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[東尾理子さんインタビュー第3回]男性不妊や不育症、20代の不妊症など、様々なケースを学んだ”TGPお茶会”

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現在、第2子を妊娠中の東尾理子さん。今回も、第1子と同様に、TGP(Trying to Get Pregnant:妊娠しようと頑張っている、という意味の理子さんがつくった言葉)活動を経て、待望の懐妊となりました。第3回は、理子さんが主催している「TGPお茶会」のこと、妊活をサポートするピアカウンセラーの活動を通して知った、妊活中の方が抱くお悩みとその解決策などについて、お聞きしました。

情報収集で始めた「TGPお茶会」が多くの人のストレス発散の場に

 一人目の妊活中から理子さんが主催している「TGPお茶会」。治療をする際に、「実際に経験したことがある人に話を聞きたい」と思い立ち、ブログやツイッターで呼びかけて、妊活や治療の経験者が、自由に話せる場を設けたそうです。

「福岡に行く用事があった時に、たまたま時間があったので『今日18時に福岡でお茶しませんか?』と、ブログとツイッターで声をかけたのが、TGPお茶会を開催するきっかけでした。すると15人も集まってくださって。皆さん、自分の体験談や感じたことを思い思いに話して下さいました。最初は、私が勉強したい、生の声を聞きたいと思って始めたのですが、参加してくれた方から、自分の経験を話せただけでストレス発散になったという声も多く聞くようになりました。 妊活や治療のことって、なかなか人には言いにくく、特に身近な人にほど相談しにくいですよね。見ず知らずの、その場で会って解散する相手になら、自分の辛い状況も夫への不満も話せる(笑)。私の気まぐれで始めたことですが、はじめてよかったなと思いますし、最近はなかなか時間が作れないのですが、これからも続けられたらと思っています」

TGPお茶会での会話から、妊活中の人が抱える知られざる悩みや、現実を知ることもあると言います。

「悩んでいるのは30代以上の人ばかりかと思ったら、実は20代でも何らかの理由で子どもができないことがある。でも、若いと仲間がいなくて孤独だし、身近な人に話しても『若いから大丈夫でしょ』と思われてしまうのだそうです。お金がかかる治療が負担になったりと、深刻なのに、理解者がいないのはすごく辛いだろうなと思いましたね。
また、子どもができない原因のひとつに、流産を繰り返してしまう『不育症』というものがあるんです。専門医が少なく、検査もほとんど行われていない。2〜3回流産してようやく自分が不育症だとわかるというケースが多く、それって心にも体にも大きな負担ですよね。妊活、治療と言ってもさまざまなケースがあることを、このお茶会を通して学びました」

 

病院に行きたくないという男性は、まずは泌尿器科へ 

昨年、理子さんはピアカウンセラー(自らの経験を生かして、妊活中の相談者の悩みに寄り添い、サポートをするカウンセラーのこと)の資格を取得。妊活中の悩み相談を受けることが増えたそうですが、その中でも多く聞かれるのが、「夫が非協力的」だということだそうです。

「特に『夫がなかなか病院に行ってくれない』という声は多いですね。現在、男性の100人に1人は無精子症と言われています。子どもを授かりたいのであれば、男性もきちんと自分のこととして受け止め、治療に取り組む必要があるのですが、実際にはなかなか難しいこともあるようです。婦人科や不妊専門の病院に抵抗があるという旦那様も多いので、その場合はまず、1人で泌尿器科に行ってもらうのがおすすめ泌尿器科でも一通りの検査はできます

また、婦人科や不妊専門の病院では医師が女性のことも多く、それがまた男性にとってハードルが高いと感じることもあるそう。男性医師がいる病院を選ぶことも1つの解決策なのでは…と理子さん。また、病院によっては、精子を採取するための採精室がきちんと設けられていたり、本人が病院に行かなくても精子を持ち込めばOKな病院などもあるので、できるだけ男性が参加しやすい環境を作ってあげることも大切なのだとか。

 

生みたいのか、育てたいのか。治療以外の方法も選択肢のひとつに

現在は、ピアカウンセラーの他にも、若い女性に妊娠や卵子についての情報を届けるために「うむうむプロジェクト」の立ち上げに関わったりと、精力的に活動する理子さん。自身の経験と多くの人の悩みに触れる中で「子どもを持つ」ということを、改めて考えさせられると言います。

「日本では、子どもができないとすぐに不妊治療、という流れになってしまうけれど、私はまず『子どもを生みたいのか』、それとも『子どもを育てたいのか』を考えてみることも大事なのではないかと思うようになりました。もし、自分の遺伝子を残すことにこだわらずに、子どもを育てたい、老後を子どものいる環境で過ごしたいなどと希望するのであれば、養子縁組という方法もあります。養子縁組を望む場合、団体や自治体によりますが、定年のことなどを考えて、親子の年齢差を40歳程度までと決めているところもあります。例えば、治療をして残念ながら授からず、生むことをあきらめた年齢が45歳だとしたら、それから養子縁組を考えると、赤ちゃんから育てることはできないんです。そういった制度の問題もあるので、自分が本当にどうしたいのかを早めに考えておくことは大切。まずは治療を選択するとしても、その先のことも、一度考えてみてほしいですね」

 

ご自身が妊活を経験し、そこで初めて知った情報も多かったという理子さん。

妊娠や出産、そして子育てについての情報が、妊娠や出産を考え始めるより前に、10代、20代の若い世代に届くようになるといいなと思います

と、正しい情報を得ることの重要性を語ってくれました。

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東尾理子(ひがしお・りこ)さん

1975年11月18日生まれ。プロゴルファー。1999年よりプロゴルファーとして活躍。2009年に俳優の石田純一氏と結婚。2012年、約2年の妊活を経て長男を出産。現在は、第2子を妊娠中。著書に『「不妊」じゃなくてTGP 私の妊活日記』(主婦の友社)

公式ブログ http://ameblo.jp/riko-higashio/
東尾理子さんが携わる『うむうむプロジェクト』 http://umu-umu.com/

構成/相馬由子 取材・文/野々山幸(verb)

 

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