幼い子が被害に遭うニュースを見るたびに、暗い気持ちになります。
親として、大人として、子どもたちを犯罪から守るために、話すべきこと。たくさんありますが、どう伝えたらいいのか、悩ましいです。
「知らない人にはついていってはいけない」、いや、「知ってる人にもママに内緒でついていってはいけない」、いやそれも、「ママが呼んでるから」って騙されることもあるらしいし、もう。
誰も信じられなくなってしまいそうです。
上の子年長さん、下の子年少さんの頃の話です。
上の子がちょっとニヤニヤしながら「ねえママ、鬼って本当にいるの?」と聞いてきました。
そろそろ「鬼なんていない」という話になる年頃、ついに来たようです。
さて、どう答えよう、と考えた時に、あることを思いつきました。
「いるよ。めっちゃ悪いやつ。悪鬼(あっき)って言うんだけどね」
ドキッとする子どもたち。話しながら、私も心底嫌な顔をします。
「嘘ついて騙して、お金や物を盗んだり、鬼の山に連れていって、鬼として働かせたりするんだよ」
……こういう時に咄嗟に設定がペラペラ出てくるの、物心ついた頃からの『物語好き』のおかげでしょうか。
しかし、嘘ではなく、作り話でもなく、あくまで、【現実の比喩】として話します。そう、窃盗や詐欺、誘拐、未成年者略取という犯罪行為をする者として。
子「でもオレ、見たことないよ」「わたしも」
私「鬼はまず、普段は鬼の山にいるからね。桃太郎みたいなのに見つかって成敗されたら嫌だから、強いものには見つからないようにしてるんだよ。2人には、ママやパパやばあばがいつも一緒にいるでしょ?だから寄ってこないんだよ」
子「……!!」
私「だから子どもだけで、大人が見えないところに行かないでね」
子「い、行かないよ!」
私「でもあなたたち、たまにスーパーとかでピューっと走っていっちゃうことあるでしょ」
子「え~、スーパーには鬼、いないでしょ、大人いっぱいいるから」
私「それがね、鬼は大人に化けてることもあるんだよ」
子「!!!」
私「恐ろしいことに、鬼は、知ってる人……ご近所さんに化けたり、先生や、ママに化けるかもしれない」
子「やだー!!」
私「だから、本物のママから見えるところにいてね。知ってる人でも、おかしいなと思ったら、ママを呼んで。『ママに聞いてくる』って言うだけで、鬼はバレたらやばいと思って逃げていくこともあるそうだよ」
子「わかった!!」
私「あとね、鬼は、夜になると山から降りてきて悪さすることが多いんだよ。闇に紛れちゃえば化ける必要もないからね。だから、外が暗くなったら家に入ってね。」
子「うん!!」
私「ほんとね、鬼は怖いからね、気をつけようね」
といった感じで。あくまで現実との辻褄を合わせつつ、『脅し』にならないよう、極力気を付けて。
そして、上の子小2、下の子年長さんになった今も、鬼の話をします。
少しずつ発展していって、鬼は鬼でも……「鬼は、弱ってる人の心に入り込んでくるんだよ。」心に棲まう鬼について。
「ママの心にも、入ってくること、あるよ。」そんな「鬼」との付き合い方など。
伝えたい「キモ」が伝わるよう、子どもたちにわかりやすい形で、使わせてもらっております。
著者:うだひろえ
年齢:40代
子どもの年齢:小2と年長
website:http://umeyon.net
最新刊:「大学4年間の経営学がマンガでざっと学べる」(マン
※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。
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