貧血で倒れてから一夜が明けた。
1度目の輸血の量は1リットル。
目がさめると気分も良く、昨夜の騒動がウソのようであった。
朝日を浴びて改めて出産した達成感と幸福感に包まれていたら、キラキラ産婦人科医が回診にやってきた。
そして出血した理由を説明してくれた<弛緩出血>。
後で調べてみても出産はもともと出血を伴うもので、子宮の収縮はその出血を止める意味もあるのだと…。
逆に言えば、子宮が収縮しなければ全ての産婦は大量出血で死ぬことになるのだと、知った時はゾクッとしたのを覚えている。
キラキラ産婦人科医は具体的にどのくらい出血したかなどは一切教えてくれなかった。
無痛分娩の麻酔費用同様、「知らなくていいこと」らしい。
「これは元気になるための輸血!
あなたは元気になって
赤ちゃんの世話以外なにもしなくていい」
とこれ以上ないくらいにキッパリハッキリ言われ清々しかった。
そして2回目の輸血が始まった。 輸血や点滴は時間がかかる。
赤子を抱きながら輸血を受けていると両手が使えないのでずっと天井をみていた。
その天井を見ながら改めて出産は命がけという言葉を反芻しつつ、
「元気になる」というフレーズをかみしめた。
そして美食の国とは思えない味のしない病院食も噛み締めた。
産婦が元気になるために2回も輸血をしてくれるのに食事のグレードはあがらない。
そんな出産後一幕inベルギー総合病院でした。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:さとえみ
年齢:35歳
子どもの年齢:3歳5歳7歳
大阪生まれの大阪育ちで似顔絵師をやっていましたが、今はフランダース地方で白目むきながら三姉妹の母をやっております。日々の生活に追われながらも絵を描くことだけは忘れたくないと時間短縮のためにたどり着いたのはiPad miniでブログ絵を描くこと。考え方のまるで違うシロクマ似の旦那様と元気いっぱいの三姉妹に囲まれて、「パトラッシュ…もう疲れたよ…」と言いながらもブログを更新しております。
ブログ:フランダースの三姉妹
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