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【医師監修】生後1カ月健診で「心雑音」があると言われたら?大きな病気の可能性について

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チーコさんの息子のテルテル君は、生まれた時、ぷくぷくしていて、発育は順調そのものだったそうです。

 

 

そして迎えた生後1カ月健診。何事もなく終わると思い、チーコさんとテルテル君は、出産した産婦人科へ向かいました。

なのに、健診してくれた産婦人科の先生に「心雑音がありますね。来週もう一度来てください。」と想定外のことを言われ、かなり動揺したそうです。

 

そこで、生後1カ月健診で心臓の音を聞いてどんなことをチェックしているのか、チーコさんのように生後1カ月健診で「心雑音がある」と言われた場合、どのようなトラブルの可能性が高いのかなどを、聖路加国際病院小児科医長の草川功先生に教えてもらいました。

 

Q:生後1カ月健診で心臓の音を聞くことで、お医者さんはどんなことを確認しているのでしょうか。

A:心臓の音や早さを確認し、異常の可能性がないかをチェックしています。

普通、「トクトクトク」という心音が聞こえてきますが、心臓に穴が開いていると血液が変な流れ方になるので、雑音の混じった音に。そういった音の違いからトラブルのある、なしを判断しています。また、心音の早さも一緒にチェックをし、トラブルの可能性などを確認しています。

 

Q:生後1カ月で心雑音が聞こえることは、よくあることなのでしょうか。また、大きなトラブルの可能性はありますか。

A:「心雑音が聞こえる」など、先天性心疾患の赤ちゃんは100人に1人ぐらいで、生後1カ月健診でわかる場合は重症度が高くない場合が多い傾向に。

「心雑音がみられる」といわれる先天性心疾患の赤ちゃんは、100人に1人ぐらいの割合といわれています。最近の医療事情から重症の先天性心疾患の場合は、妊娠中の胎児エコー検査や、出産時の入院期間中にわかることが多くなっています。言い換えると、生後1カ月健診で先天性疾患の可能性があるといわれた場合は、緊急度がそれほど高くないことが多いと考えられます。

 

 

Q:生後1カ月健診で「心雑音がある」と言われた場合、体験記のように2回診察した後に大きな病院で検査という流れになりますか。

A:小児科医が生後1カ月健診を行う医療施設では、健診で心雑音がある確認できたら、各種検査を行う手配をします。

チーコさんの体験記を拝見すると、生後1カ月健診を出産された産婦人科で受診されているようです。この場合は、ママの産後1カ月健診も、赤ちゃんの生後1カ月健診も産婦人科の先生が担当するケースがあります。産婦人科医が赤ちゃんを診察して異常が見られた場合、再び別の先生がチェックをし、それでも異常が認められると専門の小児科医がいる病院で診察してもらう流れになることがあるため、専門の小児科医にみてもらうまでに少し時間がかかります。

総合病院や大学病院などで健診を受ける場合、産後1カ月健診は産婦人科医、生後1カ月健診は小児科医が担当します。また、産婦人科で生後1カ月健診を行う場合でも、小児科医が来て赤ちゃんの健康診断をするケースが多くなっています。この場合は健康診断で心雑音があるとわかった場合は、すぐに専門医の診察や検査を受ける手配を取ることになります。

 

Q:「心雑音がある」場合の主な検査内容をお教えください。

A:心エコーと心電図、血液、胸部のレントゲンなどの検査の結果から診断します。

先天性心疾患かどうかは、主に心エコーと心電図、そして、必要ならば、血液、胸部のレントゲンの検査を行い、判断しています。

心エコー検査では、心臓の形態異常がないか、心臓が収縮する際の力などを主に確認しています。

心電図は、聴診器で聞いただけではわからないリズムの乱れ(不整脈)がないかをチェックしています。

血液検査では、血液中に含まれる塩分や水分のバランスなど、心臓や腎臓に負担がかかっていないかを判定します。この検査は、重症の可能性がある場合に行われることが多いです。

レントゲン検査では、心臓に負担がかかっていると肥大化するため、心エコーで形の異常が見られた場合、レントゲンでも確認し、異常があるかを調べます。

このように複数の検査を行ったうえで、診断をしています。

 

Q:上記の検査を受ける前にチーコさんは「検査前にシロップと授乳をしてほしいので…」と言われていますが、一般的に検査前にシロップとおっぱいを飲ませるものなのでしょうか。

A:今は、シロップ(鎮静薬)を飲んだ後、授乳するのは医療安全上NGです。

心エコーや心電図などの検査は、赤ちゃんが泣いたり、動いたりすると正しい検査結果が得られません。そのために、検査前、赤ちゃんに鎮静作用のあるシロップを飲ませますが、その後に授乳すると鎮静中に誤嚥を起こした場合、赤ちゃんがきわめて危険な状態になってしまう可能性があります。

投稿記事ではテルテル君にシロップを飲んだ後に授乳をしていますが、これは今ではNGです。このように鎮静させるためのシロップを飲ませる場合は、6時間前までに食事を、4時間前までに軽食を、2時間前までに水分や母乳を済ませておいてください。

また、検査後もきちんと鎮静薬から覚めたか、薬の影響は残っていないか、お医者さんや看護師さんに確認をしてもらってから帰宅するようにしましょう。

 

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 Q:チーコさんは検査をした医師から「おなかにいた時に空いていた心臓の穴がうまく閉じていなかったが、検査で閉じかかっていることがわかったので問題ない」と言われていますが、胎児の時は、心臓に穴が開いているものなのでしょうか。もし、出生後も閉じなかった場合は、どのような処置が必要でしょうか。

A:「卵円孔」という穴が開いていて、通常は出生とともに閉じます。うまく閉じない場合は手術をすることも。

おなかにいる間は、臍帯を流れる血液を通してママの胎盤から酸素や栄養をもらい、それを心臓に送って循環させています。心臓内に血液を循環させるのに「卵円孔」という穴を使います。産声とともに肺から酸素を取り入れるため、その穴は必要なくなり、本来なら閉じますが、まれにうまく閉じきらないことがあります。ただ、生まれた直後に閉じきっていなくても少しずつ閉じていくケースもあります。

なかには自然に閉じる可能性がないため手術が必要な場合もありますが、その際も難しい手術ではないので安心してください。

生後1カ月健診で、突然「心雑音があります」と言われると、ママとしては、どうしてもビックリして焦ってしまいますよね。近年、先天性心疾患と診断された赤ちゃんの90%は元気に成長しているので、過度に心配せず、健診をしてくれた医師の説明をよく聞いてみてください。

f:id:xybaby_ope_05:20201204014008p:plain草川功先生

聖路加国際病院 小児科医長

1983年東京医科大学卒業、1987年東京医科大学大学院を修了。その後東京医科大学病院小児科、亀田総合病院小児科新生児、東京医科大学八王子医療センター小児科、国立小児病院、ピッツバーグ小児病院勤務などを経て現職。診察内容を新米ママにもわかりやすく説明してくれると人気の先生。NHK Eテレ『すくすく子育て』にも不定期で出演し、ママたちの悩みにていねいにやさしく回答。

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