誰よりも楽しみにしていた孫の誕生
5年付き合った彼との子供を授かり、母と2人で暮らしていた家を出て結婚しました。
母は、私が小さい時にガンをわずらい、入院、手術、父との離婚。命がけで私を育ててくれました。
妊娠がわかった時、私は不安で仕方ありませんでした。
元々、子供や赤ちゃんにどう接していいか分からず、赤ちゃんが苦手。順番が違ったことや結婚に踏み込むことなど、考えることが多くてパニック状態でした。
でも妊娠検査薬を見た母が、涙を流して喜び、「あんたなら大丈夫だよ!」と言ってくれて、私は産むことを決意しました。
病院の定期健診も毎日ついてきて、
「楽しみ楽しみ」と早くも孫フィーバーになっていました。
赤ちゃんの服を買ってくれたり
気が早く離乳食を勉強したり
誰よりも楽しみにしていました。
妊娠8ヶ月の時、母の体調が悪いというので病院に行き、検査をするとガンが再発していることが分かりました。
入院をしてちゃんと治療をしても一年、そうでなければ半年
と告げられました。
母は、赤ちゃんの面倒を見たいから、入院はしないと決めました。
何度も説得しましたが、母の決めたことは変えられませんでした。
「孫の顔を見たら絶対生きる気力になる!」
と、自宅での治療を選びました。
私の仕事が産休に入ってからは、毎日母の家に行きました。
体調が良い時は健診にも来て、うごうごと動く赤ちゃんを見ては、早く会いたいと言っていました。
でも、36週の時、母は亡くなりました。
実感が湧かず、涙を流す暇もないまま、母を見送り、残されたことをやるだけでした。
ただ、赤ちゃんだけはちゃんと産まないと、という気持ちしかありませんでした。
そして予定日を過ぎ、40週と6日で女の子を出産しました。
真っ赤な顔を見て、小さい泣き声を聞いた瞬間に、涙が溢れて止まらなくなりました。
可愛くて、小さい赤ちゃん
本当に誰よりも抱かせてあげたかった
よく頑張ったねって言って欲しかった
赤ちゃんを母に会わせたかった
色々な感情で涙が止まらなくなり、立ち会いしてくれた旦那に
「ちゃんと見てくれてるよ」
と言われて、やっと母の死を受け入れました。
今は毎日母の仏壇に娘と手を合わせて、元気に育っているよ。
これからも見守っていてね。と報告しています。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:はし子
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