私は自分でいうのもおかしな話ですが、「泣かない女」です。
悲しい映画を見たり本を読むと泣けることもあるので悲しい感情がないわけではないのですが、人前では冷静になってしまい涙を流せないタイプです。
だから、卒業式はもちろん結婚式の花嫁からの手紙を読み上げる際ですら泣かなかった女です。
妊娠中、特に何もトラブルがなかった私は、出産と子育てがこんなに大変だとは思ってもいませんでした。
昼夜問わず泣く赤ちゃん。赤ちゃんの抱っこにも四苦八苦する自分。
そして、第一子ということもあり親戚や友人が多くお見舞いに訪れてくれるのですが、その嬉しいはずのお見舞いも、私には段々負担になっていきました。
お見舞いにきてくれる人たちから、嫌な言葉をかけられたわけではありません。
でも「これから子育てがんばってね」という言葉を次々にかけられて、「赤ちゃんが泣いていたら、すぐに対処できるようにがんばらなきゃ」と思い詰めていきました。
そして、昔から何でも「自分で!」「きちんと!」という思いが強い私は、泣き止まない赤ちゃんに途方にくれていても、旦那や母に泣きついて弱音を吐くこともできずにいました。
そして、退院時に行われる助産師さんからの指導がやってきました。
母乳があまり出ていなかったこともあり、私は助産師さんに、「もっとがんばろうね」と言われると思っていました。
ところが、助産師さんの第一声は、「初めての子育てなのに、すごくがんばってるよね。」というものでした。
何気ない一言でしたが、なぜかその言葉を聞いたら私の目から涙がポロリとこぼれました。
始めは、「あれ?ちょっと感動しちゃったのかな」と軽く思っていたのに、次から次へと涙はあふれ、止まらなくなってしまい…。
30年以上生きてきて、人前でこんなに泣いたのは初めて、というくらい泣いてしまいました。
助産師さんはそんな私の背中を優しくさすり泣き止むのを待ってくれました。私が落ち着くと、私のがんばりを認めてくれたうえで、「がんばりすぎなくていいんだよ。ちょっとくらい手を抜いても子どもは育つよ。一人でなんでもやろうって思わないで、旦那さんやお母さんの手を借りてもいいんだよ」とやさしく諭してくれました。
泣いてしまったことは恥ずかしかったですが、がんばっている自分をわかってくれる人がいた、という嬉しさと、もっと手を抜いていいといわれとても気持ちが楽になりました。
その後、私は旦那や母にも気軽に「寝不足でつらいから赤ちゃんを見ていて欲しい」などの助けを求められるようになりました。
小さな一歩かもしれませんが、号泣事件で自分をさらけ出すことができ、少し成長できた気がします。
出産や子育てはとても大変で、お母さん一人ではできることではありません。
助産師さんの一言のおかげで、そんな当たり前のことに気づくことができました。
今では周りの人に助けてもらいながら、子育てを日々楽しんでいます。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
年齢:34歳
子どもの年齢:3歳5か月
子育てって大変だけど、楽しいこともたくさん!あっという間に大きくなってしまう子どもとの時間を大切にしながら、自分も日々成長していきたいなと思っています。
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