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【医師監修】妊娠中の「肌荒れ」「シミ」は治るの? 肌トラブルを防ぐには?

妊娠して、肌の調子が変わったと感じる人は多くいます。肌荒れを起こしたり、シミやソバカスができたり、今まで使っていた化粧品が合わなくなることも…。妊娠中の肌の変化やトラブル、この時期気を付けたいケアの方法についてご紹介します。

監修医師

海老根真由美先生

白金高輪 海老根ウィメンズクリニック 院長

産婦人科専門医。埼玉医科大学医学部大学院卒業後、さいたま赤十字病院産婦人科、埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門病棟医長、同講師等を経て、2013年に白金高輪 海老根ウィメンズクリニックを開設。産婦人科、婦人科、助産師の外来を中心に、小児科や乳腺外科、泌尿器科、内科の診療も行い、女性のライフイベントに合わせた医療を提供している。

妊娠するとなぜ肌の調子が変わるの?

黄体ホルモン分泌の変化が肌に影響する

妊娠する前から、「生理前になると肌の調子が悪くなる…」という経験をした人もいるはず。女性ホルモンの分泌と肌のコンディションの変化は深く関わっています。通常の月経周期でも、黄体ホルモン(プロゲステロン)が増加する排卵後は肌の調子が不安定になりがちで、脂っぽくなる、ニキビや吹き出物ができやすくなる、などのトラブルが見られますが、妊娠するとさらにホルモンの分泌量が急増し、肌荒れに悩む人が多くなっているのです。

妊娠中によく見られる肌トラブルは?

ホルモンバランスの変化による肌荒れ

妊娠10~15週頃は特に黄体ホルモンがぐんと増加するため、ニキビや吹き出物ができるなどの肌荒れや乾燥がよく見られます。そのほか、妊娠することで代謝がよくなり、季節によっては汗をたくさんかくことによる皮膚のかぶれなども見られます。

メラニン色素が活性化し、色素沈着しやすい

黄体ホルモンは妊娠を維持する働きがありますが、同時にメラニンの生成を促す働きも。色素が沈着しやすくなるので、シミやソバカスが目立ちやすくなります(妊娠性肝斑)。外出時には、帽子や日傘、UVクリームで日焼け対策を心がけましょう。また、乳頭や乳輪、わきの下や外陰部などが黒ずむことがありますが、これもメラニンの働き。出産時や授乳時に皮膚を守るために強く、そして赤ちゃんがおっぱいを見つけやすいように色も濃く変化しているといわれています。

妊娠中だけに起こるかゆみや発疹も

また、肌が敏感になってかゆみや発疹に悩まされることも。「妊娠性皮膚掻痒症」は、全身にかゆみが出て、掻きこわすと傷が深くなって跡が残ったり、色素沈着になったりすることがあります。また、「妊娠性痒疹」は妊娠3カ月頃からかゆみの強い発疹が体や四肢に出る疾患です。どちらも出産後は改善することが多くなっています。かゆみに関しては、妊娠20週くらいまでに胎児の赤血球が母体の血中に入り込むことがわかっており、それに対するアレルギー反応ではないかという説もあります。

肌トラブルの「予防」と「対策」を教えて

今すぐ始めたい!紫外線予防とスキンケア

日々の紫外線対策を忘れずに
メラニン色素の沈着を防ぐためには、毎日のUV対策を習慣づけましょう。特に3月から9月までは紫外線量が多い時期。刺激の少ないUVクリームを塗ったうえで、外出時はつばの広い帽子や日傘、長袖の服でカバーしましょう。

●健やかな肌づくりを助けるビタミンCとE
おもに生野菜や果物に含まれるビタミンCにはメラニン色素の発生を抑えるほか、抗酸化作用もあり、肌ケアにぴったり。ナッツ類や緑黄色野菜に多く含まれるビタミンEと一緒にとると体に吸収されやすく、さらに効果的です。

●ぬるめの入浴+保湿ケアで肌を整えて
妊娠中は汗をよくかくため、なるべく体を清潔に保ちましょう。おふろのお湯の温度は、熱いと皮膚の刺激になるので38~39℃のややぬるめがおすすめです。石けんやボディソープは低刺激性のものを選び、ていねいに洗い流しましょう。また、洗顔するときに摩擦は肝斑を濃くする原因となるので、肌をこすらないよう気を付けて。入浴後は肌の乾燥予防に顔だけでなく全身もクリームなどで保湿をすると万全です。

一過性のものも多い、妊娠中の肌トラブル

そもそも、妊娠中にはなぜシミやソバカスができたり、乳頭の色が濃くなったりと色素沈着が起きやすいのでしょうか。これは、胎盤から子どもを育てようと成長因子(Growth factor)が作られることで、髪の毛が濃くなったり、皮膚の色が濃くなったりするからだと考えられています。一般的には、妊娠が終わると今度は色が抜け、毛髪も抜けて元に戻ろうします。今起こっている変化は妊娠中だけと考え、出産までは肌を刺激しないようにケアを行っていくのがよいでしょう。例えば妊娠中にできたシミも、産後ある程度経てば薄く消えることが多いので、治療を急ぐ必要はありません。気になる肌荒れや、掻き壊しによるトラブルなどは、産婦人科の先生に相談した上で、皮膚科を受診しましょう。

この記事のまとめ

妊娠中の肌ケアは、保湿とUV対策を抜かりなく

妊娠によるホルモンの影響を大きく受ける肌のコンディション。肌の乾燥によるかゆみ、湿疹を防ぐためにも肌を清潔に保ち、保湿を中心としたケアを行っていきましょう。また、妊娠中はホルモンの影響でメラニン色素が増え、シミやそばかすなど色素沈着が起こりやすい時期です。シミをつくる原因となる紫外線に気を付けて外出時には日焼け対策を万全に。シミや肝斑ができると心配ですが、産後に落ち着いてから治療するようにしましょう。

構成・文/
福永真弓
イラスト/
小波田えま