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【医師監修】無痛分娩って本当に痛みがないの?安全性は?気になる部分を聞いてみました!

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もともと痛みに弱かったというmmmikさん。赤ちゃんを産むにあたり、陣痛や出産の痛みに耐えられるかが心配だったそうです。また、産後の体力を温存したいという考えもあり、迷うことなく無痛分娩を選択し、無事、出産をしました。

 

 

mmmikさんの投稿記事:無痛分娩体験記

 

 

mmmikさん自身は無痛分娩を体験してみて「個人的な意見ですがオススメ」と言っていますが、「本当に安全に産めるのかな?」と思っている妊婦さんもいるでしょう。

 

そこで今回は、無痛分娩とはどうやって痛みを取り除くのか、本当に痛みを感じることなく産めるのか、安全性についてなど、「無痛分娩」について気になることを田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山先生に教えてもらいました。

今、まさに「無痛分娩にしようか迷い中…」という人はぜひ読んでみて下さい。

 

 

Q1:無痛分娩とはどのような分娩法ですか

A::麻酔の力によって陣痛や出産の痛みを緩和させる方法です。

出産する際の陣痛時の痛みや、赤ちゃんが産まれる直前におしりや外陰部周辺に感じる強烈な痛みを、麻酔の力によって緩和させる分娩方法です。

麻酔は下半身の痛みだけを取る局所麻酔なので、いきむことも可能で、生まれてくるときの感覚もわかります。

麻酔を使用したり、管理体制を整える必要があるため、通常の自然分娩に比べて分娩費用が高くなります。

 

Q2:どのような方法で痛みを緩和させるのでしょうか。

A:背骨近くの硬膜外腔に管を入れ麻酔薬を入れて痛みを和らげます。

まず、背中から針を刺し、背骨下にある硬膜外腔という部分に直径1mmぐらいの細くて長い管を挿入。痛みを感じ始めたらそこに麻酔薬を注入して痛みを緩和させていきます。これを「硬膜外鎮痛法」といいます。

硬膜外鎮痛法以外に点滴で鎮痛薬を投与する「点滴鎮痛法」があります。点滴鎮痛法は硬膜外鎮痛法に比べて準備や処置は簡単ですが、鎮痛効果が弱いのが特徴。さらに、静脈に鎮痛薬を流すことにより、胎盤を通して赤ちゃんにも薬の成分が届くため、生まれてきた赤ちゃんが眠そうだったり、呼吸があさくなるケースがあります。

現在、無痛分娩の多くが硬膜外鎮痛法で行われていますが、どちらの鎮痛方法で行っているかは各医療機関に確認してみるといいでしょう。

 

 

Q3:無痛分娩に向いているのはどんな人でしょうか。

A:痛みに弱い方や肺や心臓にトラブルを抱える人などは無痛分娩向きの可能性が!

自分で「とても痛みに弱い…」と感じている方、痛みへの恐怖が強い方は無痛分娩を選択するのがいいでしょう。

また、医師から無痛分娩を適応するケースもあります。

たとえば心臓や肺にトラブルを抱えている妊婦さんがそれにあたります。無痛分娩をすると、陣痛中に消費される酸素の量も少なくて済むため、出産時に心臓や肺にかかる負担を減らすことができます。

さらに妊娠高血圧症候群で赤ちゃんの血流が減っている妊婦さんは、強い痛みを感じることにより、より赤ちゃんへの血流が悪くなる可能性があるので、無痛分娩が適応されることがあります。

妊婦さん自身に脳血管疾患がある場合も、強い痛みを感じることでその疾患が悪化することがあり、痛みが少ない無痛分娩をすすめられる場合があります。

 

 

Q4:逆に無痛分娩に向かない人、できない人というのはどういう方でしょうか。

A:血液が固まりにくい人、背骨が変形している人などは無痛分娩NGな場合も。

血液が固まりにくい人は、硬膜外血腫といって手術が必要な大きなトラブルになる場合があるのでNGです。

また、背骨の下の硬膜外腔に針をさして管を通すため、背骨が変形している、背中の神経に病気がある場合などは、無痛分娩ができないことがあります。

さらに極端に太っている人も脂肪が厚いため硬膜外腔に管を挿入しづらくなってしまうため、無痛分娩不可になることがあります。

無痛分娩を希望した場合、多くの医療機関で事前に麻酔を使う注意点をはじめ、無痛分娩についての説明があります。無痛分娩の数が多い医療機関などは、「無痛分娩講座」を開講し、希望する妊婦さんの受講を必須としているところも。さらに無痛分娩の適応可否を調べるための血液の凝固検査や背骨の形のチェックなどが行われます。

