産後3日目。
出産はもちろん、会陰切開の傷と後陣痛のため、ベッドに座ることすらままならないほどに弱りきっていた私。
それにプラスして、昼夜問わずの授乳で寝不足続き・・・。
せめて入院している間だけでも、できれば横になって眠らせて欲しいのが私のホンネでした。
しかし、そんな私をよそに
恐怖の瞬間は、すぐそこに迫っていたのです。
それは、「産後のお見舞い」という名目の、姑の襲来でした。
当初は私の体を気遣い、義理両親のお見舞いは断ると言ってくれた夫。
そんな夫の優しさに私は安心しきっていたのですが・・・。
お見舞いを断られた姑が夫に言ったのは、「退院したら赤ちゃん連れてきてね」。
この一言で、事態は急変しました。
そもそも、夫の実家は超ド田舎。
電車すら近くに通っていない山奥で、自宅から車でも片道1時間半はかかる道のり。
いくら生後すぐから使えるチャイルドシートがあるとは言え、生まれたばかりの赤ちゃんをそんな長時間ドライブさせるなんて絶対にムリ!論外です。
こうして、苦渋の決断を迫られた私は、病室へのお見舞いを泣く泣く承諾。
医師から処方してもらった鎮痛剤を飲み込んで、姑との対峙に挑んだのです。
「どっち似?」
お見舞いに訪れた姑が病室で発した、忘れもしない第一声です。
『チョッ!待てよ・・・』
私の心の中で、キムタクのマネをしたホリケンが叫びました。
「出産、おめでとう!」
「大変だったでしょ?体の方は大丈夫?!」
産後のお見舞いと言えば、お祝いだけではなく、ねぎらいも付き物だと思っていた私は、あ然。
寝不足&鎮痛剤で回転が遅くなった頭では、返す言葉も見つかりません。
しかし、「どっちだろうね~?」と、笑顔で受け答えしている夫の笑顔を見た瞬間、私は降参しました。
『もう、好きにすればいい・・・』
ベッドの上で、義理両親と夫のやりとりを見つめる置物状態の私。
とにかく無心で、ただ時が過ぎるのを待ち続けました。
こうして、私へのねぎらいは全くないまま、約30分が経過。
看護師さんが検温に来たタイミングで、私の我慢の糸はブチっと切れました。
「お見舞い終了のアナウンスを流してもらえますか?」
コレは、私が出産した産院の最後の切り札。
お見舞いで赤ちゃんやママに負担がかかりそうな場合、お見舞い客を帰らせるために、特別に流してもらえる切り札です。
「了解!」
看護師さんは、ナースステーションに急行!
その直後に流れた神アナウンスによって、私は悪者になることなく、姑を見事に撃退することができたのです。
赤ちゃんへの配慮はもちろん、ママへの気遣いにも徹底していた産院では、様々なニーズに対応。
産後、一番のストレスになりえる姑マニュアルも、素晴らしい対応の一つでした。
ちなみに、この秘密兵器は、出産前の母親学級でママにだけ教えられる秘密の授業。
そんなことなんて微塵も知らない夫は、あの不自然なアナウンスを未だに疑問に思っているようです。
著者:yuuumerrn
年齢:30代
子どもの年齢:8歳、6ヶ月
2人息子のママ。渾身の想いで授かった2人目がかわいすぎて、保育園に預けないよう画策してるのは夫にナイショです。
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