子どもができるまで、仕事中心の生活を送っていた私。
妊娠が分かった時、大きな喜びの次にやってきたのは「仕事、大丈夫かな!?」という不安でした。
フリーランスという立場上、自分の代わりがいくらでもいることはよく分かっています。妊娠・出産などで休みを取る場合、他の誰かに引き継がなければいけない可能性があることも…。
それでも、私は、数年間続いている1つの連載企画にだけは関わっていたいと思っていました。
30代後半、子どもに恵まれたら、生活が大きく変わることくらい当然理解していたはず。それなのに、幸運にも授かってみると、仕事のことも考えずにはいられないなんて……。
今思えば、妊娠・出産・育児という未知の世界を前に不安定になっていたのだとは思いますが、当時はそんな自分に対して罪悪感を覚えることもしばしばでした。
仕事をする中で最初に悩んだのは、妊娠報告のタイミング。
フリーランスなので特に義務付けられているわけではないものの、定期的にやりとりしている件の連載チームのリーダーにだけは念のために伝えておかなくてはと、妊娠4ヶ月に入った頃にお話しすることを決めました。
リーダーは、年下ながら一児の父親でもある男性。
長年一緒に働かせてもらっていて、とても信頼している人ですが、報告直前はどんな反応が返ってくるだろうとドキドキ。
いざ話してみると……第一声は「おめでとうこざいます!」。
笑顔で喜んでもらえた上、仕事の進め方についても前向きに相談に乗ってもらえて、心底ホッとしたのを覚えています。
幸い経過が順調だったため、仕事はギリギリまで続けることができました。
出産予定日は、1月末。
私は、年内最後の連載取材を終えてから里帰り出産をするべく帰省することに。
そして迎えたお正月。
実家で過ごしていた私のもとへ、夫が自宅に届いた郵便物を持ってきてくれました。
「これ、読んでみて」と渡されたのは、リーダーからの年賀状。
そこには、見慣れた文字で、温かいメッセージが綴られていました。
「お休み中、職場でのcosmicさんの宝物は僕がしっかり守り抜きますので、
今は家庭でのcosmicさんの宝物に心と時間を費やしてください。
焦らなくても、席は空けて待っています。今だけの瞬間を満喫してくださいね!」
その文章を読んだ途端、涙、涙、涙……。
もうすぐやってくる、人生の転機。
出産が近づいて緊張感が高まる一方で、仕事から離れる寂しさも感じていた時期でした。
その両方を思いやってくれたリーダーからのメッセージは、当時の私にとって一番かけてもらいたかった言葉だったのかもしれません。
1ヶ月後、私は無事に長男を出産。
そして、家族の協力のもと、すぐに連載の現場に復帰しました。
もちろん産前とは違う働き方になった部分もありますが、大切なチームに変わらず参加できることに、とても感謝しています。
著者:cosmic
年齢:36歳
子どもの年齢:0歳9ヶ月
フリーライター。女性誌やWEBなどで執筆。遠距離結婚生活を経て、2015年に長男を出産。“東京で仕事”と“関西で育児”、両方の暮らしを楽しむのがマイテーマ。目下、知らないことだらけのベビーワールドをキョロキョロ探検中です。
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