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どうにも涙が止まらない! マタニティーブルーで号泣の夜

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その異常事態は、産後2日目に起こりました。

 

昼間の母子同室を終え、赤ちゃんを新生児室に預けて一息ついた夜10時。

歯磨きをしながらなんとなくテレビをつけると、その日からスタートするドラマをやっていました。ぼんやり眺めているうちに、主人公の出産シーンに。

最初は「へー、偶然だなー」くらいにしか思わなかったのですが、次第に前日の自分と重なり、画面の中で赤ちゃんが生まれた瞬間、主人公と一緒に自分も泣いていました。

泣くといっても感動して涙する、といった可愛らしいものではなく、嗚咽で口の中の歯磨き粉を吸い込んで苦しむ号泣っぷり。

結婚式の両親への手紙でも泣かなかった私が、ドラマで泣くなんて……

歯磨き粉と涙でむせ返りながら、あまりのことに戸惑いました。

 

それを皮切りに、溢れるように感情が湧き上がってきて、様々な記憶がランダムに頭を駆け巡っては涙腺を緩ませます。

一人ぼっちで乗り切った陣痛のこと、家に残してきた上の子のこと、出生体重2400gと小さ目だったこと、小さ目なせいで授乳室で自分の赤ちゃんだけ哺乳量が0gだったこと、それなのにさらに体重が減ってしまったこと、助産師さんの冷たい態度、夫がメールに返信しないこと、姑にかけられた無神経な言葉……

頭では「これは産後のホルモンがそうさせているのだ」と理解しているのに、どうしても涙を止めることができません。

眠らなければ……と少し落ち着いたタイミングで電気を消して布団に入るとまた涙が溢れ、到底眠れない状態に。

そうこうしているうちに、深夜3時。

翌日はまた朝から赤ちゃんのお世話が待っています。


だめだ、一人じゃどうにもできない……!

人に泣いているところを見せないように32年間生きてきましたが、覚悟を決めてナースステーションを訪れ、助けを求めることを決意しました。

消灯後の暗い階段を降りナースステーションに来たものの、誰もいません。

意を決して来たのに…… それだけのことでまた涙が出てきます。

首から下げたフェイスタオルで顔を抑えて立ち尽くしていると、巡回から帰ってきたと思われる看護師さんにびっくりした様子で声をかけられました。

どうしても涙が止まらなくて眠れない、ただそれだけのことを伝えるだけなのに、なかなか声にならなくて焦るやら情けないやら。

 

鼻水と涙を垂れ流しながらオイオイ泣く私に、看護師さんは「マタニティーブルーですよ、よくあることだから大丈夫」と授乳室の暖房を入れてゆっくり話を聞いてくれました。

話をしてみると、私が特に悲しかったのは、二人目で余裕なはずだったのに、母乳も出ないし沐浴の仕方も覚えていない、泣き止ませることすらロクにできない、何一つうまくできない!と思っているからだということがわかりました。

「5年も経ってたらそりゃ忘れるわよぉ。私なんて、1週間で外来と病棟交代したらもうパニックだもん」

看護師さんはそう言って、きわめて明るく私の悩みを笑い飛ばしてくれました。

つられて泣き笑いの私。

「また一から覚えればいいのよ!大丈夫大丈夫!!」

 

そして、「ママが会いに来てくれたよー」と新生児室から娘を連れてきてくれました。

何かを察知したのか、小さな我が子は曇りのない目でじっとこちらを見ていて、その顔に再び涙腺が緩んで、娘を抱いてまた泣きました。


「眠れなかったら眠らなくていいのよ」と看護師さんに見送られ、部屋に帰りました。

単純なもので、ひとしきり話を聞いてもらったことで落ち着いたのか、横になった記憶もないくらいすぐに眠りに落ちたのでした。

 

妊娠出産関連の本には必ず出てくる項目、「マタニティーブルー」。

知識としては知っていましたが、自分には無縁だと思っていました。

実際体験してみると、感情も涙腺も全くコントロールできない、まるで水に溺れたような感じ。

あの時恥を捨ててナースステーションに駆け込んだのは正解だったと思います。

2人目にして、産後のホルモンの威力を実感したのでした。

 

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著者:パカ嫁
年齢:33歳
子どもの年齢:5歳と0歳

5歳と0歳の姉妹の母。ゴリゴリの社畜から専業主婦に華麗なる(?)転身を果たして3年目。オシャレな幼稚園ママたちの中、オタク気質を隠すことに必死な日々。カモフラージュとして始めたお菓子作りとハンドメイドが趣味。現在、尋常ならざる産後の腰痛に悩んでいる。

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