36歳で妊娠。37歳になってすぐの出産でした。
旦那さんは離婚歴がありますが、立ち会い出産の経験は無かったので、私は立ち会って欲しかったんです。
でも、仕事柄タイミングが合わなければ叶わないと私も理解していたので、期待は薄く…。更に、埼玉での里帰り出産だったので、東京から駆けつけるとなると、立ち会えたら奇跡だなぁと考えていました。
予定日から3日過ぎての妊婦健診。激しめの前駆陣痛はあるものの、まだ規則的ではないと、ふーふーしながらもお家に帰ることに。
それから3時間後、陣痛は辛いながらも規則的ではない為、耐えに耐えていたところ破水。
車中、少しの揺れで苦悶の表情を浮かべて歯をくいしばる私を、母は「揺れるねーごめんねー。すぐだからねー」と励ましつつ病院に送ってくれました。
病院のエントランスで戻すほどの痛みと戦いながら、車椅子でお産の部屋へ。
陣痛室と分娩室との移動が無い病院だったので、『ここが勝負の部屋だ』と、陣痛と戦いながら考えていました。
激しい陣痛の合間でベッドにやっと上がり、楽な体勢を取り、ホッとしたのもつかの間。聞こえてきた大絶叫。
ドラマやドキュメンタリーで観たり聞いたりしてきた出産シーンの声とはあまりに種類の違う絶叫…。
まるで目の前で事件や事故が起きたかのような、または化け物がお出ましになったかのような…。
この絶叫の時が私にも訪れるのだと、緊張が一気に高まったのを覚えています。
お隣の彼女が、お産のどの段階で、これまでどの位の時間叫んでいたのかはわかりません。
とは言え、私自身も戦っている最中。
私は、短い間隔で襲ってくる陣痛の激痛を黙ってグッと堪えていました。
母に『痛いんだから声出した方が楽だよ、隣の人みたいに叫んでいいんだよ』と言われて頷くも、楽になるとも思えないし、叫び方もわからないし、そもそも方法が分からないんだから、この痛みは叫ぶ程ではないんだ、そういう痛みはこれからなんだ…
と酸素マスクの中で、はぁはぁと自分の激しい息遣いだけを聞きながら、その音に集中していました。
すると、『そろそろいきんでみよっか』と助産師さんの声。
もう産まれるの?いや、産む時は先生だよね?あれ?足パカーンとしないの?あれあれ?と必死ながらも冷静に考えつつ、言う通りに。
『そうそう。陣痛がキツイ時にそうやってしばらく頑張っててね』と助産師さんは別のお部屋に。
行かないでぇ…と思いつつ、気づけば絶叫のお隣さんは産み終えていたようで周りは静かでした。
母と2人残された部屋。
私は痛みと戦いながら静かに全力でイキむ…の繰り返し。
途中、出血があったようで、母が私に聞こえないように、でも動揺の隠せていない小声で助産師さんに『す、す、すみません…血が…』と。
そうかー。もはや、私の下半身はどうなってるか分からないけど、それはそれは凄惨な現場なんだろうなぁ。
それでもまだ絶叫する程じゃないものな…この先どんな痛みがあるのかなぁ、と気が遠くなりかけていました。
そこへ、なんと旦那さんが奇跡の到着。
突然の破水から短い間隔での激しい陣痛だったので、私は旦那さんの携帯に連絡出来ていなかったのですが、母がすぐに知らせてくれていたのです。
そこから車をかっ飛ばして来てくれました。
『旦那さん到着しましたよー、お母さんと代わってもらいましょうねー』の声。
しかし、息も絶え絶えの私の口から飛び出した言葉は、『入れないで下さい』。
その時の私が考えていたのは…
『こんな凄惨な現場見せられない。ただでさえ痛いのにまだ絶叫が出てこないんだから、この先もっともっと痛くなって叫ぶんだ。そしたら、きっともっと凄惨な現場になるんだ。先生すらまだ来ない。足もパカーンとしてない。この先の長丁場の地獄を目の当たりにしたらトラウマになってしまうかもしれない。だから入ってもらうわけにはいかない』と。
助産師さん同士で、「あれ?旦那さんは?」「イヤなんだってー」「せっかく来れたのにね~」「(失笑)」のようなやりとり。
聞こえてるけど、その時の私は自分のお産の進み具合の質問すら出来ず、ひたすら頑なに旦那さんの入室を拒んでいました。
その時、プラッと様子を見に来た先生の「あ、もういいかもね」の声が。
そこから一気に出産準備。激痛の中、体勢を整え、分娩台仕様に変化。
あーここからが長いのか。ここからが大絶叫か。友達も30時間以上かかって産んだと言ってたしなぁ…と考えつつ、足パカーン状態に。
「次に激しい陣痛きたら、一気にイキんでね、産むよー」と。
“…へ?”
と、思った瞬間に、激痛。
全身の力を込めてイキむと…
「オギャー」
「おめでとうございます!元気な女の子!」
(嬉しい…産まれた…会えた…)
と脱力しつつ喜んでいながらも、
(え?先生来て10分位じゃない?本当にもういいの?叫んでないけど本当にもう終わり?0
と呆然と考えていました。
旦那さんも入って来て、親子3人感動の対面。
後ほど旦那さんから、
「ドラマの主人公並みに廊下走って、看護師さんに名前言って部屋へ案内されて、その目の前で『入れません』て…この上がった息をどうすりゃいいの、まさかドッキリ?とまで思った」
と言われました。
そりゃそうですね。
お産の進行具合、あとどれ位で産まれるとか、今の状態とか…最中には助産師さんには痛さで聞けないと思うので、逐一教えて下さいとバースプランの話し合いの時にお願いすれば良かったと後悔です。
混乱のまま、あれよあれよと産まれました。
それが良かったのかも知れませんが…。
病院に入ってからは3時間弱での出産でした。
それから、
痛みの逃し方、堪え方は人それぞれです。
他の人が叫んでいても、自分が叫ぶとは限らないと知りました。笑
次に出産する時はきちんと旦那さんに立ち会ってもらえたら嬉しいです。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:ぽんみん
去年の夏、第一子を出産。
現在、娘の育児に奮闘中です。
これまでに味わったことのない、可愛い、愛おしいの感情に溺れている新米かーさんです。
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