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発達障害の子どもへの配慮を学校側に求められる? 交渉の仕方一つで広がる可能性 by なないお

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発達障害を持つお子さんの場合、学校生活では何かと困ったことが起きてくることが多いと思います。

自閉症スペクトラムやADHDなどの診断があってもお子さんの状況によっては普通学級の場合も多々ありますし、支援学級といっても完全な支援があるわけでもありません。

そこで、我が子に対してこのようにして欲しい、これで困っているのだがどうにかして欲しい、などと学校に対して要望をしていかなくてはならないシーンが出てきます。

 

でも、SNSなどで見ていると、全く配慮してくれない、負担が大きくて不登校になってしまったなどの話はよく見かけます。

実際、学校や先生によっては特別支援に対しての理解もない場合もあるようです。

ただ、同じ学校、同じクラスであっても、保護者と先生の関係や、交渉のやり方次第によってはお願いが通る場合と通らない場合があります。

 

学校と交渉となるとハードルが高いと感じる方は多いと思いますが、ちょっとしたコツでスムーズに話し合いを進める方法もあります。

学校や先生にも色んな方がいるので全てにうまくいくとは限りませんが、その可能性を少しでも上げる方法についてお話したいと思います。

 

<合理的配慮とは>

ちょっと難しい法律の話になりますが

平成25年に定められた障害者差別解消法に則り、合理的配慮が行政機関等は法的義務、事業者は努力義務が定められました。

障害者側から社会的障壁の除去を求められた場合、公立学校は過度な負担にならない限り合理的配慮を提供する義務があるということです。

とりあえず、配慮をして欲しい旨を申し出た場合、話し合いを学校側は拒否することは法的にできないことになっています。ただし配慮の内容は話し合いの上でなので拒否できないわけではありません。そして申し出がない限り合理的配慮をする義務はないということです。

これは障害者手帳を持っていなくても、普通学級に通う発達障害児にも適応されます。

ただ、最初から法律を盾に話し合いをしようとするとやっぱり角が立ってしまい、相手の態度を硬化させてしまいます。

これは最後の伝家の宝刀みたいなものだと思っておいたほうがやりやすいです。

 

<先生はともに子供を育ててくれるパートナー>

中には無理解な先生のお話もちょこちょこ耳にはしますが、基本的にほとんどの先生は子供の育ちを家庭と共に支えてくれる人です。私たち保護者の味方です。

ただ、近年は学校の先生の過度な残業など労働環境も問題になっており余裕のない先生も多くいらっしゃいます。

なので極力敵に回さないこと、常に感謝の言葉や労いの言葉を添えつつ、相談を持っていくようにします。

お忙しいのにすみません、いつもありがとうございます、頼りにしています、色々と助かります、などの一言を毎回付け加えることで随分と変わってくることがあります。

 

<まずは相談から>

発達障害児を育てていると家でも子供に合わせた工夫を色々とされているご家庭も多いかと思います。

そこでよくやりがちなのが、学校に最初から「〇〇してください」と言ってしまうこと。

これは交渉としてあんまりお勧めできません。

保護者は長い時間過ごしてきているだけにお子さんの特性を一番わかっているものですが、保護者が知っているお子さんの特性がそのまま学校でも同じとは限りません。

環境が違えば行動も変わります。家でやっている対策がそのまま通用するとは限らないのです。家でできないことが学校ではできる、家でできていることが学校ではできない、こんなこともよくあります。

そして、話し合いに行く時にお子さんからこういうことで困っていると話を聞いたことがきっかけになる場合が多いと思いますが、言語化があまり得意でない場合もありますし、認知面の偏りから違う受け取り方をしている場合も多々あります。

なので、まずは困りごとを伝えて現状確認を家庭と学校の双方の視点から話し合うのがよいかと思います。

うちの娘の場合、学校と家の顔が別人なので、この現状確認の段階でお互い驚くことがしばしばありました。

 

双方から問題の現状確認ができたら、その上で何かできる対策はないでしょうかと先に尋ねてみる方がスムーズです。過去の配慮の事例が出てくる場合もありますし、学校側からこちらが思ってもみなかったような提案が出される場合もあります。

学校側からの案を尋ねたあとに、家ではこのように工夫しているのですが、学校ではできないかどうかを聞いてみます。

そうして双方から案を出し、現実的に可能な支援を探って行きます。

 

先に提案を出さない理由としては、仮に支援学級であったとしても学校は個別指導の場ではなく、先生一人で複数の児童を見ていかなければなりません。学校という枠組みにおいて先生ひとりにできることには限りがあります。先ほどの合理的配慮における「過度な負担」がどのラインなのかは学校や先生の状況によって決まるからです。

そして相手は教育のプロであるわけですから(特別支援は仮にあまりご存知なかったとしても)こちらが指示をする形はできれば避けたいので、後で一案として提案したほうがスムーズに行くことが多いのではと思います。

 

① 相手を労う言葉、感謝の言葉は忘れない。

② 相談したいことに対して双方からの現状確認

③ 「何かできることはないでしょうか」と学校側からできる支援について尋ねてみる

④ こちらから提案してみる

⑤ その中で可能な支援方法を話し合う

 

順番を間違えないだけで、話の通りかたはぐっと変わってくるかと思います。

合理的配慮とは、こちらの提案を相手に飲ませることではなく、双方の話し合いで折り合いをつけることです。100%の回答を求めることではありません。

学校も保護者も互いに出来る範囲で、子供がよりよい学校生活を送れることを目的に話し合いをしていきます。

そして一度配慮をお願いしただけでうまく行くとは限りません。問題が解決するまで継続して観察し、新たな対策を立てて行く必要があります。

最低でもその先生に1年間は子供を預けるわけですし、可能な限り良好な関係を保てるとよいですね。

 

私も過去には法律を盾に教育委員会に突っ込んで交渉しに行って玉砕したり、失敗も色々とありました。ご理解のある(こんな保護者でも心の広い)先生方に恵まれたおかげで、サポートを受けながら子供達は学校に通ってきました。徐々に支援がなくてもやっていけることも増えてきています。

その経験から交渉のやり方次第で随分と結果が変わってくることを学びました。

もちろん全ての場合にうまく行くやり方などはありません。学校の理解も先生のタイプも様々です。少しでもお子さんの困難を少なく、学校生活を送る可能性を広げていただけたらなぁと思います。 

 

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著者:なないお
年齢:アラフィフ
娘 2005年生まれ、息子 2007年生まれ

発達障害を持つ子供たち二人を育てるシングルマザー。乳がんを患い治療中。頭の中をTwitterに垂れ流しながら復活の呪文をとなえています。

娘:明るくスパイシーなアクセル全開系女子。ADHD(注意欠陥多動性障害)、アスペルガー症候群。

息子:おだやかで刺激に弱いダジャレ数学少年。自閉症スペクトラム(広汎性発達障害)

ブログ【うちの子流~発達障害と生きる】URL:http://nanaio.hatenablog.com/

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。