「希望があれば埋めてくださいね。」
臨月に入る頃の健診で産院側から手渡された1枚の用紙。
そこで初めて“バースプラン”という言葉を知ることとなりました。
今まで「旦那が立会う出産」というのがあることくらいは知っていましたが
「こんなBGMの中で出産したい」
「無痛、和痛で分娩したい」
「写真撮影やビデオ撮影で記録を残したい」
といった出産においての希望や
「産後は入院中、エステやマッサージを受けたい」
「部屋でアロマを焚きたいから個室希望」
「ママ友が欲しいので大部屋希望」
などなど…
産院ごとの規定もあるそうなので全てが希望通りに叶うとは限りませんが、こんなにも事細かにプランを立てられるのか?と感心。
とはいえこういう出産にしたい!といった希望も特になく。
また、主人が出産時に日本に居ないだろうと思っていたので、空欄がほとんど埋まることのないまま読み進めていました。
ところが…
「え?こんなことできるの?」
と手が止まったのは…
「へその緒カットを希望しますか」
え?へその緒って素人が切れるものなの?
我が子のへその緒を自分で切ることができるなんて!
ぜひ自分で切ってみたい!
と突如衝動にかられ、その時ばかりは助産師さんに質問攻め(笑)
その産院では、大体は立会いの旦那さんたちが切ることが多いとのことでしたが、
自ら切ることもできるとのことで、私は迷わず希望にマルをつけました。
一人きりの出産で心細さもありましたが、
へその緒を切るといった任務ができた私は楽しみが増え喜んでいました。
そう、陣痛が来る前までは…(笑)
前回記事でも綴りましたが陣痛の痛みが私にとって想像を絶するもので、
長引く前駆陣痛、痛みによる嘔吐(2回)進まぬ陣痛、促進剤、和痛分娩、吸引分娩、出血多量と、結局息子が出てきたときは母子ともにくたくたヘロヘロ。
長時間頑張ってくれた息子の頭はやや伸び(吸引のせい)、
弱々しい泣き声で、まるで紫色の宇宙人。
感動して泣いたりするのかと思っておりましたが、
疲弊しきった私の頭の中は
頭の中は「疲れた、寒い。もう眠りたい。」ともはや抜け殻。
「おめでとうございます!ではお母さん!ここでひと仕事ですよ!」
とそんな私とは対照的にテンションの高い助産師さんたちの声。
あ、そうでした。
へその緒カットするんでした。
助産師さんがへその緒をあらかじめクリップのようなもので止め、
そのクリップの先から数センチ先を切るようにと指示を受けました。
「ここをチョンと切ってくれたら大丈夫だから」
と軽い感じで説明されるも
「え?本当に大丈夫かな?」とちょっと緊張。
さっきまで泣いていた息子も緊張が伝わったのか(?)すんと泣き止み
こちらをめっちゃ見ている…(笑)
疲労と緊張の中、
早く切ってしまいたい!!という思いとは裏腹に
出産で体力を使い果たし、力が入らないせいか、使い慣れない形のハサミのせいか、はたまたこのなんともいえないゴムのようなムニムニとしたへその緒のせいか…
全然切れないやないかーーーーい!!!
「出産に時間がかかり助産師さんも早くしてと思っているに違いない」
と勝手に無言の圧を感じつつ、まごまごしちゃいられないという思いの中、なんとか切ることに成功。
焦りと必死感が勝り、ヘソの緒カットを楽しむこととは程遠い結果となってしまいましたが、今となっては、いつか息子に「あなたのへその緒はお母さんが切ったんだよ」と言える日が来ることは楽しみの一つとなっています。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:mito
年齢:30代
子どもの年齢:2歳
インスタグラム:@sitter_nico
ブログ:意識低い系妻のワンオペ育児
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