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【小児科医監修】「共感性羞恥」ってどんな状態?わが子がなったらどうしたらいい?

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「共感性羞恥」という言葉を知っていますか。「初めて聞く」というママも多いと思います。

4歳の娘を育てる筆者のぴく子さんも「共感性羞恥」という言葉を人に教えてもらうまでは「なぜうちの子だけこんなに怖がりなんだろう?」と、思っていたそうです。

 

 

そこで共感性羞恥とはどんなものなのか、どのような子どもがなりやすいのか、受診の必要性や接し方のポイントなどを小児科医で、こどもの心相談医の眞々田容子先生に伺ってみました。

 

Q:「共感性羞恥」とはどんなものでしょうか

A:共感性羞恥とは他の人が怒られる、失敗するところを見ると、あたかも自分のことのように感じてしまう状態のことです。子どもだけでなく、大人にもみられます。病気ではないので、その人の特徴、性格の一部ととらえるといいでしょう。

ちなみにちょっと難しい「共感性羞恥」という言葉は、英語の心理用語である「empathic embarrassment(共感できる、感情移入する/恥ずかしい思い、困惑)」が由来といわれています。

 

 

 

Q:ぴく子さんの投稿文にもありますが、共感性羞恥の子どもはどんな時にどのような様子になることが多いのでしょうか。

 A:たとえばテレビドラマを見ていて登場人物が嫌なことをされそうなシーンをみると、思わず泣いてしまうというのは、共感性羞恥の代表的な例の1つです。

実生活では、保育園や学校の友だちが先生に怒られるシーンなどをみると、自分が怒られているわけではないのに、泣いてしまう、おびえてしまうなどの例があります。

ぴく子さんの投稿文にもあったように、サスペンスシーンやおばけが出てくるなど、一般的に「怖い」ものであっても、自分が感情移入しないものに対してはケロッとしている傾向にあります。

 

Q:「人の気持ちが理解できる」のは、素晴らしいことですよね…

A:確かに人の気持ちを考えられることは、大きな魅力の1つです。

ただ本人からしてみると大変な面はあります。感情移入しやすいせいで、心がすぐにザワザワするので、精神的に疲れやすくなる人が多いそうです。それが積み重なると「友だちが怒られるのを見るのがつらい…」となり、不登校につながるケースも。

また、周りから「なぜこのくらいのことですぐに泣くの?」と言われることが多いと、「私っておかしいのかも…」と悩んでしまうこともあります。

 

Q:共感性羞恥かはどうやって診断されますか

A:今のところ共感性羞恥かどうかを検査する方法はありません。ママやパパから聞くお子さんの状態と、実際の診察時の様子などを総合的にみて医師が診断します。

 

 

Q:共感性羞恥になりやすい子のタイプはありますか。また、成長するにしたがってその傾向は弱まっていきますか

A:共感性羞恥になりやすいタイプというのはありません。ただ、子どもの共感性羞恥について相談に来るママやパパの中には「私も子どもの頃、ドラマでつらいシーンとかあると見ていられず、チャンネルを変えていた」という人も少なくありません。

すなわち親が子どもの頃に人に対して感情移入しやすかった場合は、子どもも同じような傾向を持っている可能性があります。

 成長するにしたがってその傾向が弱まるかは人それぞれです。ママやパパ、周りの接し方によっては、だんだん自分自身で感情をうまくコントロールして対処できるようになる人もいます。

 

Q:「うちの子、共感性羞恥かも…」と思ったとき、親としてはどのように接するのがいいのでしょうか。

A:子どもが抱えている感情をまず吐き出させてあげてください。もし泣いていたら、「なんで泣いているの?」とやさしく問いかけましょう。 そして、泣いている理由を話してくれたら、「そうだよね。悲しくなっちゃうよね」と、子どもの気持ちに共感することがとても大切です。

 「こんなことぐらいで泣かないの!」「これだけで怖がるなんておかしいよ」などと、子ども行動を評価したり、正すような声かけは禁物。まずは子どもの気持ちに寄り添ってあげてください。

 

 

 共感性羞恥は病気ではありません。ただ、「共感性羞恥っぽいけれど、1日に何度も頻繁に泣いている」、「どう接していいか戸惑ってしまう」など、ママやパパが育てるうえで不安を感じることもあるでしょう。そんな時は1人で悩まずにかかりつけの小児科医に相談してみてくださいね。

 

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眞々田容子先生(クローバーこどもクリニック 院長)

小児科医。2001年、信州大学医学部卒業後、同大学付属病院小児科、市立甲府病院、帝京大学医学部附属溝口病院小児科、賛育会病院小児科・新生児科医長を経て2015年にクローバーこどもクリニック院長に就任。ママドクターとして、子どもの健康はもちろん、ママの育児の悩みにも寄り添い、アドバイスや相談にも乗ってくれる。

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