一歳になる娘がいます。妊娠初期から悪阻が酷く精神的にも身体的にも毎日辛く泣いてばかりいました。
経済的なこと、無事に出産できるか…。
そんな時、いつも実父は病院への送り迎え、必要あれば顔を見に来て励ましてくれました。
『大丈夫』それが父の口癖でした。
予定日間近になっても産気づかず急遽、帝王切開になりました。病室に戻ると父は泣いていたそうです。安心と喜びとでいっぱいになったのでしょう。私はその時のことは覚えていません。
それから、孫が可愛くて仕方ないと言わんばかりに可愛がってくれました。しかし、昨年11末に癌が見つかりました。しかも余命一カ月。信じられなかったし、信じたくありませんでした。これから、孫の成長を楽しみにしていくはずだったのに…。家族全員どうしたらいいのか、でも希望は捨てませんでした。
絶対に治してやると…。
しかし、日に日に衰えていく父。亡くなる前日、痛み止めの副作用で意識が朦朧とする中、私は一生懸命父に、孫が来たよと話しかけました。すると、いくら話しかけても目の焦点が合わず反応しなかった父が、娘に向かって手を差し伸べしっかりとした眼差しで見つめてくれました。
そして、『みんなで祈ってるからね』と伝えると父は『ありがとう』と言いました。
それが最期の言葉になりました。翌日、私たちがちょっと病院から出ている間に息を引き取り、最期を見届けることは出来ませんでした。
何があっても、幼い頃から背中押してくれた父。
いつも味方になって応援してくれた父。
父が亡くなった今でも実感はありません。
どこか旅にでも行ってるのかと…。
父は、あんなに孫の誕生を楽しみにしていてくれた、顔を見せられて良かったと言い聞かせる毎日です。まだまだ悲しみは癒えませんが、娘が大きくなったら間違いなく自慢出来る父です。
著者:きょん
一歳になる娘がいます。最近、夜泣きが酷く眠たい毎日です。仕事との両立にも悩んでいます。
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