胎児がおなかを「ももももも」とおりてくるのがわかる。
この段階ではもう痛いとかそういう次元じゃない。
しいていうなら「なにがなんだか!」
出口の方に向かって熱くてでっかいなにかがはまり込む感覚。
「なにか」ってそれはもちろん赤ちゃんにほかならないのですが。
いきむ時に目をギュッとつむっていたら
「目は閉じないで!出てくるあたりを見て!」
と指導いただきました。
後になって助産院の先生に聞いた話では
やはり暗闇の中では感覚が研ぎ澄まされて
その分痛みも強く感じてしまうらしいのです。
それにしっかり目を開けていないと
赤ちゃんが出てくる瞬間見逃しちゃうしね。
赤ちゃんの頭が出たら後は子宮の伸縮に合わせて
いきむのをやめて深呼吸。
そうすると自然に…ずるっと…
産まれたーーーー!
実際はまっかっかでしわくちゃだし
なんかべたべたしてるし、かわいくないはずなんだけど
やっぱりかわいかったんです。
さっきまで私の体の一部だったのに
今はもうこうして私の胸の上でおっぱいくわえてるなんて
すごく不思議だなー…と思いながら
カンガルーケアをしました。
幸福感いっぱいのこの時の私は
これから始まる不眠地獄の恐ろしさをまだ知らない。
入院中はとにかく
わからないことを看護師さん達に聞きまくりました。
3時間おきの授乳は赤ちゃんが寝ていても起こしてきっちりやるべきなのか?
おむつ替えの時、おしっこだけでもちゃんとおしりまで拭くのか?
げっぷが出なかったら出るまで背中トントンを続けるのか?
沐浴の時間は午前中?夜?
すでに爪が伸びているようだが切っていいのか??(いいに決まってる)
なにしろ退院したら頼れる看護師さんはもういないのだ。
実家にしばらく世話になるとはいえ
母親の30年以上前の育児知識があてになるとは思えないし。
分娩の時にいなかった院長先生に(ゴルフ行ってたらしい)
出産5日後に退院指導を受け、無事翌日退院。
すごくよく晴れた日で、エントランスを出た時
息子が「ぴゃっ」と眩しそうな顔をしたので、
こんなちっちゃいのに日射しに当てて大丈夫かと
そんな心配までしていました。
実家までの車移動も心配で心配で
ベッド式のチャイルドシートに
覆いかぶさるようにしてずっと支えていました。
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後日談。
お世話になった産院では
退院プレゼントにミニアルバムをもらえました。
入院中の写真をすでに何枚か貼ってくれてある。
産まれてすぐの体重を計っているところや
はじめての抱っこなど、
「いつの間に撮ってたんだろうね~」と
オットと楽しく見進めていくと
そのミニアルバムの最終ページ…
息子(産後1日か2日後?)を抱いた
何故かドヤ顔の院長先生!
いや先生お産の時いなかったがなーーーーー!と
アルバムに突っ込んでしまいました。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:前川さなえ
年齢:35歳
子どもの年齢:9歳と6歳
2003年結婚と同時にフリーのイラストレーターに。 長男妊娠時、お腹が日々大きくなっていくのがうれしくて ブログを始め、現在も奮闘真っ只中の育児ネタを発信!
ブログ/ぷにんぷ妊婦~育児編~
書籍/「ぷにんぷにんぷ」(幻冬舎)、ぷにんぷかあさん(マイナビ)、5歳だって女。(KADOKAWA)
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