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わたしはいつも、いつでも、あなたに守られてきた ~父の日に思うこと~ by はなこ

もうすぐ『父の日』ということで、今回はわたしの父についての話をしようと思う。


わたしには4歳の娘がいて、彼女のことを一番甘やかしてくれる存在というのが、何を隠そうわたしの父なのである。

わたしの家から実家が近いため、2〜3週間に1回は遊びに行く間柄である。わたしに用事があるときに娘の世話を頼むこともあり、かなり助かっている。

父は毎回、孫に会うのを心待ちにしており、子連れで楽しめるスポットをひそかに調べては娘と一緒に出かけたり、クリスマスにはなんと、本物のお菓子を飾り付けたクリスマスツリーを用意して出迎える孫バカっぷりである。 

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もはや父にとっては孫が生きがいであるかのようだ。

その溺愛っぷりは娘であるわたしがドン引きしようが衰える気配がない。


しかし、この父が昔からこのような感じだったかというと、そうではない。

社会人としてまだ駆け出しの20代前半で、若くして子を持った父は、 家族を養うべく仕事中心の生活を送っていたため、あまり家にはいなかった。

子どもたちの面倒はほぼすべて母がひとりでみた。

会えば優しい父だったけれど、わたしの幼少期の思い出には父の姿がないものも多く、ましてや、クリスマスツリーにお菓子を飾ってもらったことなどなかった。

 

父は言うのだ。

「自分は今、子育てのやり直しをしている」と。

 
昔、自分の子どもにしてやれなかったたくさんのことを、孫を通じてやり直そうとしているということらしい。

もちろん、“子” と “孫” というのは存在からして全く別モノであるし(わたしは孫を持ったことがないので分からないけれど)、「子育てのやり直し」という言葉はふさわしくないような気もするけれど、父の言いたいことはなんとなく分かる。

昔々、うんと小さいわたしが寂しい気持ちを抱えながら父の帰りを待っていたとき、父もまた同じように、家族を思い浮かべては寂しい気持ちを抱いていたのではないか。

そう思うのだ。

 
子育てにほとんど参加できず、決して “父親らしく” はなかった父だけれど、わたしはわたしで、全然 “いい娘” ではなかった。

親に対して何かと反発しては心配ばかりかけたし、『父の日のプレゼント』なんてただの一度もあげたことはなかった。


そんなわたしに子どもができたとき、父はわたしに、「子どもが子どもを産むのか」と、冗談めかして少し皮肉っぽいことを言った。

冗談だと知りつつもその言葉にわたしは少し反発心を持った。

「わたしは大人だ!!!!!!!!」声を大にして言いたかった。

わたしはもう、子どもではないのだ。

 

しかしわたしの妊娠生活は、 “立派な大人” のそれとは全く違うものだった。    

夫の転職騒動をきっかけに夫婦仲が悪化し、ついには実家に舞い戻る事態になってしまったのだ。

夫の転職騒動の記事はこちら:夫が仕事をやめちゃった! by はなこ


子どもが生まれるまでには関係を修復したいと願いつつも、夫の煮え切らない態度に憤り、心ない言葉を投げつけられてはその度に泣いた。

そんなわたしの様子を、父は心配そうな目で見つめていた。

あとから聞いた話だけれど、あのとき父は、娘と孫を自分が養っていく覚悟をしていたのだという。

そして、最終的には夫のもとに戻っていったわたしを見て、「もう娘を守るのは自分の役目じゃなくなったんだ」と思ったそうだ。

あのとき、父がそんなことを考えていたなんて。

 

わたしは、

わたしは、子どもじゃないか。

「父親らしくない」なんて偉そうなことを言って、自分一人で生きてきたような顔をして、

 

わたしはいつも、いつでも、
 

この人に守られてきたんじゃないか。 

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その後わたしは無事娘を出産し、子育ての大変さに目をまわしつつも、どうにかこうにか今までやってきた。

娘はもう4歳になって、母親のわたしも目を見張る口達者っぷりで大人を翻弄している。

先日、娘とわたしと父とで、初めて映画を観に行った。

子ども向けのアニメ映画で、父の方から行こうと誘ってきたのだ。

3人並んで席にすわり、それぞれが山盛りのポップコーンを手にして上映を待つ。何歳になったってこの瞬間はわくわくするものだ。

 

わたしは思い出していた。

父は昔から映画が大好きで、家族の中ではわたしが一番作品の好みが似ていたため、よくわたしにいろんな作品を勧めてきた。

「はなこはこれ絶対に好きだと思う」と太鼓判を押された映画は、そのどれもがわたしのお気に入りになったし、そんなやり取りをしているときの父は、他のどんなときよりも目が輝いていたように思う。

まだ小学生のときに、父が夜中にひとりで観ていたホラー映画を調子にのって一緒に観たせいで、それ以降ホラーは一切受け付けなくなったけれど。

とにかくもうわたしは、たくさんたくさん、数えきれないほどの映画を父と一緒に観てきたのだ。

 

娘と一緒に3人でと誘われたときには、正直、「まだ小さいのに映画館なんて大丈夫かな?」という不安もあったけれど、わたしの横でもりもりとポップコーンを口に含み、スクリーンをまっすぐに見つめる娘を見たら、連れて来てよかったなと思った。

わたしはなんだかとてもうれしい気持ちになって、この子ももしかしたら映画好きに育つかもしれないぞ、なんて、少しだけ思ったんだよ、

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お父さん。

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著者:はなこ
年齢:28歳
子どもの年齢:3歳

2012年生まれの娘を持つ1児の母。娘との日常を描いた はなこのブログ。や はなこの約4コマブログ  を運営し、日々くだらないことばかり書いている。重度の親バカ。 また、自身の育児体験を活かし ママと赤ちゃんの産後MEMO にて産後のママのための情報も発信中。

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