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【医師監修】妊娠中の食事、何に気をつける?

おなかの赤ちゃんの成長のために、そして自分自身が健康に過ごすために、妊娠中の食事はとても大切。何に気を付けてどんなものを食べたらいい?量はどのくらい?そんな妊娠中の食事についての疑問を詳しく解説します。

監修医師

宗田 聡先生

広尾レディース院長
茨城県立医療大学客員教授

医学博士。日本産科婦人科学会認定医・指導医。臨床遺伝学認定医・指導医。筑波大学卒業後、筑波大学講師として臨床・研究・教育に従事。その後、米国ニューイングランドメディカルセンター(NEMC)遺伝医学特別研究員、茨城県周産期センター長(筑波大学産婦人科臨床准教授兼任)などを経て、2012年より広尾レディース院長。東京慈恵会医科大学非常勤講師、筑波大大学院非常勤講師などもつとめる。

妊婦さんにとって大切なのは栄養のバランス

肉・魚などのたんぱく質や野菜を偏りなく摂る

妊娠中に良い食事とは?に対してよく言われる「バランスの良い食事」という回答。そもそも、バランスの良い食事とはどんなものでしょう。

バランスの良い食事とは、1日のうちで、ごはんなどの主食、肉・魚・卵料理などの主菜、野菜を使った副菜、牛乳・乳製品、果物をまんべんなくとる、といったものです。食事の献立を語るうえでよく言われる「一汁三菜」をイメージすれば良いでしょう。

一汁三菜の食事とは?

日本の家庭料理における献立の基本です。主食(ごはん)以外のおかずについて、一汁(お味噌汁などの汁物)と、三つの菜(主菜1つと副菜2つ)を揃えるものです。

■一汁=お味噌汁などの汁物
■三菜=三つの菜
 ①肉、魚、卵、大豆料理
 ②お浸しやサラダなどの野菜料理
 ③煮物や炒め物などの野菜料理

コラム

妊娠中は食中毒に注意!必ず加熱して食べよう

気を付けたいのが、生もの。妊娠中に食中毒を起こすと対応が難しく、ひどいケースでは流産・早産を引き起こすことがあります。原則として食品はきちんと火を通して食べます。生ハム、ユッケ、レバ刺し、レアステーキ、スモークサーモン、生卵など、非加熱の食品は避け、お寿司もできれば控えるようにしましょう。

妊娠中は肉、魚、野菜を偏りなく食べる

一品だけや、お菓子が食事代わりはNG

妊娠中とはいえ、毎日忙しくて、食事をパスタやカレーライス、ラーメンのような一品だけで済ませる人もいるでしょう。これらは、主食に偏る食事となり、繰り返すとビタミン、ミネラル不足や体重増加を招く原因に。さらに、「お菓子を食べすぎたから夕飯は抜く」という好ましくない食習慣を続ける人もいます。

妊娠中はこうした食生活を改めて、肉や魚、野菜をしっかり食べることが大切です。

肉や魚などの主菜はからだづくりの基礎

たんぱく質を豊富に含む肉、魚、卵、大豆料理は、いわゆるメイン料理として「主菜」と呼ばれますが、おなかの赤ちゃんと、妊婦さん自身のからだづくりの基礎となります。一つの食品ばかりを摂るのではなく、肉、魚、卵、大豆料理を日ごとに変えるなどして偏りなく食べましょう。特に赤身の肉や魚は鉄分も含むので、妊娠中に起こりやすいトラブルの代表である、貧血を防ぐのに役立ちます。

野菜でビタミン、ミネラルを補う

「副菜」といわれる野菜料理も、ビタミンやミネラルをとるためにしっかり食べます。これらの栄養は、おなかの赤ちゃんと妊婦さんのからだの調子を整える働きをします。特に緑黄色野菜に含まれる葉酸は、妊娠初期にとることで赤ちゃんの神経管閉鎖障害という病気を防ぐのに役立ちます。

また、野菜全般に含まれる食物繊維は、妊婦さんに多い便秘の予防に役立ち、血糖値の上昇を抑え、体重増加を抑制するなどの良い働きがあります。

コラム

食事バランスガイド

主食、副菜、主菜などをどのくらいずつ摂れば「バランスの良い食事」になるのか、そのボリュームの割合を視覚的に分かりやすく示しているのが、厚生労働省と農林水産省が公表している「食事バランスガイド」という図です。

この図は、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5つの食品グループによって、回り続けるコマを示しています。コマは、どれが欠けてもうまく回りません。つまり、コマを自分の体に見立てて、全ての食品グループをまんべんなく摂ることによって、健康的な生活が回っていく、ということを示しています。

一日の食事のなかで、主食:副菜:主菜:牛乳・乳製品:果物の割合を、
5~7:5~6:3~5:2:2
で摂るようにします。実際は、主食にあたるご飯やパンなど炭水化物(糖質)はどうしても多く取りがちになるので、意識的に野菜や肉魚を多めに摂るくらいでちょうどよいかもしれませんね。

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初期・中期・後期で量を増やしすぎないように注意

初期は妊娠前と同量でバランスのみ気を付ける

食事の量は、妊娠初期は、妊娠前よりも食事の量を増やしたりしなくて大丈夫です。おなかの赤ちゃんはまだ小さくて、それほど多くの栄養を必要としているわけではないからです。また、妊婦さん自身もつわりで思うように食事がとれないこともあるので、食べられるものを食べてしのぐ、でOK。つわり中はバランスにとらわれず、こまめに水分やエネルギーとなる食べ物を少しでも摂るようにしましょう。ただし、つわりがおさまったら、前述の「食事バランスガイド」を参考に、少しずつバランスのとれた食事を意識していくように!

中期、後期はむやみに増やすと太りすぎる心配も

妊娠中期、後期には、初期よりも少し増やしても大丈夫ですが、ほとんどの人はつわりがおさまり食欲が戻るので、意識的に増やすと体重が一気に増加する恐れが。本来、増やしてよいのは中期で250カロリー、後期にプラス200カロリー程度です。納豆1パックと牛乳コップ1杯程度で250カロリーとなるのを参考にしましょう。

コラム

働いている人の食事のバランスについて

昼間に仕事をしている人は、なかなか毎食バランスの良い食事をとるのは難しいでしょう。仕事中のランチは糖質の多い食事であっても、朝や夜はそのぶん糖質を減らすなど、一日のなかでバランスが摂れていたら大丈夫。例えば昼食がパスタやカレーライスなどであれば、朝はヨーグルトと野菜サラダ、夜は副菜のおかずだけにするなどして調整するようにしましょう。

この記事のまとめ

肉、魚、卵、野菜…偏りなく色々食べよう

妊娠中の食事は、からだづくりの基礎となる肉や魚、ビタミンやミネラルを含む野菜、そして乳製品や果物などを偏りなく摂る「バランスの良い食事」が大切です。生ものは控え、食欲が中期、後期で増していくので量は増やしすぎないように注意を。おなかの赤ちゃんにとっても、そして妊婦さんの体にとっても食事はとても大切。楽しみながら、しっかり考えながら、食生活を整えていきましょう。

構成・文/
秋田恭子
イラスト/
山村真代