先輩ママからいろいろ情報を仕入れてはいたものの、いざ自分の出産となるとすごく不安でした。
38週の妊婦健診では、すでに推定体重が3,000gを超えており、
「もういつ産まれてもいいね」
との先生からの言葉に、緊張したことを覚えています。
出産2日前
妊娠39週に突入した日の早朝、お腹のハリに気づいて起きました。
安静に過ごすも11時ごろ少量の出血があり、特に体調不良やお腹のハリもなかったのですが、不安になって病院へ電話しました。
「おしるしかもしれないので、不要な外出は控えて。でもすぐにお産にはならないと思うので、来院の必要はない」
と言われたため、そのまま普段通りにご飯を食べたりお風呂へ入ったりと過ごしていました。
しかし再度20時ごろからお腹が痛み出し
「これが陣痛?いや、こんな痛みじゃないはず」
などと考えながら、主人の帰宅を待っていました。
しかし不安で21時過ぎにまた病院へ電話したところ、午前中の電話を申し送りしていてくれたようで、名前を言っただけですぐに対応してくれました。
「おしるしのこともあるし、念のため来院してください。でももしかしたら、一旦帰宅してもらうかも…」
とのことだったので、とりあえず入院荷物などは持たずに病院へ向いました。
病院へ向かう車中、緊張で胸が苦しいくらいでした。
主人がいろいろ話しかけてくれていましたが、まったく耳に入ってきません。
22時ごろ病院到着。すぐに診察を受けるも子宮口は1センチも開いてはいませんでした。
ただ陣痛は来ているとのこと。少し早いですが入院することになりました。
出産前日
主人が入院荷物を取りに一旦帰宅。
病院で1人、不安な時間を過ごしていました。
真夜中を過ぎ、陣痛は来ているものの、なかなか進んでいきません。
午前2時、陣痛は5分おき、子宮口2センチ。
午前6時を過ぎても陣痛は変化なく、子宮口も3センチしか開いていません。
この痛みはいつまで続くんだろう、これからもっと痛くなるのか。
深夜の静かな病院で、主人はいてくれたものの孤独な気持ちでいっぱいでした。
また、そんな気持ちになることさえも、赤ちゃんに対して申し訳ないというか、力強く前向きに出産に臨めていない自分が、情けなくなったりもしました。
朝になり朝食が出ますが、陣痛やお産への不安から食べられず、そのままお昼、夜とほとんど食べ物を口にすることはできませんでした。
夕方頃になると陣痛の痛みもさらに強くなり、主人にテニスボールで腰を押してもらったり、さすってもらったりしました。
助産師さんからは
「歩いて」
とか
「階段昇降して」
とすすめられましたが、陣痛のあまりの痛さにとてもできません。
今思えば、歩いたり階段昇降したりしていればもう少し早く出産できたのかな、と思います。
でもその時はベッドで寝て、陣痛に耐えるだけで精いっぱいでした。
そして19時、陣痛が進まないので促進剤を投与。
これで出産できる!と思いましたが、それからも長かったのです。
21時、LDRへ移動しました。
どんどん痛みの時間が狭まってきます。
分娩への期待と不安もどんどん高まりました。
ここを乗り切れば赤ちゃんに会える!そんな気持ちと、
こんなに痛い陣痛を、私は乗り切れるのか・・・いや無理だ!の繰り返しでした。
もう産めるんですかと助産師さんへ問うと、
「今日中には産まれないかな」
と一言。
あと3時間以上かかるってこと??
私は気が遠くなりました。
それからは人生で一番長い3時間を過ごしました。
主人は最初こそ飲み物をくれたり、話しかけてくれたりしていましたが、あまりにも長い陣痛、それもなくなりつつありました。
ついには持参したDS(ゲーム機)を鞄から取り出した時には、陣痛で辛くて声には出せなかったけれど、絶叫したい気分でした。
そして、
「もうだめだ・・・」
根性なしの私が、あきらめの境地に至ったころ、ようやくお産の準備が始まりました。
助産師さんの宣言通り、24時を過ぎたころでした。
出産当日
お産の準備が終わり、体勢も分娩スタイルになりました。
いよいよ分娩が始まります。
私の勝手なイメージでは、ここからが本番です。
「はい、踏ん張って!」
1回目のいきみ?で、正直、産める自信がなくなりました。
赤ちゃんの頭ってこんなにおおきいんだ、と改めて思いました。
このいきみを何回繰り返せば産めるんだろう、焦りが湧き上がってきます。
「はい、もう1回!」
2回目のいきみ。
もう絶対無理だ・・・私には自然分娩はむりかもしれない。
今からでも帝王切開で産ませてもらったほうがいいかも・・・そう思いました。
でも助産師さんは
「大丈夫、順調だよ。赤ちゃんの頭、これくらい見えてる!」
と、あまりよく覚えていませんが、直径10センチくらいの丸を作って見せてくれました。
「あと少しだよ、はい、頑張って」
3回目。
痛みは感じませんでした。
ただ、ゆっくり赤ちゃんが動いているのを感じました。
「もう頑張らなくていいよ、ゆっくり息を吐いて」
助産師さんの言葉と一緒に、赤ちゃんが産まれてきてくれた感触。
くすぐったいような、何とも言えない感覚。
今でもこれは忘れられません。
こうして私の出産は終わりました。
陣痛はものすごく長く感じましたが、出産はあっという間でした。
実際は十数分はかかっていたはずなので、『あっという間』というのはおかしいかもしれません。
でも私はそう感じました。
あの長い長い陣痛の先に、出産という素晴らしい経験ができたからかもしれません。
著者:すみお
年齢:39歳
子どもの年齢:2歳、5歳
OLを10年勤め、結婚を機に退職。2年間の不妊治療を経て妊娠・出産!現在、イヤイヤ期2歳児と第2次イヤイヤ期5歳児兄弟の育児に奮闘中。
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