夫は20代の頃から漫画を描いていました。
ところが、10年ぐらいお世話になった雑誌で作品を使ってもらえなくなってしまいました。
娘を授かったのは、そんなとき。
新たに漫画を使ってくれそうな出版社を探しましたが、そう簡単にはいかず。
私も産休と育休に入っていたので、しばらく貯金を切り崩して生活をしていました。
ご家庭によって、育児の悩みはそれぞれだと思います。
うちの唯一の悩みは夫の仕事のこと、収入面が一番の不安要素でした。
娘がつかまり立ちをはじめた頃、夫がこんなことを言いだしました。
この頃夫は企業などの広告漫画を描いたり、単発のイラストの依頼を受けたり、フリーのイラストレーターのような活動をはじめていました。
エッチな漫画もジャンルのひとつだと考えているようで、描くことに抵抗はないようでした。
そういった漫画を誇りをもって描いている方もおられますし、私もとくに偏見は持っていません。
ただ、正直なところ、今このタイミングで?という気持ちはありました。
これから娘が大きくなり、保育園や小学校へ通うようになったとき、パパがそういった漫画を描いていることで、いじめられたりしないかな・・・というようなことが頭をよぎりました。
でもそのとき夫には何も言いませんでした。
エッチな漫画を描くことに抵抗がないといっても、もともとは少年マンガが描きたくて漫画を描きはじめた人です。
なんとか家族のために収入を確保しようと自分の夢から遠ざかる選択をしているのだということがわかりました。
というのも、私は誰よりも近い場所から、夫が一生懸命に漫画に取り組む姿を見ていたからです。
その後、エッチな漫画を描きながら育児をしているお父さんというプロフィールが編集者の方の目に留まることとなり、育児系の漫画を描くようになって、本の出版までさせていただきました。
不思議なもので、あの時エッチな漫画を描くという選択がなければ、今こうしてゼクシィBabyで漫画を描くということも絶対になかったと思います。
今はあの手この手である程度の収入を確保してくれています。
浮き沈みのある世界なので、この先また苦しい時がくるかもしれませんが、その時もまた夫婦で支えあって乗り越えていきたいです。
出産から1年が経ち、私の職場復帰も迫り、娘を保育園へ預ける日がやってきます。
これまで二人で育ててきた1歳の娘。
うまく保育園に馴染んでくれるでしょうか。
次回ははじめての慣らし保育の様子をご覧いただきます。
そして次回がこの『思い出摘み』の連載の最終回となります。
お楽しみに!
>>>次回のエピソード:あんなこともこんなことも、みんな幸せな思い出の中に ~小学生になる君に伝えたいこと~
年齢:40歳
子どもの年齢:6歳
育児漫画から成人漫画までこなす、さすらいの漫画描き。愛娘もっちゃんの育児を中心に綴る4コマ漫画ブログ「おひさま もっちゃん!」が人気を集める。著書に『親バカと言われますが、自覚はありません。』(KADOKAWA)がある。
ブログ:「あの日のもっちゃん」
新刊:おひさま もっちゃん! 漫画家パパの育児日記(KADOKAWA)
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