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気管切開児の食事トレーニング。経管栄養から離乳食へ。ゆっくり一歩ずつ進んでいこう

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生後間もなくから人工呼吸器をつけて過ごしている娘は、口からの授乳はできず、鼻から胃へチューブを通し、搾乳した母乳を入れていました。口に入ってくるものに過敏な娘に対して、どのように離乳食を進めていったのかをお話します。


"生後間もなく呼吸が苦しくなった娘は「気管切開」という手術を受けました。のどの一部を開き、そこから直接L字のチューブ(カニューレ)を気管に通して人工呼吸器をつけての入院生活でした。

呼吸が安定しないうちは口から授乳をすることができず、鼻から胃へチューブを通し、そこから搾乳した母乳を入れていました(経管栄養)。私は毎日ひたすら搾乳を続けましたが、面会のために高速道路を使って片道40分かかる病院への通院や、当時2歳のお兄ちゃんのお世話、そして娘の病気を心配する気持ちの面での疲れからか、3ヶ月ほどすると母乳が出なくなり、ミルクを注入していくことになりました。

おっぱいをあげられなくてごめんねという気持ちでいっぱいでしたが、「自分が疲れて倒れてしまってはいけないから搾乳はもうこれでおしまいでいいんだ!」と気持ちを切り替え、無理にでも前向きになろうとしていたことを覚えています。

 

生後6ヶ月の頃になると、娘の体調も落ち着き、口から物を飲む練習を開始することになりました。子供に特化した病院には様々なスタッフさんがそろっており、専門家の指導の下、食事のリハビリが始まりました。椅子に座った状態で、大きな綿棒の先にミルクを含ませて、口の中に入れるところからスタートです。もともとオモチャなどの物を口に持っていこうとしない娘は、口に異物が入ることを嫌い、すぐにぺーっと綿棒を出していました。

毎日コツコツ続けていくと、少しずつ口に入れていられる時間が長くなり、ミルクも上手にごっくんと飲み込めていたので、1週間程でとろみをつけた離乳食を食べてみることになりました。

大きなフロアに10床ほどベッドが並ぶ部屋で、看護師や医師が行き来する中での食事は気が散ってしまうのか、娘は食事に興味を示さず周りをキョロキョロとしていました。これではいけないと、パーテーションで囲み、食事に集中できるよう環境を整えてもらいました。私も一緒に食べられれば良かったのですが、病室内での付き添いの人の飲食は禁止されていたので、他の人が食べている姿を娘は知りません。よってスプーンを口に入れて食べる真似をし、こうやって食べるんだよと目の前で見せていきました。

すると、食べられる量が増えていき、本人にもご飯を食べるという意識がしっかりついてきたように思えました。病院の中で束の間の「普通の生活」を感じられるご飯の時間は、私にとって自然と笑顔になれる大切な時間でした。

食事の他には、ガーゼを指に巻いて口内を磨くことを同時に行っていました。これは口内を綺麗に保つためと、刺激に慣れさせるためです。ちょうど歯が生え始めた頃で、何度も指を噛まれ、娘は悪くないとわかっていながらも怒ってしまっていたのはしょうがない事ですよね・・・。ご飯に興味が出るよう、食事の絵本を見せたり、ぬいぐるみにご飯をあげて食べさせたりする真似も見せていきました。

8ヶ月の時、娘は転院することになりました。里帰りで出産し、そのまま故郷の病院に入院となったため、主人が住む現在の家の近くの病院への転院を希望していたためです。

ご飯を食べられる量が増えてきたところだったのですが、転院して環境が変わったためか、娘はご飯を食べなくなりました。大人の都合で病院が変わってごめんね…と思いながらも、家に近づけたし、ご飯も頑張ってまた食べられるようになろうねと励ましながら食事を続けました。

9ヶ月頃には、再び食事量が増えましたが、今度は娘が体調を崩してしまい、いったん離乳食を中止することに。2週間ほどで元気になり、離乳食を再開しましたが、またご飯を食べるのを嫌がるようになっていました。

それでもコツコツ続け、11ヶ月頃、まとまった量を完食できるようになったので、今度は形態を変えて、つぶつぶの入ったご飯を食べてみることに。すると食感が気に入らなかったのか、またまた離乳食嫌いになり、ペースト食に戻すことになりました。

口からご飯を食べる量は微々たるものでしたので、胃ろうを作ることになり、そこから大半の栄養を取ることになりました。

そして1歳を過ぎ、退院することに。病院では食欲がわかなかったかな、家で家族が食べるのを見て、自分も食べてみようと思ってくれるかなと期待しました。しかし、なかなか離乳食は進まず、途中途中風邪を引いては食事を中断するという状況でした。何より、病院では作ってもらった食事をあげていましたが、家では私が作るので、準備した苦労がある分、食べてくれないことにイライラしてしまうことが多々ありました。いろいろな食材や味付けを試し、工夫して食べてくれることを期待するあまり、娘が食べてくれないとやはりショックなんですよね。作ることに嫌気が差した時期は数え切れず…。途中からは「食べてくれたらラッキー」と期待を下げることで、なんとか私の気持ちを落ち着けていました。

退院後も食事のリハビリを続けました。口の周りのマッサージをしたり、赤ちゃんせんべいを使って前歯で噛み切る・奥歯で噛む練習をしたり、胃ろうからの栄養剤の注入量を減らし、徐々に離乳食がメインになるようシフトしていきました。

そして感動する出来事が!これまで私にペースト食を口に入れられるだけだった娘が、お友達がお菓子を食べているところを見て刺激を受け、自分でおせんべいを持ってカリッと食べたのです!これまでは周りの大人がどうにか食べさせようとするあまり、娘は受身になるばかりでしたが、自分で食べたいと思う気持ちが何よりも大切なんだということを気づかされた出来事でした。

 

そして現在2歳7ヶ月の娘は、つぶつぶが混じったご飯を食べられるようになってきました。前歯でおせんべいをカリカリ噛むことも好きで、3食のリズムもようやくついてきました。自分でスプーンを使って食べる姿は感動ものです。

まだまだ大人と同じご飯とはいきませんが、嫌がりながらも、頑張ってきてくれた娘には頭の下がる想いです。ご飯に対する理解も進んできたので、これからは一緒に料理をしたり、畑に野菜がなっているのを見せてあげたり、味覚狩りをして食育をしながら、娘のペースで楽しみながら食事を進めていきたいと思っています。

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著者:ぽん
年齢:31
子どもの年齢:長男4歳、長女2歳

パパ、4歳の長男、2歳の長女と私の4人家族です。障がいを持って生まれてきた長女と初めてだらけの育児の中、明るく楽しく!をモットーに過ごしています。恥ずかしがりやな長男と、陽気な長女に癒されている毎日です。我が家の経験がどなたかの力になれたら嬉しいです。

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