【医師監修】妊娠しても続けて良い運動、控えたほうが良い運動
妊娠中の体重管理においてもやっぱり気になる、妊婦は運動してもいいのか、やるのであれば、どんな運動がいいのか、という疑問。もともと運動する習慣があった人であれば、今まで自分が取り組んできた運動を続けていいのか、という疑問も浮かぶでしょう。妊娠中の運動のメリット、種目、注意点などについて、詳しく解説します。
監修医師
宗田 聡先生
広尾レディース院長
茨城県立医療大学客員教授
医学博士。日本産科婦人科学会認定医・指導医。臨床遺伝学認定医・指導医。筑波大学卒業後、筑波大学講師として臨床・研究・教育に従事。その後、米国ニューイングランドメディカルセンター(NEMC)遺伝医学特別研究員、茨城県周産期センター長(筑波大学産婦人科臨床准教授兼任)などを経て、2012年より広尾レディース院長。東京慈恵会医科大学非常勤講師、筑波大大学院非常勤講師などもつとめる。
妊娠中に運動するメリット・デメリット
体調に問題なければ妊娠中でも運動OK
つわりがおさまって食欲が出てくると、運動もしたいと考える妊婦さんも多いでしょう。もともと運動習慣があった妊婦さんならなおさら、体を動かしたくてうずうず…と感じるかもしれません。
妊娠中に体を動かすことは良いことでもあり、マタニティスポーツに興味がある人は、体調が安定してきたら、主治医に相談。許可がでたら始めましょう。
ちなみにマタニティスポーツについて、「やらなきゃいけないのかな?」「やったほうがいいのかな?」と思う人もいるかもしれません。しかし、マタニティスポーツの基本の考え方としては、妊娠前から運動習慣がある人が、妊娠中も同じような運動を妊娠中も継続することです。元々運動嫌いで全くスポーツをしなかった人が、妊娠中だからといって無理に運動する必要はなく、反対に怪我をする恐れさえあるわけです。運動は、散歩のように体を動かすことで心地いい、という程度でも十分、ということを覚えておきましょう。
妊娠中に運動するメリットは?
適度な運動は、健康維持や増進に役立つと考えられています。妊娠中の運動のメリットは、
・健康と身体機能を増進・維持させることができる
・肥満を予防する
・ストレスを軽減し、リフレッシュ効果が期待できる
などが挙げられます。
反対に、運動するデメリットは?
デメリットとして考えられるのは、誤って転倒や落下をした場合、打撲や骨折、傷などの外傷を負った場合に、治療が難しくなることと、その外傷が引き金となって、胎盤がはがれる早期胎盤剥離などの重大なトラブルが起きる可能性があることです。このため、デメリットの原因を排除するために、妊娠中に行うスポーツは、転倒や落下、打撲などの危険性がない、安全に行えるもの選ぶことが大切です。また、お腹の張りやすい人は早産予防のため安静が一番ですので、主治医から無理しないように指示されているときの運動は絶対にしないようにしましょう。
妊娠中に避けるべき運動・しても良い運動
妊娠中に避けるべきスポーツの条件
避けるべき運動は、下記の条件にあてはまるようなものです。
(1)立ったままの姿勢で長時間を過ごす
(2)落下や転倒など、外傷リスクがある
(3)勝敗があり、競技的性格が強い
(1)は、立ったままの姿勢で長時間いた場合、貧血や立ちくらみを起こしたときに大変です。(2)は、前述のように妊婦さんがケガをすると重大なトラブルになること。(3)も、勝ち負けにこだわるあまり夢中になって、過剰に運動をしてしまう可能性があるからです。
では、妊娠中にしても良い運動とは?
いわゆる有酸素運動。全身を動かし、呼吸を止めずに行うウォーキング、水泳、エアロビクスなどです。これらは安全な場所で行えば怪我をするリスクが低く、勝敗もないので、妊娠中でも安心して行うことができます。
こんなときは運動NG!
休むべきときは必ず休む
一般的には、妊娠15週~20週くらいから運動を始める妊婦さんが多いようですが、いつまでできるかについては特に制限はなく、体調さえ安定していれば臨月まで続けることができます。しかし、妊娠中の体はいつ何が起こってもおかしくはないので、以下に挙げるようなサインが現れたら、必ず中止し、主治医の診察を受けましょう。
コラム
運動をしてはいけないのはこんなとき
・おなかの張りを感じるとき
・出血がみられるとき
・切迫流産や切迫早産の兆候がある、と指摘されたとき
・妊娠糖尿病の発症や胎盤位置が低い、胎児の状態が良くない、など妊娠経過の異常を指摘されたとき
・子宮口開大やおなかの赤ちゃんが下がってくるなどお産の兆候が見られるとき
運動で妊娠生活にメリハリを
運動は、妊娠中の健康維持や気分転換など、大きなメリットがあり、生活にもメリハリを与えてくれます。教室などに通えば妊婦の友達もできたりと、楽しいひと時となるでしょう。
また、運動の強度は上げすぎず、自分自身が心地よい、と感じる程度にするのが理想です。頑張りすぎは禁物、と心にとどめながら取り組みましょう。
この記事のまとめ
ウォーキングや水泳などの有酸素運動を心地よい範囲で
妊娠中の運動は、健康維持の観点からメリットが多いものです。しかし元々運動習慣のない人が無理をする必要はありません。妊娠中に行ってよい運動は、ウォーキングや水泳などの有酸素運動。反対にやってはいけないのは、外傷(ケガ)をする恐れのある運動です。また、行ってよい運動でも、体調に変化があるときは必ず休み、主治医の診察を受けるようにすることが大切です。楽しみながら心地よい範囲でとどめるようにしましょう。
- 構成・文/
- 秋田恭子
- イラスト/
- 山村真代
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