 

Q5: 記事には「ところが13時頃突然下腹部痛がありました」とありますが、途中で痛みを感じることはあるものなのでしょうか。

A:無痛といっても「まったく痛みを感じない」わけではありません。

最初から痛みを全く感じないほど麻酔薬を投与すると、呼吸が浅くなる、意識が朦朧とするなどのトラブルが起こる可能性があります。医師や看護師は、妊婦さんの痛みの感じ方を細かくチェックしながら投与する麻酔薬の量を調整していきます。

確かに文字では「無痛」と書きますが、実際にはまったく痛みが無いわけではなく、「和痛(痛みをやわらげる)」分娩という表現が近いかもしれません。

 

Q6:「もちろんリスクもある」とありますが、無痛分娩のリスクを教えてください。

A:怖いのは麻酔薬が硬膜外腔ではなく、脊髄くも膜下腔に入ってしまうこと。

無痛分娩のリスクはいくつかあります。

薬によって痛みを緩和するため陣痛がつきづらくなり、陣痛促進剤を使う妊婦さんの割合が高くなる傾向にあります。

陣痛促進剤を使うと子宮やおなかの赤ちゃんにかかる負担が大きくなる可能性があったり、麻酔によっていきみにくくなることで産道付近で赤ちゃんの動きが鈍くなって、鉗子・吸引分娩の可能性が高くなることも。

さらに、麻酔が効き始めた後、一時的に子宮の収縮が強くなることで、おなかの赤ちゃんが一時的に苦しくなって心拍数が低下することがあります。硬膜外麻酔による副作用で足の感覚が鈍くなる、一時的に自力で排尿するのが難しくなる、体にかゆみが生じる、頭痛などのトラブルを感じる人もいるようです。

そして一番怖いのが、管の挿入する場所を間違えて麻酔薬が硬膜外腔ではなく、その下の脊髄くも膜下腔に入ってしまうことです。妊婦さんの生命の危険を伴ってしまうので、注意が必要です。医療機関側もこのような事故を防ぐために、麻酔薬の量を慎重に調整したり、妊婦さんや赤ちゃんの状態を細かく確認するようにしています。

 

Q7:無痛分娩はどこの分娩施設でもやっているものでしょうか。

A:分娩する病院を決める際に前もって無痛分娩をしているか確認を。

無痛分娩を扱っているかは医療機関によって異なります。そのため分娩を考えている施設を選ぶ際、無痛分娩に少しでも興味がある場合は取り扱いしているか確認をしておくことが大切です。

また、無痛分娩を取り扱っている医療機関でも24時間いつでも無痛分娩ができる施設もあれば、麻酔担当の医師が常駐している時間帯だけ無痛分娩可能としている医療機関などもあります。

各医療機関のホームページを見たり、本格的に通院する前に聞いてみるといいでしょう。気になる場合は、無痛分娩を手がけた数や無痛分娩時の管理体制について質問し、分娩前にモヤモヤや不安を解消しておくことが大切です。

 

 

 

現在では、無痛分娩を扱う医療機関は日本産科婦人科学会が定めたガイドラインに則って分娩を行うようになったため、より安心して無痛分娩で赤ちゃんを産めるようになりました。

無痛分娩が60%にも及ぶアメリカやフランスに比べて、平成29年度の厚生労働省の研究資料によると日本は5%程度 と、まだまだ無痛分娩を選択する人は少ないですが、今後増える傾向にあるでしょう。

ただ重要なのは自分が希望する方法で出産すること。「周りの人が無痛にしているから…」で選ぶのではなく、妊婦さんが「したい出産」を選択してくださいね。

  

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杉山太朗先生
医学博士。田園調布オリーブレディースクリニック院長。
 
2001年信州大学卒業後、東海大学医学部付属病院、東海大学医学部専門診療学系産婦人科講師を経て、2017年に田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。やさしい先生のお人柄とわかりやすくソフトな説明に惹かれ、遠方から通う患者さんも多い。4人のお子さまのパパ。
※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。