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子どもの足音が原因で殺人に…。尼崎の事件から、子どもの足音トラブルを考えた

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兵庫県尼崎市の文化住宅で、階下に住む男に襲われた母娘が死傷する事件が起きた。

殺害された女性の3歳になる子どもの物音に、犯人は日ごろから文句をつけていたという……。

集合住宅ならではの「子どもの足音トラブル」

まだねんねの時期には「子どもの物音による騒音」というのは考えないのだが、ハイハイをし、やたら床を叩くブームが来るあたりからちょっとずつ気にしはじめる。

やがて、一人で立つことを覚え、ヨチヨチ歩き出すとそのビジュアルのかわいさと裏腹に、足裏全体でしっかり踏み込む「ダン!」というその足音がまた気になりだす。


長男が2歳まではマンションの1階に住んでいた。

おかげで、多少ジャンプしようが、テレビに合わせて元気に体操しようが、「うちの下はモグラさんしかいないからね」といって好きにやらせていたのだ。

しかし1階ならではのカビ問題などあり、我が家は近所にあるマンションに引っ越すことになった。今度の部屋は下に人がいる。

「あの、前のオーナーさんからですね、リフォームをお考えの際には、床に防音対策をされたほうがいいかもということをうかがっておりまして」

不動産屋がわざわざそう伝言するということは、過去になんらかのトラブルがあったのだろう。

我々はまず、階下の方に挨拶をしなければならないと考え、菓子折りを手に訪ねた。

しかし、お仕事で夜も遅いのだろう、何度訪ねてもお会いすることができなかったのだ。

そこで、ポストにお手紙を入れさせていただき、後日訪ねる旨を伝えた。

その時点で入居から半月近く経っていた。

やっと会うことができた階下の方は、上の階の物音についてこういった。

「まあ、そうですね、前の方、お子さんたくさんいらしたんで、結構な……ねえ」

うるさかったら言ってくださいね、といい、子どもにも「よろちくおねがいちましゅ!」と挨拶をさせた。


年々体重が増える子どもの足音は大きくなる一方だ。

だいたいかかとで着地する時に音が出るので、スリッパを履いてもらったのだが、履いているときは静かになるも、長続きしない。

すぐ脱ぎ散らかしてしまって、ついには行方不明になった。

……消音マットしかないのか? 高いな、しかも敷いたときのビジュアルが残念だな……

上の階にはお年寄りが二人で住んでいたが、物音がすることはまれだった。

おまけに下の方からも特に苦情もなかったので、「あ、意外とこんなもんかもね」と思っていたある日、上の階のお年寄りが退去し、ファミリーが越してくることになった。

 

「え、こんなに音するの!」人の振り見て我が振り直す……

うちの長男より1つくらい年下の男の子だろうか。

挨拶にみえた新しい上階の家族は、まだ若い両親とその男の子の3人であった。

ギー、ドンドンドンドン、ダン!ダン!

なんと例えればいいのだろう、たんすを移動しているような、なにか釘を打っているような、そして子どもが何度もジャンプしているような。

それら3つの音が毎晩23時過ぎまで続く日々。

夫がいる時間帯にはなぜか音がしないことが多く、上の階の物音なのか、怪奇現象なのか区別がつかなかった私は、しばらく一人で騒音に悩むのだった。

 

ある日曜日、窓を開けていたらどこかから夫婦喧嘩が聞こえてきた。

音の出所はどうやら上階のようだった。向こうも同じように窓を開けていて、音が筒抜けになったのだろう。

喧嘩の内容と、ドシンという物音がリンクしたので、これは間違いない!と確信し、夫もはじめてこの現象を認知した。

「ねえ、言いにいく?どうする?」

「うちも日中いないから、気にしなければそこまでじゃないかもね」

「夜中の物音だけはどうにかならんかね」

24時ごろに柔道の受身を取るような物音がしていたころであった。

結局、管理人さんに雑談レベルで話をして、直接本人に言いにいくことはなかった。

 

さりげなく物音を伝えるチャンスの到来

私の第二子出産というタイミングで、マンションの上下左右に挨拶に行くことにした。

上の家に行く前に、下の住民の方に確認したいことがあったので先にうかがった。

そう、“うちもあのくらい大きな音が出ているのか”ということを、だ。

「あー、まあ、そんな、大丈夫ですよ。」

“大丈夫ですよ”という一言から多少の音が出ていることは察した。

最近物音が気になり出して、という話をさせてもらい、できれば、その場でどのくらい音が出るのか試させて欲しいところではあったが、奥様が妊娠中ということがわかり、遠慮させていただいた。

「やっとできたんですよ!」

うれしそうに言うご主人。

これは是が非でもおとなしくしなくては!という気にさせられるのであった……。

 

続いて上の階を訪ねた。

「赤ちゃんが生まれたんで泣いたりすると思うんですけど、よろしくお願いします」

「いや、うちこそ、うるさくしちゃってすみません」

自覚はあったのだろう、即答であった。

「あと、うちも生まれるんで……」

もうあきらかに見てすぐわかるほどの大きさになっているお腹であった。

なお、現在も上の階からは夜中に模様替えをする音や子どもが走る音が聞こえるが、お互いさまなので、足音がどんどんと聞こえはじめると「……きょうも、“元気”だね」と夫と会話するのが常になった。

下の子がそこそこ動くようになったのであろう、子どものものと思われる足音は複数になった。

 

できることならしてみたい防音対策あれこれ

本来ならば自由に運動させて、子どもの運動神経の発達を見守りたい時期であるところ、住居問題で不自由をかけるのは、親としては申し訳なく感じることもある。

しかし、それはそれ、これはこれ。

子どもの騒音問題は、物理的に、そしてなるべく安価に回避しなければならない。

せめてできそうなこととしては、消音効果のあるスリッパを履く、消音マットを敷く、分譲物件の場合は床をリフォームする、などだろうか。

幼児にスリッパを履いてもらうよう務めることが、実は最大の難関であるのだが、とにかく下の階にお住まいの方とのコミュニケーションは、とくに大事にしたほうがいいなあと改めて思う次第なのだった。

 

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著者:kikka303
年齢:39歳
子どもの年齢:5歳・1歳

1976年東京生まれ、都立北園高校出身。東京モード学園に進学するもインディーズブランドブームにのって学校を中退、以降フリーランスのデザイナーとして活動。その傍ら、会社員としてデジタルコンテンツを担当。2010年に結婚&出産。現在は都内某所にてWEBディレクター職についている。超イクメン夫、チャラい長男、食いしん坊な次男との4人暮らし。
Twitter:@kikka303

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