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【医師監修】出産直後に悪寒、考えられる原因と対処法をお教えします!

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はちこさんのお産は長時間にわたったものの、無事に赤ちゃんを出産。その日はまだ赤ちゃんと同室ではなかったため、ゆっくり眠って体力を回復させようと考えていた時、とてつもない寒気を感じ、体の震えが止まらなくなったそうです。

 

 

 

そこで、産後に悪寒を感じるのはどんな時か、感じた場合はどうしたらいいのかを、産婦人科医の小野陽子先生に教えてもらいました。

 

Q:悪寒がするのはどんな時ですか。

A:悪寒とは熱の出始めに感じるぞくぞくとした寒気で、発熱するサインになります。

産後に限らず、発熱して体温が上がっていく最中に感じるゾクゾクとした寒気のことを悪寒と言います。「悪寒」と「発熱」はセットなので、悪寒がする場合は、発熱を伴うなんらかのトラブルが体に起こっていることが考えられます。

 

Q:産後に発熱するトラブルにはどんなものが考えられますか。

A:主に産褥熱や乳腺炎、腎盂腎炎、風邪などが考えられます。

出産後に発熱を伴う原因として以下のような可能性が考えられます。いずれも感染症といって、診断が難しく、また重症度も異なるため医師による判断が求められます。

 

産褥熱(さんじょくねつ)

分娩後24時間~10日目に発症することが多く、分娩時に損傷した部位や子宮などから細菌が入り込み、炎症を起こすことによって起きると考えられています。2日以上にわたって38度以上の発熱、下腹部痛がみられ、悪臭のする悪露が出ることがあります。

経腟分娩、帝王切開のいずれも起こる可能性があり、診察所見や血液検査、病歴などを総合的に検討し、産褥熱かどうか診断します。

診断後は、外来での通院加療が可能なこともありますが、入院して抗菌薬加療が必要になることがよくあります。また重症の場合は、敗血症という、ママの命にかかわることもあります。

 

乳腺炎

乳房の中で母乳を作り乳首まで運ぶ器官を乳腺といいます。出産すると赤ちゃんに飲ませる母乳を作り出そうと乳腺が活発に働きますが、たくさん母乳を作りすぎたり、赤ちゃんが母乳を飲み切れず母乳が乳腺内に残ってしまった場合、炎症が起こることがあります。これがうっ滞性乳腺炎です。

症状が軽い場合は、乳房マッサージなどをして乳腺の中に溜まった母乳を外に出すことで改善できます。ただ、なかなか治らなかったり、乳首の傷から細菌が入り、乳房内に広がってしまった(化膿性乳腺炎)場合は発熱や、乳房が腫れて痛みを伴います。速やかに抗菌薬を投与したり、重症な場合には切開して治療するため、受診が必要です。

 

腎盂腎炎

腎臓の腎盂という部分に細菌が入り込み、炎症を起こし、腎盂腎炎になります。細菌は尿の出口から入り込むことが多く、尿路系の感染症はそもそも女性に起こりやすい病気です。さらに赤ちゃんのお世話でトイレを我慢しがちなママは、かかる可能性が高くなります。発熱のほか、背中や腰の痛みを伴うことが多いです。病歴や身体診察、各種検査を行い、診断します。診断後は、抗菌薬治療を行います。

 

上記のほか、産後に発熱した場合、感冒(いわゆる風邪)やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などの可能性も考えられます。その場合は身近な人に同様の症状がある人がいないかがポイントです。

 

 

Q:体験記の作者、はちこさんが自らネットで検索した際に「ガタガタと体が震えて寒気を感じることを悪寒戦慄といい、ホルモンバランスの乱れが原因らしい」という記事を発見したそうですが、ホルモンの乱れで悪寒がすることもあるのでしょうか。

A:ホルモンバランスが乱れることで、悪寒に繋がることはあまり考えにくいです

産後、女性ホルモンのバランスが大きく変動しますが、それが原因で悪寒がすることには繋がりにくいと思われます。

また「悪寒戦慄」とは病名ではありません。寒さを感じて体がガタガタ震える「状態」をさす言葉になります。

 

Q:産後に悪寒がする、寒気を感じる場合、どうしたらいいでしょうか。

A:入院中の場合は速やかに看護師さんや医療機関のスタッフを呼んでください。退院後の場合は出産した医療機関に連絡をして指示をもらいましょう。

「悪寒がする」ということは、その後熱が上がってくる可能性があります。ただ、この時点では何が原因かは恐らくわかりません。産褥熱の可能性もありますし、感冒のこともあるでしょう。大切なのは、病気の原因をいち早く突き止め、適切な治療をすることです。そのため、入院中の場合は、悪寒がしたら、遠慮せずすぐに看護師さんを呼んでください。

また、退院後の場合は、出産した医療機関(里帰り分娩の場合は、妊婦健診で通っていた医療機関)に連絡をしてみましょう。

 

産後、「ゾクゾクする」、「まだ熱は高くないけれど悪寒がする」など、少しでもいつもと違う感覚があったら、遠慮せずにスタッフを呼んだり、医療機関に連絡をするようにしてくださいね。

 

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産婦人科医 

小野陽子先生

2011年岩手医科大学医学部卒業。聖路加国際病院で初期研修、産婦人科後期研修後、東邦大学医療センター大森病院心療内科などの勤務を経て、対馬ルリ子女性ライフクリニックにてあらゆる年代の女性の心と体の診療に従事しています。また、プライベートでは3人の男の子のママであり、Addots  GINZAで女性の「これから」を支える商品開発やオンライン相談室を開設。産婦人科専門医、日本女性医学会女性のヘルスケア専門医、日本女性心身医学認定医。

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