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【医師監修】妊娠後期に眠れない原因は?ぐっすり眠るための対策法

妊娠後期、「眠れない」という妊婦さんはとても多いものです。赤ちゃんの急激な成長にともなって変化している体と、出産を目前に控える心の両方が関係しているのかもしれません。不眠の原因とその対策について、一緒に考えてみましょう。

監修医師

林 聡先生

東京マザーズクリニック 院長

産婦人科専門医。広島大学大学院医学系研究科修了後、県立広島病院産科婦人科勤務、フィラデルフィア子ども病院・ペンシルバニア大学胎児診断・胎児治療センター留学、国立成育医療センター周産期診療部胎児診療科医長を経て、2012年東京マザーズクリニックを開院。妊娠中からの母体・赤ちゃんの健康管理、プロフェッショナルチームが支える中での無痛分娩を基本とした安全な分娩の提供、助産師による妊娠中および産後ケアの充実という3つの理念をもとに日々の診療を行っている。

妊娠後期は熟睡しにくい。その原因は?

【後期に眠れない原因①】体のさまざまな不調

赤ちゃんがグンと成長し、おなかがせり出してくる妊娠後期は、ぐっすりと眠ることがなかなかできず、途中で目覚めたり、寝苦しさを感じたりすることが増える時期です。眠れない原因となり得る体の変化には、以下のようなものがあります。

◯おなかが大きく重くなって、あおむけに寝るのがつらくなる
◯子宮の収縮(おなかの張り)や赤ちゃんの胎動を感じて目覚める
◯大きなおなかで腰や背中が痛く、寝苦しい
◯子宮が心臓や胃を押し上げるために動悸や息切れが起こりやすい
◯膀胱が子宮に圧迫されて頻尿になり、夜間も目が覚める
◯むくみや血行の悪さから、睡眠中にこむら返りが起きることも

【後期に眠れない原因②】生活リズムの変化や緊張・ストレス

また、出産が近づくことで変化する生活リズムも眠りにくくなる原因になっています。

◯産休に入って、仕事をしていたときよりも昼間の活動量が減った
◯おなかが大きくなることで以前よりも運動不足に

さらにお産が近づくと、いつ陣痛や破水が起こるんだろう、という緊張やストレスが高まって神経が過敏になりがちに。このことが睡眠不足を招くこともあります。

試してみよう。ぐっすり眠るための対策5

気になること、できることから改善を

①昼間に適度な活動を
運動不足を感じていたら、体調のよい日中にウォーキングやストレッチなど軽い運動をやってみましょう。血行もよくなり、腰痛や肩こり、便秘などの不快な症状もやわらぎます。おなかが張るなど体調がすぐれない日は中止して。

②生活リズムを整える
起きる時間・寝る時間、食事の時間などをできるだけ一定に。朝、太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされて活動状態に入り、その14~16時間後に眠りを誘うホルモン「メラトニン」が分泌されます。覚醒と睡眠のリズムをつくりましょう。

③楽な姿勢で休む
あおむけが苦しいときは、横向きになり、上側になる脚を体の前に出す「シムスの体位」がおなかへの負担も軽く、おすすめです。脚の下にクッションや枕を入れて高さを調節したり、抱き枕を抱えたりして、自分が一番楽な姿勢を見つけましょう。脚がむくんだり、つりやすかったりする人は、脚を高くして眠るのも◎。

④眠りやすい環境をつくる
夜に目覚める原因となる光や音を減らしましょう。スマートフォンやパソコンのブルーライトも睡眠に影響を及ぼすため、寝る前の使用はできるだけ控えて。暑さや寒さが寝苦しさの原因になっていないか、寝室の温度や湿度をチェックし、寝具やパジャマの見直しも。

⑤リラックスを大切に
気持ちが高まると眠れないので、リラックスへとスイッチを切り替える工夫を。ゆっくりと鼻から息を吸って長く息を吐く深呼吸をしたり、寝る前にぬるめのお湯でゆっくりと入浴して足のマッサージをするほか、音楽鑑賞や読書、軽い運動をするなど、自分に合う方法を試して。

この記事のまとめ

生活面で工夫をしつつも、悩みすぎないで

妊娠後期は、体はもちろん気持ちの上でもお産を控えて変化がある時期。ぐっすり眠れなくても無理もない状況です。眠れなくても心配し過ぎず、日常生活でできることから眠りの環境を整えていきましょう。

構成・文/
福永真弓
イラスト/
小波田えま

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