バイバイ、コンニチハなどの身振りをしない
1歳になり、ひとりで歩けるようになったヒルマは、野生児というか好奇心のかたまりでした。
気になるものがあればそっちへ、また別のものを見つけたらそちらへと突き進んで行くばかりで、大人の身振りをまねるような愛嬌のある動作をすることはありませんでした。母子手帳の、「バイバイ、コンニチハなどの身振りをしますか?」という問いにも、迷うことなく「いいえ」に丸をしました。
私の手を使ってしたいことを知らせる
この頃、パソコンで動画を見るのがブームになりました。救急車や消防車がサイレンを鳴らして出動する様子が映った1~2分程度の映像です。
動画が終わると、ヒルマは何も言わずにわたしの右手を持って、マウスにのせます。「もう一回見たいんだね」と、再生ボタンをクリックしてあげました。こんな風にわたしの手を持つときと、たとえば欲しいものが棚の上や遠くにあって届かないときは、その方向にわたしの手を放り投げて知らせるときがありました。
それが「クレーン現象(他人の手を使って自分のしたいことを代わりにさせること。手を持つ様子がクレーンに似ている)」であることを後から知るのですが、言葉はなくてもこうしてヒルマの望みがわかるのは嬉しいことでした。
一歳児健診で言葉の発達の遅れがわかった
日中の散歩には迷子紐が必須だったり、オモチャで遊ぶときはヒルマの思う通りに動かさないと激しく怒り出したり、つみきが崩れただけで大けがでもしたかのように泣き叫んだり、夜中に何度も目を覚まして暴れたりと、一日中ふりまわされていました。
一歳半健診でもヒルマはマイペースで、保健師さんから「わんわんどれかな?」と質問されても、わたしにじゃれつくばかりで、まったく反応しませんでした。隣のテーブルにいた女の子が、次々にカードを指さすのを見て、「少しお姉さんなのかな?」と思ったのですが、後から同じ月齢だと知って驚きました。
この健診で言葉の発達が遅れていることがわかったのですが、発達障がいだとは全く気づきませんでした。