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【医師監修】妊婦さんのおなかはいつから出てくるの?どんなふうに変化する?

妊娠→出産→産後と、劇的に変化するおなか。大きさはもちろん、「張る」「かゆくなる」「毛深くなる」「妊娠線が!」とあれこれ異変が起きる予感も。妊娠中のおなかの変化について知りたいことをまとめました。

監修医師

海老根真由美先生

白金高輪 海老根ウィメンズクリニック 院長

産婦人科専門医。埼玉医科大学医学部大学院卒業後、さいたま赤十字病院産婦人科、埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門病棟医長、同講師等を経て、2013年に白金高輪 海老根ウィメンズクリニックを開設。産婦人科、婦人科、助産師の外来を中心に、小児科や乳腺外科、泌尿器科、内科の診療も行い、女性のライフイベントに合わせた医療を提供している。

おなかはいつ頃から、どれくらい大きくなる?

胎児の成長と共に、著しく大きくなる子宮

まず、赤ちゃんを育てる場である子宮は、どれくらい大きくなるのでしょうか。妊娠前にニワトリの卵くらいの大きさだった子宮は、まだおなかが目立たない妊娠初期から成長しはじめ、妊娠2カ月ではガチョウの卵大に、3カ月は握りこぶし大に、4カ月末では新生児の頭ほどの大きさになります。容量もわずか10mlから臨月には約5Lにもなり、重さは羊水や赤ちゃんなど全部含めて約5kgを抱えることに。健診では子宮底(子宮の上辺)の位置を確認し、恥骨結合部からの長さ「子宮底長」を測りますが、妊娠9カ月では、子宮は肋骨の下まで拡大して内臓を押し上げます。

ふくらみがわかるようになるのは妊娠中期から

一方、妊婦さんのおなかは、妊娠20週くらいまでにはっきりとふくらみがわかるようになっていきます。中でも経産婦さんは、妊娠12~14週くらいですでにおなかが少しずつ大きくなってくる場合も。これは子宮が大きくなったわけではなく、骨盤内の血流量が増えてきているためです。胎児に栄養を与えるために子宮の血流量は増加し、妊娠後期には母体の全血流の5分の1から6分の1が子宮に供給されるようになります。早いうちから下腹部が張ってきているのは、その準備が始まってきているということ。「まだ赤ちゃんは小さいのに、なぜおなかがこんなに大きいの?」と、心配しなくても大丈夫です。

妊娠後期は赤ちゃんが一気に成長して腹囲も大きく

妊娠後期になると、日に日におなかが前に大きくせり出していきます。妊娠7カ月以降はおなかが重くてあおむけに寝るのが苦しくなってくるほか、腰や背中の筋肉に負担がかかって腰痛に悩むことも。妊娠9カ月から出産までは赤ちゃんがさらに大きく成長するため、腹囲も3週間ほどでグンと大きくなり、標準的な体型の人では、臨月には腹囲が100cm近くにも達します。さらに出産が近づくと胎児が骨盤の中に下がり、胃のつかえが取れたように感じる人も多いはず。手でおなかに触れると、赤ちゃんの背骨や足があるのを感じ取れます。

大きさだけじゃない!肌の表面に現れる変化

おなかの表面にも妊娠期だけの変化が現れる

ホルモンの影響やおなかが急激に大きくなることが原因で、個人差はあるもののおなかにはさまざまな変化が現れます。代表的なものは以下の通りです。

●妊娠線・正中線ができる
急におなかが大きくなると、皮膚の表皮は伸びるもののその下の真皮と皮下組織がついていけずに亀裂が入り、赤く波打ったスジ状の線が入ってしまいます。これが「妊娠線」です。産後は白く目立たなくなりますが消えません。一方、おへその上下を縦に伸びる茶色い線は「正中線」。これは妊娠線とは異なり、誰でも元からあるものが妊娠中の活発なメラニンの働きによって色素沈着し、見えるようになったもの。こちらはいずれ目立たなくなります。

●毛深くなる
妊娠中は、子どもを育てようと胎盤から成長因子(Growth factor)が作られるため、髪の毛が濃くなったり、乳頭などの色が黒くなったりします。同じ原因でおなかの産毛が急に発達して毛深くなることも。妊娠中は肌が敏感になっており、産後は落ち着くので、そのままにしておきましょう。

●おなかがかゆい
ホルモンバランスの変化と、引き伸ばされた皮膚が乾燥しやすいことから、おなかのかゆみに悩む妊婦さんも多数。毎日の保湿を心がけ、皮膚が伸びやすいようにケアをしましょう。搔いてしまうと傷が深くなり、跡が残ってしまいます。

大きくなるおなかのためにやっておきたいこと

保湿ケア・栄養・保温の3つを心がけて

赤ちゃんを育んで日々大きくなっていく愛らしいおなかは、妊娠期間だけの宝物。適切なケアとバランスの取れた食事で、赤ちゃんの喜ぶ、ふかふかのあったかいおなかを目指しましょう。

●マッサージや保湿
気になる妊娠線対策は、毎日の保湿ケアやマッサージである程度は予防できます。マッサージはクリームを使用し、温かい手で円を描くようにおなかの表面をなでるだけで大丈夫。ベビーマッサージをイメージして優しく、リラックスして行いましょう。ただし妊娠線を完全に防ぐ方法はなく、特に妊娠後半に赤ちゃんが急成長するときには、できてしまってもやむなし、というところも。

●たんぱく質をきちんととる
ケアと同時に、皮膚を構成する栄養を摂取することはとても大事です。肉・魚・卵・豆類などのたんぱく質をしっかりと献立に取り入れ、外食時もできるだけパスタ単品などでなく「定食」メニューでバランスを取りましょう。甘いものの食べ過ぎ(羊水量を増やしてしまいます)や、塩分のとり過ぎ(むくみの原因になります)にはくれぐれも注意して。

●締め付けのない下着を着ける
「おなかがまだ大きくないから」と妊娠5~6カ月までマタニティショーツに切り替えないのはNG。骨盤に血流が集まりやすいように、早い段階から締め付けのないマタニティ専用の下着に切り替えましょう。つわりやおなかの張りがつらい時期にも、おなかを温めて保護してくれます。

この記事のまとめ

ママのふっくらおなかは、赤ちゃんの成長そのもの

少しずつふくらんでいくママのおなかでは、骨盤に血流が集められ、子宮がやわらかく伸びて、懸命に赤ちゃんを育てているところです。おなかが大きくなっていくことだけに限らず、女性の体が命を育む過程にはさまざまな変化がありますが、まるごと受けとめてゆっくりと「母」になっていきましょう。

構成・文/
福永真弓
イラスト/
小波田えま