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【医師監修】妊娠中に副鼻腔炎になっても薬はNG? 症状と治療方法などを聞いてみました!

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妊娠36週に強い歯の痛みと頭痛に見舞われたナコさん。

 

痛みの原因は副鼻腔炎だったそうです。この辛すぎる痛みをどうにかしたいと思い、耳鼻科を受診しましたが、「妊娠中は鎮痛薬を処方できない」と言われ、その後、かけこんだ産婦人科でも鎮痛薬を処方できないと言われ、痛みにもだえ苦しんでいたそうです。

 

そこで副鼻腔炎とはどんな病気なのか、妊娠中にかかると悪化しやすいのか、ナコさんのように妊娠中は鎮痛薬を処方してもらえないことが多いのかなどを、普段から多くの妊婦さんの診察を行っている、田園調布オリーブレディースクリニックの杉山先生に聞いてみました。

 

 

Q:副鼻腔炎とは一般的にどんな病気でしょうか。かかったかなと思ったら何科を受診するといいでしょうか。

A: かぜのウイルスや細菌、アレルギーなどが原因で、鼻の中(副鼻腔)の粘膜に炎症が起こる病気です。

 

風邪(ウイルスや細菌感染)やアレルギーなどがきっかけで鼻の中で炎症が起きると、鼻の粘膜が腫れたり、粘り気のある鼻水が出てきます。

 

この腫れや鼻水によって、副鼻腔と鼻の間の通り道がふさがると、副鼻腔から分泌物や異物を外に出せなくなって、鼻水や膿がたまり、炎症が起きます。

それが副鼻腔炎と呼ばれるものです。

 

アレルギー性鼻炎にくり返しかかっている人はなりやすいかもしれません。「かかったかも」と思ったら、耳鼻科か内科を受診してください。

 

 

Q:副鼻腔炎になるとどんな症状があらわれますか。

A:鼻汁や鼻づまり、鼻の周りや顔面の痛み、頭痛などがあらわれます。

 

主な症状として鼻汁や鼻づまり、鼻の周りや顔面の痛みなどがあらわれます。その他にも急性副鼻腔炎では、頬や両眼の間の痛み、頭痛などが見受けられます。

 

さらに鼻の中の匂いを感じる「嗅裂部(きゅうれつぶ)」と呼ばれる部分の粘膜が炎症すると、嗅覚障害が起こるケースがあります。

 

体験記の作者であるナコさんのように、歯の痛みや口臭を感じるケースもあります。「虫歯かも…」と思い、歯医者へ行った結果、副鼻腔炎と診断されたという人もいるようです。

 

副鼻腔炎の多くは軽い症状のみですが、たまに脳や目に膿が溜まったり、髄膜炎などの重篤な合併症を引き起こすケースもあるので、早めに対処することが大切です。

 

 

 

Q:副鼻腔炎は妊娠中にかかりやすい、悪化しやすいものですか。

A:妊娠中はかかりやすい傾向にあるので要注意です。

 

妊娠中は、鼻粘膜の血の流れが滞りやすくなるといわれており、それが原因で妊娠性鼻炎になることがあります。

 

妊娠中に鼻粘膜の血液の流れが悪くなるのは、ホルモンの変化が考えられていますが、まだ不明な点が多くあります。現時点では胎盤性成長ホルモン、喫煙、ハウスダストやダニなどに対して反応しやすくなっていることが関係していると考えられています。

 

これが原因で妊娠中は副鼻腔炎になりやすく、かかると悪化しやすい傾向にあります。妊娠前からたまに副鼻腔炎になっている人は、特に注意するようにしてください。

 

Q:体験記の作者であるナコさんは耳鼻科と産婦人科で「妊娠後期に出せる鎮痛薬はない」といわれていますが…。

A:妊娠中でも処方できる鎮痛薬はあります。

 

妊娠中は鎮痛薬としてアセトアミノフェンが使用されます。

 

ただ、以下のような経緯から鎮痛剤を処方することに慎重になっているお医者さんもいるかもしれません。

 

2018年に妊娠中のアセトアミノフェンの服用にて生まれてきた子どもの行動異常のリスクが増加するという報告がありました。しかし薬の使用量や使用期間がはっきりと記載されていないため、さらなる研究が必要とされています。また、おなかの赤ちゃんの動脈管閉鎖トラブルとの関係性が否定できないという報告もあるようです。

よってアセトアミノフェン(鎮痛薬)に関してはリスクと利益をきちんと考えることが必要でしょう。

でも、とても痛いのに我慢をするとストレスが溜まったり、体力を消耗してしまうので、当院の場合はこういった理由で痛みを我慢している妊婦さんには、アセトアミノフェンを処方しています。

 

 

Q;体験記の中の耳鼻科の先生が言っているように、妊婦さんでも飲める抗生物質は、効き目が穏やかな分、やはり治癒が遅いのでしょうか。

A:特に効力が弱いということはありません。

 

妊娠中に服用できる抗生物質は、「ペニシリン系」・「セフェム系」・「マクロライド系」など、複数あります。

 

特に効力が弱いというものではありません。しっかり内服すれば効果はでますので、心配せず服用してください。

 

 

Q:産婦人科以外で薬を処方してもらいたい場合、どうするのがいいのでしょうか。

A:一般的には「妊娠中」と伝えれば、服用可能な薬を処方してもらえます。

 

耳鼻科や内科など、受診した科の先生に「妊娠中です」ということをきちんと伝えれば、多くは妊婦さんでも服用可能な薬を処方してもらえます。

もし、ダメといわれた場合は、かかりつけの産婦人科に相談してみましょう。

 

 

Q:妊娠中に副鼻腔炎を予防する場合のポイントをお教えください。

A:副鼻腔炎の原因となる「風邪」をひかないことがとても大切です。

 

副鼻腔炎を引き起こすきっかけとなるのが「風邪」です。

予防するには、普段から規則正しい生活やバランスのとれた食事などを意識して、「風邪」をひかないように心がけてください。

 

もし「風邪っぽいな」と感じたら十分な休養と睡眠をとり、できるだけ長引かせないようにしましょう。

 

風邪をひいた後に鼻汁や鼻づまりがなかなか改善しない、ドロドロに濁った鼻汁が出るなどの症状が見られたら、早めに医療機関を受診して慢性化するのを防ぐようにしてくださいね。

 

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杉山太朗先生

医学博士。田園調布オリーブレディースクリニック院長。

 

2001年信州大学卒業後、東海大学医学部付属病院、東海大学医学部専門診療学系産婦人科講師を経て、2017年に田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。やさしい先生のお人柄とわかりやすくソフトな説明に惹かれ、遠方から通う患者さんも多い。4人のお子さまのパパ。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。