「早く幼稚園に入ってくれないかなー」
それが、この春までのわたしの内心の口癖でした。
生まれてこのかた、娘はかなりの人見知り・場所見知りで、良くも悪くもママっ子。
例えば児童館や公園のようなところでも、手を伸ばせばわたしに触れるところから離れることができませんでした。
他の人で平気なのは夫、あとは夫の両親には数時間なら預けられる(ただし寝かしつけはわたしか夫必須)と言う状況での、3年あまりの日々でした。
初めて笑ったのも立ったのも言葉を発したのも、一番近くで見ていたのはわたしで、それは本当に幸せなことだというのはわかっているのですが…。
2人、3人と育児しているママ友が、
「もうこれで最後だと思うと、年少から入れる気になれない。ぎりぎりまでべったり一緒にいたい」と言うのにも、
(そういうもの…?わたしはもう無理、早く幼稚園に入ってほしい!)
と思っていました。
行き詰まる母
夫の休日には「パパとお出かけの日」「パパとお留守番の日」を作り、わたしが1人で行動できるようにしてはいましたが、平日の昼間は完全マンツーマン。
公園や児童館など、お友達がいるところに行っても、
「おかあさんも!いっしょに!!!」
とわたしの手を引っ張るので、やっぱりずっと一緒。
(走り回っている子を少し離れて見守っているお母さんが羨ましかった…)
まだ赤ちゃんで受け身でいてくれるうちはいいのですが、自我が出てきて「あれをしたい」「こっちに行きたい」が出てくると、それにずっと付き合わなければならず、眠っているときを除いては、休みなく相手をしている状態。
とにかく相手をしてほしがるので、子どもを遊ばせながらわたしは自分のことをやる、というのもほぼ無理でした。ちょっと電話をかけたりメモをするにも、娘が「わたしも!!」とやってくるので、全く自分のペースでできません。
家事は「おてつだい」をさせながら適当に済ませ、工作したりお散歩に出たりと、自分も娘も飽きにくいことで時間を過ごすものの、どうしてもストレスがたまっていきます。
娘も息苦しい?
なにより良くないのは、わたしのストレスがたまっている状態で娘が癇癪をおこしたり駄々をこねたりすると、「わたしの沸点が低い」こと。
笑いとばせばいいところでも、声を荒げたり、じっと睨んでしまったり…。
行き詰まってイライラがピークに達し、手を上げそうな自分にぞっとしたこともあります。
わたしだけが娘の相手をしていることで、娘がわたしのコピーのようになっていくことも不安でした。
遊んでいるときも、ついつい「こうしたら?」と言ってしまい、娘は「これでいい?」と確認。
2人きりで、わたしのルールに反すると怒られるという環境にいるせいで、わたしの顔色をうかがい、怯えて行動するようになってきているのでは、と心配でした。
救いの手は…幼稚園
何でも吸収し育っていく娘に、毎日毎日良い影響を与えるには、自分は力不足だし、十分なお手本ではない、と感じていたわたしにとって、幼稚園はまさに福音。
幼児教育のプロたる先生方、同じように自我が成長中のお友達、先輩ママたちのいる幼稚園に通えば、娘もわたしもこの膠着状態のような生活から抜け出せるはず。
入園準備が始まると、いっとき娘は以前に増してわたしにべったりになりました。
知っている場所でも離れず「ようちえんは、おかあさんいないから、わたし、ないちゃうよ!」と訴えるという不安な一幕もありましたが…入園式を終えてみると、拍子抜けするほどあっさり通うようになりました。
最初は「きょうもなかなかった!」と威張っていたのが、5月の終わり頃には、お友達と何をして遊んだ、先生と何の歌を歌った、と報告してくれるまでに。
そしてわたしはといえば、保育初日に園まで送った帰り道、今までいろいろ根回しをして夫や夫両親に預かってもらったときとは比べ物にならない「気兼ねない開放感」で、気持ちが晴れ晴れしたのでした。
早生まれで年少からではかわいそう、と言われることもありますが、我が家の場合はこれでよかった、と思っています。
降園後は相変わらず(というか語彙が増えてパワーアップしつつ)、母にベタベタの娘ですが、これももう本当にあとわずかなんだろうなあ。
「お母さんよりお友達がいい」と言われる日に笑って送り出せるように…明後日からの夏休みも、久々のべったり生活が若干ヘビーではありますが、堪能しておこうと思っています。
著者:さんしょ
年齢:37歳
子どもの年齢:3歳
もと(一応)理系。印刷会社、広告代理店で約10年働き、出産を機に退職。現在は育児をしながら在宅でデザインと印刷ディレクションをしています。
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