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使わなかった母子手帳。二度目の流産、ショックから救ってくれた上の子の笑顔

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数年ぶりの妊娠がわかったのは、上の子の入園を控えた3月初めのことでした。

そもそも夫とわたしは、結婚が33歳、娘が産まれたのが34歳。

自称『高齢出産に片足突っ込んでいる』時期に入ってからの初産でした。

 

夫もわたしもきょうだいのいる中で育ち、それが幸運なことだったと思っているので、できれば娘にきょうだいを、との思いはあります。

が、娘が1歳になる直前に再度妊娠したものの、7週で心拍確認前に流産。

その後2年間、『いつ来てもいいよ!』の気持ちで待っていたものの、妊娠する気配はなし…。

 

その間、夫とは何度も話し合い、結果、

「いつでもいいから授かれば幸運。基礎体温等、自分たちでできる範囲のことはするが、病院での治療はしない。それで授からないなら、そもそも望んだのが遅かったのだから仕方がない。今いる娘を大事に育てることが一番」

という方針を決めていました。

 

この3月は、上の娘が早生まれながら年少で幼稚園に入る直前ということで、平日でないと空いていないお出かけ先に行ったり、園が別れてしまうお友達ともたくさん遊んだりしよう、と思っていました。

24時間べったり生活の締めくくりとして、2人で目一杯楽しもう!と計画していたのです。

 

ところが、そこに妊娠判明。

5週の終わりにはつわりもはじまってしまい、産院の先生にも「なるべく安静に」と言われてしまう始末。

上の子の妊娠中もそうでしたが、わたしは吐き気に加え眠くなるつわり体質らしく、車の運転もNG。

もちろん、まだ幼い娘のこと、カレンダー片手に「この予定はどうなったの?」と聞いてくることはないですが、遠出せずとも一緒に公園で走り回ったり工作したりしたいのに、DVDをつけてソファで横になってしまう母に不満は感じているようでした。

 

そんな中、お腹の子の心拍が確認でき、次回の検診から妊婦検診になるため、母子手帳をもらいに行くことに。

市役所まではバスなので、乗り物大好きな上の娘は大喜び。

ちょうど、桜がほころびはじめの、春の暖かい日でした。

つないだ娘の手は柔らかく、でもずいぶん大きくなったと感じました。

まだ「お姉ちゃんになるんだよ」ということは伝えていませんでしたが、お腹に下の子を抱えて、上の子と春の日差しの中バスに揺られたこの日のことを、わたしはずっと忘れないだろう、と思いました。

 

そうして母子手帳と検診の補助券をもらって来たのですが、次の検診まで1週間ほどという頃、鮮血の出血がありました。

ちょうど翌日が入園式という日。

やっと繁忙期を脱していた夫に仕事を半休してもらい、上の娘と3人で病院へ。

わたしが受診する間、夫と娘は近くの公園で待っていることになりました。

 

その前の検診で、元気に明滅していた心拍は、どう探しても見つからず…。

数日後に再検査となりましたが、これは流産処置の日程を決めるためのワンクッションにすぎない、ということは分かっていました。

 

病院を出て公園へ向かうと、娘がわたしを見つけ「おかあさーん」と走ってきました。

ここしばらくお腹をかばってばかりいたけれど、娘を体ごと受け止め、抱きしめました。

あなたにきょうだいを会わせてあげたかったのに。

だめだったよ、ごめんね。

そう思ったのに、無邪気にわたしを見上げてくる顔に、救われてもいました。

 

ほんとうに、バタバタのなかで訪れて、去って行ってしまった3度目の妊娠でしたが、あのバスに揺られていた時間だけは、わたしはきょうだいの母だったなあ、と思うのです。

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f:id:akasuguedi:20160401001847j:plain 著者:kinoko
年齢:37歳
子どもの年齢:3歳

ワーカホリック状態の20代を経て、30代半ばで育児ワールドへ。これまでの常識を毎日覆されながら、子どもと一緒に成長中…だといいなあ。

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