今から12年前、娘を出産しました。37歳の初産でした。
夜の12時ごろに陣痛がはじまり、朝には病院へ。なかなかお産が進まず陣痛促進剤と人工破水でいよいよ出産!
「ひーひーふー」とか「はい!いきんで!」とかテレビでみたような知識しかなかった私は、痛みにとりあえず堪えて、最後の最後に「んーーー!!」と力めば赤ちゃんがでてくるものだと思っていました。まさか最初から自力でふんばって押し出すとは思っていなかったのです。うんこの延長とは違うんだと思いながら、言われるがままに何度もふんばりました。
ところが、なかなか赤ちゃんがおりてこない。いきんでもいきんでも降りてこない。
助産師さん二人に上からおなかを力いっぱい抑えられて気が遠くなりながらなんとか産み出しました。
なかなか降りてこなかったのは首にへその緒がぐるぐる巻きになっていたんですね。さすが多動児。おなかの中からすでに暴れていたようです。(確かに二人目よりも胎動は激しかった)
産み出す寸前のこと、ちょっと気になる一言があったんですね。会陰切開のときの医師の一言
「あっ・・切りすぎた」
えっ?
それでもこちらは陣痛のピーク。いちいち質問もしていられずギャオギャオ叫んでいたのでそのままスルーしていました。そして産まれた瞬間の医師の一言目が
「あたまでかっ!!」
娘、この世にやってきて初めて聞いた言葉が「あたまでかっ!!」
ええ、確かに頭は大きく、けむくじゃらでつきたての餅のようなものが出てきましたが、ちょっと人生の始まりとしてはアレな一言ですよね。
無事退院、しかしその後異変が
そんなこんなで生まれた後は順調で無事退院、初めての子育てであわただしくしているとなんだかオマタが痛い。
日に日に痛みは増していきお風呂で洗うと激痛が走るようになりました。
もしかして・・傷口ひらいた?まさかね?と思いつつも鏡などで確認する勇気はありませんでした。
子供を生んだ病院でみてもらうと「あー、傷口ひらいちゃってるねー、これ縫い直しとか出来ないから、塗り薬出しとくねー。半年ぐらいは痛いかもー」
縫い直しできないですと?この痛みに半年たえろと?先生本気でいってる?
結局塗り薬を出されて自分で塗る前に指で傷口を確認。見事ぱっかり。そのまま肉。見る勇気は相変わらずなかったですが、やっぱり生肉でした。
おぅわおでゃkdghなぇえおおsgh!!!と叫びながらトイレで薬を塗っていました。
赤ちゃんのお世話は、オムツ替えに授乳に、一日に十何回と繰り返されます。
そのたびに座らなければなりません。ドーナツクッションを使ってはいましたが、さけた傷口まではカバーしきれず、毎回顔がいがむような激痛にたえていました。
おまけに今も果てしない欲求のカタマリの娘は、赤子の時から私の乳は吸い尽くし、ミルクもエンドレスに飲んでいました。授乳タイムはなんだかんだと1時間×12回。
(これ、出産並みに痛いんじゃねーの・・これがあと半年も続くのかよ・・・)
絶望的な気分です。
里帰りで別の病院に
その後、一ヶ月間私の実家へ娘を連れて帰っていました。
薬を塗ってもちっともよくならないどころか座って体重をかけているために傷口が更に開いているんじゃなかろうかと思うほどの痛み。
耐え切れず実家の近くの産婦人科へ行きました。
「あー、傷口の組織がいたんでますね~。削っておきますね~。麻酔は使えないんでちょっと我慢してくださいね~。」
麻酔なし!!
叫びました。
ええ、恥らう余裕もなくおもいっきり。
麻酔なしで生肉ガリガリ削られました。
その後の回復
激痛に耐え(耐えてない)生肉を削ってもらったのが功を奏して、それから少しずつよくなっていきました。
座るたびにうぉおおおおおお!!と言っていたのは2ヶ月くらいだったでしょうか。
最初に半年は痛むといわれていたことを考えるとずいぶん早くよくなりました。
出産前に会陰切開のことが心配でネットで調べても、たいていのところは、まず傷口が開くことはないと書いてありました。実際に私のように傷口がひらいてしまった人は身の周りにもいません。めったとないことのようなので、ほとんどの方は心配することはないと思います。
たまたま娘の頭が大きすぎたのか、うっかりお医者さんが切りすぎたことが原因だったのか、運が悪かったのかはわかりませんが、たまーにこういうこともあるようです。
同じように傷口が開いた方のお話をネットでみると、出血がある場合は再縫合してくれるそうですね。私は傷口からの出血はなかったので縫ってはもらえませんでしたが・・。
その後、別の病院で二人目を出産しましたが、傷口がひらいてしまうこともなく、順調に治りました。
妊娠中、出産、産後も苦痛と戦うことばかりでしたが、子供が育っていく姿をみていると、そんなことはどうでもよく産んでよかったなぁと思います。
辛いこと苦しいことを経て、小学生になった今でも子育ての悩みは尽きることがありませんが、一人の人間が自分の体から出ていき(不思議!)一人の人生を歩んでいく姿をみているのはとても楽しいです。
ちょっと人とは違うユニークな子供たちを授かりましたが、それもまた面白いものです。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:なないお
年齢:アラフィフ
娘 2005年生まれ、息子 2007年生まれ
発達障害を持つ子供たち二人を育てるシングルマザー。乳がんを患い治療中。頭の中をTwitterに垂れ流しながら復活の呪文をとなえています。
娘:明るくスパイシーなアクセル全開系女子。ADHD(注意欠陥多動性障害)、アスペルガー症候群。
息子:おだやかで刺激に弱いダジャレ数学少年。自閉症スペクトラム(広汎性発達障害)
ブログ【うちの子流~発達障害と生きる】URL:http://nanaio.hatenablog.com/
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