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【医師監修】妊娠中に風邪をひいた。市販薬を飲んでOK?

妊婦さんであっても、風邪をひかない、という保証はどこにもありませんよね…。妊娠中の風邪では、風邪薬は飲んでもいいのか、つらい症状でも薬なしで我慢しなければならないのか、飲める薬はあるのかなどについて、詳しく解説します。

監修医師

宗田 聡先生

広尾レディース院長
茨城県立医療大学客員教授

医学博士。日本産科婦人科学会認定医・指導医。臨床遺伝学認定医・指導医。筑波大学卒業後、筑波大学講師として臨床・研究・教育に従事。その後、米国ニューイングランドメディカルセンター(NEMC)遺伝医学特別研究員、茨城県周産期センター長(筑波大学産婦人科臨床准教授兼任)などを経て、2012年より広尾レディース院長。東京慈恵会医科大学非常勤講師、筑波大大学院非常勤講師などもつとめる。

妊娠中の風邪症状。市販薬を自己判断で飲むのはNG

妊娠中に絶対安全、と言い切れる薬はあまりない

つらい頭痛、発熱、鼻水、咳…。妊娠中に風邪の症状に悩まされているけど、仕事も休めない。そんなときに風邪薬が飲めたらちょっとは楽になるのに…。そう思ってしまう人もいるでしょう。しかし、大前提として、妊娠中に自己判断で薬を服用するのはNGです。なぜなら、妊婦やおなかの赤ちゃんに対して安全性が確立されている薬は、本当にごくわずかだからです。

市販の風邪薬、解熱剤なども避ける

多くの風邪は、ウイルスによって起こります。残念ながら、ウイルスによる風邪に特効薬はなく、抗生剤も効きません。そのため咳や鼻水などそれぞれの症状に合わせた対症療法が基本となるのですが、市販の風邪薬では、複数の症状に対応するさまざまな成分が含まれており、中には赤ちゃんへの影響が疑われるものも含まれている可能性が高いのです。

また、解熱剤の自己判断での使用は特に注意が必要で、妊娠後期では、一部の解熱剤がおなかの赤ちゃんへの重大な影響を与えることが分かっているのです。

コラム

知っておきたい。妊娠初期は赤ちゃんの器官形成期

妊娠初期は、赤ちゃんの「器官形成期」と言って、からだのあらゆる器官が形作られている大切な時期。妊娠4~12週までは薬の影響を最も受けやく、特に注意が必要です。また、妊娠に気づく前に飲んだ薬は、その時期や成分などによって影響は異なります。心配な人は飲んだ薬を主治医に持参して相談しましょう。

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【出典/くすりの適正使用協議会「妊娠・授乳とくすり」】

風邪症状の際には妊婦であることを伝えて内科を受診

薬がだめなら風邪を引いたときはどうしたらいい?

妊娠中に風邪をひいてしまったら、できるだけ薬には頼らず、安静にしておく、ということが基本の対応となります。発熱がつらければ冷やし、脱水に気を付けて水分を十分にとります。病院を受診する場合は、肺炎など他の注意すべき疾患との鑑別が必要なので、内科を受診するようにします。受診する際の注意点として、事前に妊娠していることを伝えましょう。また、37.5℃以上の発熱が2日以上続く、強いだるさ(倦怠感)、息苦しさ(呼吸困難)がある場合は、感染症の可能性を考慮し、まずは電話で受診先について相談することが肝心です。

風邪はひかないように予防することが大切

ていねいな手洗いと人ごみを避けて風邪予防

これまで述べてきた理由の通り、なかなか薬が使えず、さらには対症療法が中心となるので、妊娠中は風邪をひかないように予防を心がけることが大切です。風邪予防に最も効果的なのは、手洗い。外出から戻ってきたとき、調理をする前、食事をする前など、ていねいに時間をかけて手を洗うようにしましょう。

また、不要不急の場合をのぞいて、なるべく人ごみの中に出かけない、ということも大切になります。風邪予防に諸説あるマスクですが、顔面に風邪ウイルスを付着させない、という目的においては、一定の予防効果を発揮するでしょう。

免疫力アップで薬に頼らない生活を

そのほかに、免疫力を高めるためにより大切になってくるのが、休息と食事を十分にとって、体の抵抗力を高めておくことです。睡眠不足にならないよう夜更かしは控えましょう。寝つきを良くするためには、体調が良いときにはウォーキングなどの適度な運動を行うのがおすすめです。また食事では、抗酸化力の高い野菜をふんだんに取り入れると病気予防に効果があるだけでなく、食物繊維による整腸作用によって、より免疫力アップが期待できます。

妊娠中には風邪はなるべくひかないのが一番。健康に気を付けて、なるべく薬に頼らなくてもいい生活を心がけましょう。

この記事のまとめ

自己判断の風邪薬服用は避け、内科を受診

妊娠中に自己判断で風邪薬を飲むのはNGです。市販の風邪薬の中にはおなかの赤ちゃんに影響を与える成分が含まれている可能性があり、特に妊娠初期は赤ちゃんの器官形成期で注意が必要です。解熱剤の一部は妊娠後期には赤ちゃんに重大な影響を与えるものもあります。風邪をひいたと思ったら、妊娠していることを伝えて内科を受診するようにしましょう。

構成・文/
秋田恭子
イラスト/
山村真代

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