「黄疸」とは、体内でビリルビンという物質が増加して起こる現象で、新生児黄疸はかなりの確率で現れるといわれます。
そのほとんどは生理的な現象なのですぐに治まりますが、病的黄疸の可能性があり、値が芳しくない場合は、ビリルビン値を下げる治療が行われます。
その治療とは、まずは光線療法が行われます。光を当ててビリルビンの値を下げますが、光線でもビリルビンの値が下がらなければ、体内の血液をすべて置き換える「交換輸血」が行われます。
私は、この「新生児黄疸」については何も知らずに娘を出産し、出産後、退院にむけて順調な日々を過ごしていました。
退院当日の最終検査で、娘の黄疸の数値を確認した看護師さんから「黄疸の数値が低いので、再検査をします。再検査した結果、問題なければ退院ですが、同じ数値が出た場合、今日は退院できない」と言われました。
そして再検査の結果、看護師さんから「今日退院できますよ。ただ、念の為、明日再度病院にきてください」と言われ、ひとまず落ち着いて退院しました。
次の日再度病院に向かい、再検査をしたところ、黄疸が悪化しているということで、「光線治療ができる病院を紹介します」と言われてしまいました。
私は、どうしたらいいかわからず茫然としてしまいました。看護師の方が入院先を探している間、待合室で待っていると、すべてが自分の責任のような気がして、涙が流れて止まりませんでした。
再入院ということで、心配になった主人はすぐに会社を早退し、駆けつけた両親と合流し入院先の病院へ移動しました。手続きをして、照射治療の部屋へ行くと、具合の悪い入院中のお子さんがたくさんいて、薄暗い部屋の雰囲気もあり、それだけで心が押しつぶされそうでした。
すぐに光線治療が開始したのですが、その病院の光線治療の機械は、赤ちゃんが裸でないと治療ができないものでした。新生児は裸になることをすごく嫌い、沐浴だけでも泣いてしまうのに、長時間、裸で行う照射治療に、娘は泣き叫び続けていました。
小さい身体で、割れそうな大きな声で泣く姿は、とてもかわいそうで、私は涙を流し続け、主人は茫然としていました。
24時間光線治療を行い、その後は経過をみてから退院ということで、無事、3泊4日で退院することができました。
その後は、何の問題もなく、娘はすくすくと育っています。今思えば、あの時、娘を出産して、初めて自分にある「母性」を感じました。元気に育ってくれている娘、支えてくれている旦那、両親に日々感謝です。
著者:智香
年齢:30歳
子どもの年齢:0歳
2016年7月に長女を出産した新米ママです。
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