私は極度な怖がりです。傷のような外からの痛みは耐えられるのですが、何が起きているかわからない内側からの痛みがとても怖い人間です。
以前から子供は産みたいけれど、産むなら絶対に無痛分娩にしたいと希望していました。
当時、無痛分娩を扱っている病院はそんなに多くはありませんでしたが、いくつかの産院を調べ、少し家から遠いところに希望の産院の予約を取ることができました。
それから数日後、産後にお世話になることもあり、母や義母に産院が決まったことをそれぞれ電話で報告しました。
二人とも開口一番「なぜそんなに遠いところなの?」と聞いてきます。
私はストレートに無痛分娩対応のクリニックにしたことを電話で告げました。
実母は、全部の説明が終わる前に「大丈夫なの?」から始まって「麻酔なんて子供によくない!」と叫んでいました。
そして出産の痛みも大事、自然に出てくるのが一番!という意見をごり押ししてきます。
実母は無痛分娩について全く知識もなく「赤ちゃんが意識を失ってるんでしょ?」と的外れな思い込みをぶつけられ、うんざりしました。
興奮が落ち着いたところで無痛分娩について詳しく説明はしましたが、それでも不満を隠さない実母。
一方、義母は「いいんじゃないの?」とあっさり。実母の意見を聞いたあとだったので、肩透かしを食らったような気持ちでした。
周囲のママから無痛分娩を反対する親世代も多いと聞いていたので、実母より年配の義母の反応は、予想外でした。
二人の母親の相反するリアクションに不安を覚えながら、あっという間に出産当日を迎えました。
無痛分娩は麻酔は効いていますが、全く痛みがなくなるわけではありません。もちろん通常の分娩より緩和されているはずの痛みですが、痛みに弱い私は「イタタ!!!」と叫んでしまいました。
そして無事出産。無痛分娩と言えども安産だったことにホッとしていました。
出産後すぐに赤ちゃんを見に来た実母と義母もうれしそうです。
しかし、疲れきっている私に、実母は遠慮ない言葉をぶつけます。
「痛いって当たり前じゃないの!?弱いわねえ!」
出産っていつから我慢大会になってしまったのでしょうか。
「痛くても痛いとすら言ってはいけないの?」私は悲しく思いました。
続いて義母が口を開きます。
無痛分娩に反対しなかった義母なら、痛みの話よりも労いの言葉をかけてくれるはず…そう思った次の瞬間です。
「痛みをちょっとは感じることができて、良かったんじゃない?」
「……え?」私は耳を疑いました。
実母と義母。結局、二人とも「痛みはあっていい、むしろあった方がいい派」だったのです。
義母も無痛分娩にすることについては快諾していたものの、根本的には無痛分娩を理解していない様子。
「やっぱり新しい出産方法はなかなか理解してもらえないのかな」と出産後に改めて思いました。
「今度出産する機会があれば、もっとちゃんと話をしたい」そう思うできごとでした。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:ペメ
年齢:30代
子どもの年齢:8歳・3歳
歳の差姉妹に振り回されながら、フリーランスで働いています。優しすぎて妹に日々やられっぱなしの姉。姉ができることは全部できると信じているやんちゃな妹。くっつけばケンカをするのにやっぱりくっつく不思議な仲良し姉妹です。
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