志織(助産師、看護師、保健師。総合周産期母子医療センター、産科病院勤務を経て、さまざまなお産や産後のケースに関わる。現在は、フリーランス助産師として、産婦人科クリニック勤務や難病小児訪問看護、産前産後の訪問ケアやオンライン相談を行い、個人サロンでは、ベビーマッサージ教室やオイルマッサージの施術を展開。)