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[小島慶子さん×中野円佳さん対談 第2回] 自覚ナシの1人目、産後クライシス、そして父性が芽生えた2人目――パパの育て方

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元TBSアナウンサーで、現在はタレントやエッセイストなど、マルチに活躍されている小島慶子さんと、女性活用ジャーナリスト/研究者で2人目妊娠中の中野円佳さん(11月初旬に出産)。お2人の旦那様は家事、育児に理解があって協力的だそう。でも最初からそういうわけではなかったとか。どうやって変わってもらったのでしょう。そこにはさまざまな工夫がありました。

 

小島さん:夫は、家事も育児もこなしています。子ども達が小さい頃はテレビディレクターで忙しかったんですけど、自由な社風だったのと、立場的に周りに合わせてもらうことができたのね。「ぼくはお迎えがあるので途中で帰ります」ができる立場でした。でも、本当はいろいろと言われていたみたい。私に愚痴ったことはないので、知りませんでしたが。

 

中野さん:うちの場合は1人目が生まれてもパパという自覚が足りず、土日に新しいことを始めちゃったり…。

 

小島さん:何? 気になる。何を始めたの?

 

中野さん:その話を思い出すだけで、今でも本当にイライラしてきちゃうんですけど(笑)。夫はポリシーとしてゴルフをやらない人だと思っていたのですが、外圧に負けたのかなぜか子供が生まれた年に突然始めたんですよ。しかも接待ゴルフだけならまだしも、その年にはじめたから毎週末、練習に通う。練習でコースに出たりする。「わざわざ子どもが生まれた年にどうして?」って思いました。

でも、2人目を妊娠してからちょっと変わった気がします。今年の春から夏にかけて、私のつわりがけっこう辛くて、土日にはほとんど倒れていたようなときに、夫と長男と2人で過ごしてくれることが格段に増えた気がします。1人目が3歳になっていて「ママが寝てるから、2人で○○しようか」といった対話も成立するので、私がお腹の子に集中して、夫は長男の面倒を見るという担当分けができたように思います。小島さんの旦那さんは、最初から自覚ありました?

 

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小島さん:私たちは第一子の時に、いわゆる「産後クライシス」に陥りました。夫がすねたようになって「慶子は子どもが生まれてから瞳の中のキラキラしたものが消えた。僕に関心を持っていない。変わってしまった」って言われたの。

 

中野さん:「子どもか!」って思いますよね(笑)。

 

小島さん:小さな赤ちゃんを抱いたまま、夫を床に座らせて、夜中に泣きながら説明しました。「あなたはいつまで子どものつもりなのよ! (他界した)お父さんもお母さんも、もうあなたの面倒なんて見ないのよ! 2人でこの子を育てなくちゃいけないの。目を覚まして!」って…。でも、言っている最中に、「これが愛だなあ」とわかったの。子どもができたのでちょっとのことじゃ別れられないし、こんなにエネルギーを割いて、「変わって欲しい」って思うのは愛があるからこそ。「これほどまでして説得するのが愛じゃなかったら何なのよ!」って言ったら、その後ずいぶん変わったように思います。

 

パパと子どもの二人きりの時間が大切

小島さん:2人目が生まれるときには、私はどうしても入院しなくてはいけないから、夫は長男と2人暮らし。クリスマスが近かったので一緒にツリーを出したり、2人で過ごす第一歩が踏み出せたので、それがよかったみたい。

 

中野さん:第二子出産の期間は、どうやったって母と第一子は一緒にいられないから、第一子やパパにとっては自立のチャンスですよね。先日、夫が遅めの夏休みを取ったのですが、私は普通どおりに仕事があったので、家事も送り迎えも全部やってもらいました。「入院中の練習だと思って!」とお願いしましたが、それもあってけっこう意識が変わったみたいです。

 

小島さん:中野さんの旦那さんは、「女はこうあるべき」っていう固定観念があったわけじゃなくて、発想がなかったってことなんですね。 

 

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中野さん:固定観念はないほうです。料理も家事も私より上手ですし、時間があればやります。でも、仕事を犠牲にしてまで子どもの面倒を見るという発想がない。私の実家が近くて、いざとなれば頼めるという状況もあり、「実家に頼めないの?」とさらっと言われたり、子どもが生まれる前は「深夜1時までベビーシッター頼んじゃいけないの?」というような感覚でしたね。

 

小島さん:そんなの無理だよー!

 

中野さん:帰宅が深夜になることが多いので、子供が生まれて数カ月、彼にとっては平日帰ってくると子どもはもう寝ているわけですよね。寝かしつけをするのが私でも親でもベビーシッターさんでも彼にとっては同じ、という感覚なんだと思います。帰って来た時には子どもがかわいく寝ている状態なので。

 

小島さん:それまでが修羅場なのにね…(笑)。

 

中野さん:3年半かかってようやく変わってきました。2人目が生まれたらまた大変になるかもしれませんが。これまでに私が仕事でインタビューしてきた夫婦でも、2人目が生まれて変わったというパパが多いですね。

 

夫婦は、一緒に変わり続けられる関係を目指す

小島さん:第一子が産まれた後に徹夜で話し合ったのをきっかけに、これからはちゃんと話そうと思いました。夫から「正直、慶子は言葉がきついこともあるけど、子どもの育て方や、夫婦の対話など、改善したいまっとうな目的がある。だからなんとか話が聞けるし、共感もできる」と言われたことがあります。「イライラするから顔を見るのもイヤ!」じゃなくて、「顔を見るのもイヤになっちゃうのは、あなたが○○だからよ」と、ちゃんと理由を言えば相手も納得できる。ポジティブなことを目的として話し合ってきたのがよかったのかな。中野さんは、感情的にならなそうだけどどうですか?

 

中野さん:感情的に言いますよ~。でも夫はあまり反応しないタイプなんですよね。私が言っても、どこまで伝わっているかわからずに終わってしまうことが多いんです。だから、気持ちが落ち着いている時に、子どもの面倒を見ながらさらっと「こういうのってすごく大変なんだよねー」と言うほうが効果的かも。

 

小島さん:“平時”に言うのね!

 

中野さん:そうなんです。深刻にならないように。

 

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小島さん:いずれにしても、夫婦って一緒に変われる関係になるしかないよね。それ以外に、家族を維持する方法ってないと思う。子どもは大きくなり、お互いに年を取って働き方も変わるし。手間を惜しまずに、関係を更新していかないと。

 

中野さん:「夫」対「妻」になると、お互いに自分を主張しちゃうけど「子どものためにどうすればいいか」と家族全体で見ることは大切ですね。

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小島慶子

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1972年、オーストラリア生まれ。1995年、TBSにアナウンサーとして入社。2010年にTBSを退社以降、現在はタレント、エッセイストとして活躍。中1と小4の男の子のママ。夫の退職を機に、生活の拠点をオーストラリア・パースに移す。著書にエッセイ『大黒柱マザー』(双葉社)、小説『わたしの神様』(幻冬舎)など。

 

中野円佳

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女性活用ジャーナリスト/研究者。1984年生まれ、東京都出身。東京大学教育学部卒業後、新聞社に入社。育休中に立命館大学大学院先端総合学術研究科に通い、提出した修士論文を『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)として出版。2015年に新聞社を退社後、株式会社チェンジウェーブにて企業のダイバーシティ推進を手がける。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。

撮影/大久保聡 スタイリング/鈴木由里香[中野さん] ヘアメイク/松田美穂(アルール)[小島さん]、得字マキ(ヌーデ)[中野さん] 構成/相馬由子 取材・文/栃尾江美(アバンギャルド)

 

過去記事 

akasugu.fcart.jp