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突然やって来た2つの命

1年前---

 

私は病室のベッドの上にいた。

突然発症したヘルペス脳炎による救急搬送。

 

頭痛と、吐き気と、髄膜検査の後の背部痛…

昨日まで普通に働いていたのに、今はただ天井を眺めるだけ…。

 

不安と、切なさと、痛みとでいっぱいの傍らでもう1つの心配事があった。

 

「もし今、妊娠していたら……」

 

1ヶ月前に避妊に失敗したことを分かっていたから、今月生理が来るかどうかがとても気になっていたのだ。そしてそろそろ来てもいい時期。だけどまだその兆候はない。

 

入院した翌日の朝、担当医が聞いてきた。

「これから検査のためにCTを撮ろうと思うのですが、妊娠の可能性は無いですよね?」

よくぞ聞いてくれた!ナイス担当医!

「実は…あるかもしれないんです。」

まだ未婚だった私に驚く顔もせず、

「それは心配ですよね。じゃあ念のため検査しましょうか。すぐわかりますから。」

よかった、これでホッとできる。

尿検査ならそんなに時間はかからず結果が出るだろう。そう思っていた。

 

そして…

さっきとは明らかに違う、戸惑った顔の担当医がやって来る。

「あの…検査結果がですね、陽性でした」

その瞬間、なんとも言えない感情が湧き出てきた。

 

嬉しいような、恥ずかしいような、むずがゆいような…

 

自分の病気のことなどすっかり忘れ、今もうここに、私のお腹にいるの?生きてるの?という感動でいっぱいになった。

まさかこんな明るい病室で、妊娠報告を受けることになるとは…。

 

もちろん予想していなかった妊娠な上に、病気で伏せっている状態。それから先は大騒ぎだったことは言うまでも無い。

しかし私の中ではピンと何かの芯が通ったように、その瞬間から気持ちは母親になったと思う。

 

救急搬送されたときにレントゲンを撮ってしまった影響はないだろうか…

お正月に飲酒してしまった影響はあるのだろうか…

無事に、育ってくれるだろうか…

 

自分の病気の心配をよそに、24時間ずっとお腹にいる我が子のことばかりを考えるようになる。

「この私が、お母さんになれる…。赤ちゃんがやって来てくれた。」

 

入院していた病院に産婦人科がなかったため、転院手続きののち、初めてのエコー。

ここで胎嚢が確認できるかどうかで、正式に妊娠しているかどうかが決まる。

もし、ダメだったら…薬やレントゲンの影響を受けていたら…

と、そのとき。

 

「あ、2人いるんだねー!」

 

「…2人!?!?!?!?!? 双子ってことですか!?!?!?」

なんと!この上ないサプライズ!

白黒の画面にはハッキリと、小さな小さな胎嚢がふたつ、仲良く並んでいた。

 

「わたしが、双子の、お母さんに…」

 

願ってもいなかった幸運がやってきた。

2つの命が、わたしに…。

 

目に見えない、大きな大きなパワーが湧き出てきた。

病気で寝ている場合じゃない!

この子たちのために、誰よりも健康にならなければ…!

 

ありがとう、ありがとう…。

わたしのお腹を選んでやってきてくれたのね。

元気に大きくなってね。

たくさん抱っこしようね。

楽しみに待ってるからね。

一緒に頑張ろうね。

 

そして今、わたしの目の前には男の子と女の子の双子がいて、息をつく暇も探さないとないくらいドタバタな日々を送っている。

あのとき、小さな小さな細胞でしかなかった2つの命。

今では目の前で笑ったり泣いたり、全力で甘えて来る2つの命。

 

病気からもすっかり回復し、リハビリのおかげか手の麻痺もだいぶ良くなった。

生きる気力を与えてくれてありがとう。

家族を繋いでくれてありがとう。

元気に育ってくれてありがとう。

 

突然やってきた双子には、今も感謝しても仕切れない。

まだまだ未熟なお母さんだけど、これからも一緒に歩んでいこうね。

著者:ぐのすけ

避妊の失敗から突如双子を授かり、一気に二児の母になる。

現在0歳の男女双子育児中

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