妊娠・出産・育児の情報サイト


数字次第で天国か地獄か。不妊治療中は検査結果に振り回されてばかり

f:id:akasuguedi:20160521160256j:plain

f:id:akasuguedi:20160520234456p:plain

不妊治療をしていると、常にさまざまな数字が気になります。

女性はFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体ホルモン)、プロラクチン、E2(エストロゲン)、P4(プロゲステロン)、β-hCGなどの検査結果が、男性の場合も精子の量、濃度、運動率、奇形率などが数字であらわされます。

不妊治療を始めた頃は、とにかく「妊娠すること」だけがゴールで、道筋ももっと単純だと思っていました。

ところが、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療を受けることになって初めて、実はとてもたくさんのプロセスを経なければ、妊娠はおろか、受精・移植することもできないのだと知ります。

いわゆる不妊治療では、卵胞期に育った卵胞を採卵し、体外受精や顕微授精などで受精し、ある程度育ったところで受精卵を子宮内に移植するわけですが、それぞれの段階に適した数値が出ていなければ次のステップには進めないのです。

 

たとえば、妊娠の継続にとって大変重要なP4の値は、排卵期から徐々に上昇しはじめ、高温期以降、妊娠を継続するとさらに高くなっていきます。

しかし、移植のタイミングでP4の値が高かったりすると、移植を見送らざるをえなくなります。

数値が高かったから良かった、などと単純に喜べないところが不妊治療の難しさです。

 

そして、一番気になるのは移植後の数値です。

長い長いプロセスを経て、やっと移植できた後、ずーっとおなかを意識しながらドキドキして過ごす数日間。

その後迎える妊娠判定の日は、血液検査をして(クリニックによっては尿検査を行うところもあるようです)、そのホルモンの値によって妊娠しているかどうかが判定されます。

私が通っていたクリニックでは、妊娠判定の際、E2、P4、β-hCGの数値をチェックしていました。

移植後2週間くらい経ってこれらの数値が上昇していなければ、妊娠は成立していないということ。

お医者さんは、その数字を見てキッパリと、『今回は残念ですが』と言います。

そう言われてしまうと、こちらからは返す言葉もありません。

 

でも、ときに『微妙な数字』が出ることもあります。

そのときは凍結胚盤胞を移植したので、移植の1週間後が妊娠判定でした。

この日のβ-hCGは19.9。

不妊治療をしている人ならわかるかもしれませんが、これはかなり低い数字です。

お医者さんにも、

「本当ならこの5~10倍くらい出てもいいのですが。移植後7日目でこれくらいの数字の場合、妊娠できる確率は25%程度です」

と言われました。

 

それでも『残念ですが』とはならず、

「もしかしたら、ということもあるので、1週間後にもう一度チェックしてみましょう」

となりました。

でも、数字の低さ、先生の話しぶりから見て、確実にダメだと思って帰宅。

自分でも調べてみると、やっぱり判定日でこの数字はかなり期待が薄そうです(それでも一縷の望みを求めて、検索しまくったわけですが…)。

 

妊娠の確率は本来50%のはずなのに、この時点で25%なのですから、限りなく失敗に近いと思うのが普通です。

ところが、そのことを夫に話すと、

「25%って結構高いと思うけど。プロ野球選手だって打率2割5分だったら悪くないよ」

などと言うのです。

いくらなんでもポジティブすぎる言葉には私を励ます意図もあったようで、実際、半ば呆れつつ、

「そんな考え方もできるか」

と少し気持ちが楽になり、次の判定日までを落ちついて過ごすことができました。

f:id:akasuguedi:20160405225733j:plain

そして、1週間後の再判定の日、懸案のβ-hCGの値は329.8まで上昇していました。

これには先生も少し驚いた様子で、

「ちょっとスタートが遅れただけなのかもしれませんね」

などと言っていました。

ほぼ100%ダメだと思い込んでいた私もビックリで、判定の結果を聞いてしばらくは手の震えが止まりませんでした(夫は「やっぱりね」くらいの反応でしたが)。

その後もホルモン値は下がることなく、妊娠は継続し、無事に娘を出産することができました。

 

子どもが生まれてからも、体重や身長は成長曲線のどれくらいにあるか、何カ月なのにこれができないと、数字に振り回されることは少なくありません。

でも、私たちに示される数字は、そのときの状態を知るための目安のひとつに過ぎません。

その目安をきっかけに病気などがわかることもあるので無視はできませんが、その数字で絶望してしまうか、じゃあ次はどうしようかと考えるか、月並みだけれど『気の持ちよう』が大きいと思うのです。

f:id:akasuguedi:20160405225031j:plain

著者:ウシジマビフエ

年齢:45歳
子どもの年齢:8歳と4歳

科学や医療を中心に取材・執筆・編集を行うフリーライター。夫もフリーライター(アウトドア系)。両親とも自宅仕事だから子育てと両立しやすいのではないかと思われがちだが、お互いに隙あらば仕事をしようとするので、子どもたちは放っておかれ感が強い。申し訳ない。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。