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最初で最期の可愛い産声。生まれて1時間でお空に帰って行った息子のこと

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初産での誕生死を乗り越えて

22歳で初めての妊娠でした。

当時の私は、病院でのエコーで心拍を確認し、今までにない喜びを感じていました。自分のお腹に命が宿ってくれたということがとても嬉しかったんです。

妊婦健診で少しずつ大きくなっていく我が子を見て「性別はどちらかな?」とか「どっち似なんだろうね?」などパパと話してました。

 

お腹の膨らみも少し目立ってきた妊娠6ヶ月。

いつもは1人で行っていた健診も、この日だけはパパも一緒に行きました。

性別も大体この時期にわかるかなと思い、楽しみに感じながら待合室で呼ばれるのを待っていました。

診察室に呼ばれ、先生がお腹からエコーを見た瞬間、深刻な表情になり

「羊水がない…」

と一言。

初めての妊娠でそれがどんなに深刻な事か、その時の私はすぐに理解する事ができませんでした。

 

それは、23週での出来事でした。

当時は仕事をしており、汗をかく季節だったため、先生から「破水した?」と聞かれた時に、「もしかしたらしたかもしれない」と言ったところ、先生から二択の選択を迫られました。

1つは羊水がない状況であるため、赤ちゃんをお腹の中から出してあげてNICUのある病院に搬送する。

もう1つは羊水が増えるのを期待して管理入院する。

というものでした。

 

まだ23週だったこともあり、破水したのかもという思いもあったため、羊水が増えるのを信じ、そこから2週間の入院生活が始まりました。

「仕事で無理したせいでこうなってしまったのかな?自分のせいで赤ちゃんに苦しい思いをさせてしまってるんだ」と責め、一向に羊水が増える気配もなく、何もできない自分がとても悔しく思いました。

 ある日、院長先生が病室に入ってきて、

「もしかしたら、母体の方ではなく胎児の方に何かあるかもしれない。ここまで羊水が増えないのはやはりおかしい。私の知り合いに胎児の病気に詳しい教授がいるからそちらに紹介状をだします。そこできっとはっきりすると思います」

とおっしゃってくださり、大学病院に転院しました。

 

私自身、赤ちゃんに何かあるかもしれないと、とても不安でたまらなくなっていました。

それでもきっと大丈夫!と支えてくれたパパは私以上に辛かったのではないかと思います。

大学病院での教授から告げられたのは、

「赤ちゃんがおしっこを出せていない。腎臓が2つとも腫れている。おしっこは作れているけど、それを出せていないから羊水も増えない。ポッター症候群という先天性の異常です

との事でした。

 

確かに、エコーでみる赤ちゃんの腎臓は肥大しており、羊水がないせいでとても窮屈そうに見えました。

ポッター症候群という病名を聞いた事がなかった私は徹底的にネットで調べました。それは何か助かる手段があるかもしれないという希望からでした。

でも、大体がお腹の中で亡くなってしまうか、生まれても数時間しか生きられないそんな病気でした。肺形成ができないため予後が悪いという事も先生から告げられた時は言葉を失いました。

お腹の中にいる間はこの子は生きていられる…しっかり心臓が動かしながら生きている我が子をみて、途中で妊娠を止める事は出来ませんでした。

妊娠継続をして自然に生まれてきてくれる事を、赤ちゃんの生命力を信じる事を夫婦2人で決めました。

奇跡が起こってきっと生きてくれると励ましあいながら過ごしていました。

胎動もしっかりあり、でも羊水がないから狭いかな?とか思ったり、今日も元気だなーって思ったりする日々が今はとても懐かしく思います。

時に、なんでこの子が選ばれてしまったんだろう?とか、

自分なんてどうなってもいいからこの子を助けて欲しいとか、

いろんな思いが当時も、そしてこれを書いている今も思います。

 

そして、出産の時。

その時は33週になっていました。

陣痛から子宮口3センチといわれ、張り止めの点滴も間に合わずに、分娩台にあがりました。看護師の方がパパに連絡を入れてくれ、私は初めての痛みに耐えていました。

パパが到着したタイミングで痛みはめっぽう強くなり、それから2時間で出産しました。

たくましい産声と共に息子は生まれてきてくれました。喜びと感動しか私にはありませんでした。肺呼吸が出来ない事を先生から言われてから声は聞けないかもしれないと、思っていたのです。

 

最初で最期の可愛い産声でした。

 

それから1時間15分。息子はお空に帰って行きました。

 

生きて産まれてきてくれたので戸籍にも載せる事ができました。

もっと生かしてあげたかった。

ずっと一緒にいたかった。

いろんな思いが駆け巡っていました。

 

無知な私にいろんな事を教えてくれた我が子にただただ涙が止まりませんでした。

生まれてきてありがとう。

1年経った今でもずっと思っています。

 

この記事を書こうか悩んだのですが、きっと同じような状況の方がいるかもしれないと思いましたし、何より息子が生きて生まれてきてくれた事を残しておきたかったので書きました。

 

そして今、私のお腹に2人目の子が宿っています。

 

いつまでも息子は我が家の長男でありお兄ちゃんです。

 

今ニュースを見れば、自分の子供を親が殺してしまうような事件がでています。

宿った命を‥これからの希望を大切にして欲しいと思います。

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