夫は毎日家に帰ってくると、子どもと私に1人ずつ「今日はどうでしたか?」と聞いて回る。
長女は毎回「楽しかったー」と答える。
「色々思い出す前に、先に声に出しとくの。楽しかったーって。それから『今日はどうだったかなー…』って思い出すと、楽しいことが色々浮かんでくるんよ。脳みそは単純だから、先に『楽しかったー』って言っておけば、そっかー、今日は楽しかったんだねって騙されてくれるんだよね」
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次女はだいたい「普通~」と答える。
夫が、「普通だったの、それはよかった。今日も無事に一日が終わったね」と答える。
末っ子は「楽しかった~!」とか「つまんなかった~」とか返事は色々。
夫が「何が楽しかった?」とか「何がつまんなかった?」とか聞くと、「忘れちゃった~」と答える。
「そっかそっか。すぐに忘れる事ができるのは一種の才能だね」と言って、夫は次女をおんぶし、末っ子の頭を撫でる。
10年前、長女が生まれてからしばらくの間、睡眠がプツプツと切れる夜を過ごす内に、私は少しずつ自分がボロボロになっていくのを感じていた。
今日は誰とも会話してない。そうだ、コンビニの人に「ありがとうございましたー」だけ言われたっけ…
気がついたらまだ昼の3時で、これから夫が帰ってくるまで6時間もある。色々やることが溜まっているのに、何もできない。
でも、時間はジリジリとノロノロと進み、長女はまだ何も喋らず、こちらも赤ちゃん言葉で話しかけるもそんなに間は持たない。疲れた…
夫が帰ってくると、また「今日はどうでしたか?」と聞いてくる。
ああ、今日も何もやってない。
食卓の上めちゃくちゃだし、台所は食器が山積みだし、洗濯機の前に洗濯物がうずたかくなってるし、床はザラザラだし、髪の毛はどんどん抜けて、目が疲れてショボショボしてうまく開かなくて、頭はずっとぼんやりしていて、何もやってないんだよ…
毎日毎日どうでしたかって聞かないで…
私は「何もやってないよ」と答えた。
すると、夫が「それは良かった、ゆっくり休めたでしょ」と。
「野球の投手でも投げた後の中2日とかが大事でしょ。連投してたらすぐに肩がつぶれちゃうから。きっちりと何もしない時間を作るの大事、それも子育てのローテションの一部だからね」
私はずっと、夫が肯定してくれることに支えられてここまで来られた。
「今日はゲームしてた」というと、「それは良かった、リフレッシュできたでしょ」と笑ってくれた。
あれから子どもは3人になって、もうすぐみんな小学生になる。ダメだ…今日も一日うまくいかなかった…と私が疲れて下を向いている日も、毎日毎日夫が声をかけてくれた。
「大丈夫、順調、うちの子育ては順調そのものだよ。僕が小さい頃から描いていた家族そのもの。みんなが床でゴロゴロしていてテレビ見てお菓子食べて笑ってるの。それを見て、僕らが笑ってるの。」
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著者:とけいまわり
年齢:40代
子どもの年齢:9歳、7歳、5歳
小4長女、小2次女、5歳末っ子の三姉妹の母。40代教育職WM。趣味は囲碁と漫画
生き物、宇宙等、科学の話題が好き。人混みが苦手で一人が落ち着く 。プロフィールイラストは、にゃぐははさん作@hahanyagu
Twitter:@ajitukenorikiti
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