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【医師監修】気を付けたい妊娠中のカフェイン。コーヒーは全く飲めない?

妊娠前は日々の生活のなかで何気なく飲んでいたコーヒーなどのカフェイン入り飲み物。カフェインは妊娠したら控えて、と言われるけど、なぜなのか、コーヒーさえ気を付ければ良いのか、などなど、気になる妊娠中のカフェインについて詳しく解説します。

監修医師

宗田 聡先生

広尾レディース院長
茨城県立医療大学客員教授

医学博士。日本産科婦人科学会認定医・指導医。臨床遺伝学認定医・指導医。筑波大学卒業後、筑波大学講師として臨床・研究・教育に従事。その後、米国ニューイングランドメディカルセンター(NEMC)遺伝医学特別研究員、茨城県周産期センター長(筑波大学産婦人科臨床准教授兼任)などを経て、2012年より広尾レディース院長。東京慈恵会医科大学非常勤講師、筑波大大学院非常勤講師などもつとめる。

妊娠がわかったらカフェインは控えよう

身近な飲み物に含まれているカフェイン

コーヒーや紅茶、緑茶、一部の清涼飲料水や栄養ドリンクなど、さまざまな飲み物に含まれているカフェイン。眠気を抑制して集中力を高めたり、疲労感をやわらげたりする効果がよく知られています。身近な飲み物に含まれているので、妊娠前の日常では口にする機会も多かったのではないでしょうか。
しかしカフェインは医薬品にも使われる刺激物質であり、中毒性があり普段から大量にとっていると依存症にもなりやすいのです。なのでコーヒーが一日に何杯も飲むのが習慣になっている人もいるかもしれませんが、妊娠中においては、過剰に摂取することはおすすめできません。

過剰摂取は赤ちゃんに影響を与える可能性が

実際のところ、カフェインによる妊娠や胎児への影響については、よくわかっていません。しかし、カフェインは中枢神経系に作用し、摂りすぎるとめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気といった症状の原因となることがあります。また、胎児の発育を遅らせ、低出生体重児や早産、死産と関連する可能性があるとして、世界保健機関(WHO)や各国の保健機関は妊婦さんに対して1日の摂取量を制限することをすすめています。

摂取の上限は国によってばらばら

世界各国でも意見のばらつきが

1日のカフェイン摂取量がどのくらいまでか、ということについて、各国の保健機関が発表している上限値は、1日におおむね200~300mgとなっています。カフェイン200mgはコーヒーのマグカップおよそ2杯分に相当しますが、では1日2杯までなら大丈夫なのか、というとそう単純な話でもなく、カフェインの感受性には個人差が大きいため、日本においても国際的においても、一日の摂取許容量は設定されていないのです。

また、カフェイン以外でも、コーヒーや紅茶に含まれる「タンニン」は、食事で摂った鉄と結びつき吸収を妨げます。鉄は妊婦さんの赤ちゃんの発育に欠かせない大切な栄養素ですし、妊娠中は生理的に貧血になりやすい状態なので、注意が必要です。

妊娠中はノンカフェインの飲み物をチョイス

コーヒー以外にもカフェイン入りの飲み物が

コーヒーの他にも清涼飲料水やお茶などカフェインが含まれる飲み物はいろいろとあり、注意が必要です。ちなみにエナジードリンクも、種類によりますが100mlあたり32 ~ 300 mgものカフェインを含みます。

コラム

身近な飲み物の100ml中のカフェイン濃度(mg)

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日常的に飲むのはノンカフェインに

実はお茶の入れ方ひとつでカフェイン量は変わってくるもの。1日の量を考えながら飲むのも難しいといえますが、客先ですすめられた1杯のコーヒーを飲むくらいはそう心配する必要はありません。最近はおいしいノンカフェインのコーヒーも多く出てきました。他にもノンカフェインの麦茶やルイボスティー、ハーブティーなどもうまく取り入れて、ゆったりと楽しみましょう。

この記事のまとめ

妊娠中はカフェインをなるべく控えよう

妊娠中にカフェインを摂りすぎると、妊娠や胎児に悪い影響を与えることがあります。コーヒーだけでなく、紅茶や玉露、コーラやエナジードリンクなどさまざまな飲み物に含まれるカフェインには注意をしましょう。ごくたまに飲む1杯のコーヒーくらいは心配いりませんが、妊娠中、日常的に飲むものについては、最近種類も増えてきたノンカフェインのコーヒーやお茶に切り替えて楽しむようにしましょう。

構成・文/
秋田恭子
イラスト/
山村真代

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