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【医師監修】妊娠中のたばこはどうしていけないの?受動喫煙や加熱式たばこは大丈夫?

妊婦さんは喫煙NG、他人からの受動喫煙もよくないとは聞くけれど、それはなぜか、どういう害があるのか気になるもの。たばこの妊娠と胎児への影響や、夫や家族、職場からの受動喫煙、最近増えている加熱式タバコの有害性について詳しく解説します。

監修医師

宗田 聡先生

広尾レディース院長
茨城県立医療大学客員教授

医学博士。日本産科婦人科学会認定医・指導医。臨床遺伝学認定医・指導医。筑波大学卒業後、筑波大学講師として臨床・研究・教育に従事。その後、米国ニューイングランドメディカルセンター(NEMC)遺伝医学特別研究員、茨城県周産期センター長(筑波大学産婦人科臨床准教授兼任)などを経て、2012年より広尾レディース院長。東京慈恵会医科大学非常勤講師、筑波大大学院非常勤講師などもつとめる。

妊娠したらたばこを絶対にやめるべき理由

妊娠の経過にいろんな害を及ぼす

せっかく妊娠できたにもかかわらず、喫煙する妊婦さんは、しない人と比較して流産率が高く、ヘビースモーカーであればおよそ2倍と言われています。その他にも、母児の命にも関わるような前置胎盤や常位胎盤早期剥離を含む胎盤の異常、子宮頸管の異常、胎児発育不全、早期破水、早産のリスクが上がるとされています。

また1日に吸うタバコの本数と早産率には相関があり、本数が多ければ多いほど、早産率が上がるということが分かっています。

コラム

妊娠中の喫煙本数(1日あたり)と早産率

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赤ちゃんが小さく生まれてしまう

また、たばこが胎児に与える影響も見逃せません。たばこにはニコチンやシアン化合物、カドミウム、鉛、一酸化炭素などを始めとした多くの有害物質が含まれています。これらが血管を収縮させ、赤ちゃんに運ばれる血液量が減少することで発育が抑制され、週数に対して十分に育っていない、小さい赤ちゃんが生まれやすくなるのです。さらには、口唇口蓋裂などの先天性疾患のリスクも増すとされています。

赤ちゃんを望んだ時から禁煙を!

たばこは健康を害し、妊娠していなくても良くないものですが、2018年の調査*では、妊娠・出産の中心世代となる20代女性の喫煙率は6.6%、30代女性では11.1%と、決して低くはなく、妊娠・出産への影響が危惧されています。日本人の妊娠中の喫煙率は2.7%(平成29年度)もあり、「健やか親子21(第2次)」では0%を目標に掲げています。さらに喫煙は不妊や異所性妊娠の原因にもなり得るとされており、赤ちゃんを望んだときから夫婦ふたりで禁煙するのが望ましいと言えます。

*=日本たばこ産業株式会社『全国たばこ喫煙者率調査』(2018年)
*異所性妊娠…受精卵が子宮内に正常に着床しないこと。以前は「子宮外妊娠」と呼ばれていた

夫や家族、職場などに喫煙者が。副流煙が心配…

見逃せない受動喫煙の害

妊婦さんにとって問題となるのは、本人が喫煙していないにも関わらず、周囲に喫煙者がいることによって煙を吸ってしまう「受動喫煙」です。たばこの煙には、喫煙者が吸う煙である主流煙と、たばこの先端から出る副流煙、喫煙者が吐き出す呼出煙があります。特に副流煙はフィルターを通っておらず、喫煙者が吸う主流煙よりも高い濃度の有害物質が含まれています。

夫や同居家族に喫煙者がいるならすぐに禁煙を

もしも家庭内に喫煙者がいれば、妊婦さん自身が喫煙していなくても、おなかの赤ちゃんがたばこの害にさらされ続けるということになります。家庭内の喫煙者も、すぐにでも禁煙を。

喫煙習慣が長かった人は、ニコチン依存症の可能性もあり、即、禁煙は難しいかもしれません。そのような場合でも、喫煙する部屋を別に決めるなど分煙を行い、妊婦さん自身が副流煙を吸うことがないように努めましょう。

職場では、もしも自分の席が、喫煙ブースに近いなど、常時たばこの煙を吸い込むような環境である場合、ためらわずに席の移動や環境の改善を求めましょう。厚生労働省が定める「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」では、事業者は妊娠している労働者に対して、受動喫煙の防止のため、特に配慮を行うこと、としています。

最近増えている加熱式たばこはどうなの?

加熱式たばこも普通のたばこ同様に有害

従来のたばこと同様に気になるのが、最近増えている加熱式たばこの害です。

加熱式たばこは、2014年頃から国内で販売が開始され、たばこから乗り換える人が増えています。加熱式たばこによる妊娠や胎児への影響は、まだ製品が出回り始めたばかりで、まだ研究が進んでいません。しかし世界保健機関(WHO)は、『たばこの世界的流行に関する報告2019』 で、「加熱式たばこには有害物質が含まれており、健康上のリスクがあるため、たばこと同様の規制が必要だ」という所見を明らかにしています。

加熱式たばこにニコチンを始めとした有害物質が含まれている以上、妊娠や胎児に悪い影響があることは明らかです。夫や同居の家族が吸っている場合も、受動喫煙によるリスクがあるため、たばこ同様、やめてもらいましょう。

この記事のまとめ

たばこは妊婦さんと赤ちゃんには絶対NG!

妊婦さんと赤ちゃんに、まさに「百害あって一利なし」といえるたばこ。妊娠が分かって、もしもまだ吸い続けているのであれば、今すぐにやめるべき。同様に、夫や同居する家族、職場での受動喫煙も、喫煙と同様の害があるため、周囲にも禁煙をお願いしましょう。最近増えている加熱式たばこも、同様に有害なので、注意をしましょう。

構成・文/
秋田恭子
イラスト/
山村真代