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【医師監修】妊娠中にアトピーがひどくなって…。何か方法はある?

もともとアトピー性皮膚炎の妊婦さんは、妊娠中に症状が出たら…と心配になることも多いでしょう。でも外用薬(塗り薬)の多くは妊娠中も使用できるので、我慢せずに皮膚科を受診しましょう。妊娠中はアトピーが悪化しないよう普段から保湿も心がけましょう。

監修医師

宗田 聡先生

広尾レディース院長
茨城県立医療大学客員教授

医学博士。日本産科婦人科学会認定医・指導医。臨床遺伝学認定医・指導医。筑波大学卒業後、筑波大学講師として臨床・研究・教育に従事。その後、米国ニューイングランドメディカルセンター(NEMC)遺伝医学特別研究員、茨城県周産期センター長(筑波大学産婦人科臨床准教授兼任)などを経て、2012年より広尾レディース院長。東京慈恵会医科大学非常勤講師、筑波大大学院非常勤講師などもつとめる。

妊娠中は肌の状態が変化することも

肌のバリア機能が低下して発症

アトピー性皮膚炎は、痒みをともなう炎症で、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返します。皮膚のバリア機能が低下しているときに、外から入ってきた抗原や刺激が免疫細胞と結びついて、アレルギー性の炎症を引き起こします。痒みに耐えられず掻くことによってさらにバリア機能が低下してこじらせる、ということがよく起こります。

妊娠中は悪化する人もいれば改善する人も

妊娠中のアトピー性皮膚炎は、悪化する人もいれば、改善する人もいます。ばい菌、ダニ、カビ、汗、ペット、ストレスなどさまざまなものが悪化のひきがねとなりますが、妊娠中は、半分父親からの遺伝子を持つ赤ちゃんを受け入れるために、免疫の機構が変化しており、その影響を受けて症状の出方が変わることがあるのです。

妊娠中のアトピーは皮膚科を受診して対処

妊娠中であることを伝えたうえで受診を

炎症が起こると不快ですし、程度によっては睡眠を妨げることもあるので、ひどくなる前に皮膚科を受診するのがおすすめです。また、アトピー性皮膚炎ではないほかの皮膚炎の可能性もあるため、きちんと診断してもらうためにも、妊娠中であることを伝えて受診しましょう。妊娠中は原則として内服薬の使用は避けたいのですが、外用薬(塗り薬)の多くは使えるので、皮膚科の先生と相談して症状に合うものを処方してもらいましょう。

普段から保湿や清潔を心がけて

普段のケアでは、保湿は必ず行うようにしましょう。入浴やシャワーによって汗や埃を洗い流し、清潔な状態を保ちます。また、ストレスもアトピーを悪化させる原因になるので、疲れをためないよう、十分な休息を心がけるようにしましょう。

赤ちゃんにアトピー性皮膚炎が遺伝するかどうかはさまざま

赤ちゃんが発症するかどうかは分からない

自身がアトピー性皮膚炎に悩まされてきた人は、赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になることを心配するかもしれません。

親がアトピーであっても、子どもが必ずアトピーになるとは限りません。また、逆にアトピーでないママから生まれた子が発症することもあります。さらには、母親の食事や環境などがおなかの赤ちゃんに影響する可能性など、様々な要因が考えられています。幼少期に発症していなくても、成長した後で発症することもあり、赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になるかどうかや、その確率を予測することは難しい、とされています。

コラム

赤ちゃんが生まれたら新生児のうちからスキンケアを

新生児は、出生直後は皮脂分泌が多いのですが、その後急激に少なくなっていき、皮膚はとても薄くて乾燥しやすいものです。皮膚の乾燥はバリア機能の低下をまねき、ダニやハウスダストなど、アレルゲンの侵入を容易にしてしまいます。このことから、生後間もない頃から赤ちゃんの肌を清潔に保ち、おふろの後にローションなどで保湿をしてあげることは、その後のアトピー性皮膚炎発症の予防に効果がある、とされています。赤ちゃんが生まれたら早期に保湿ケアを始めましょう。

この記事のまとめ

妊娠中にアトピーの症状が出たら皮膚科を受診

妊娠中のアトピー性皮膚炎は、悪化する人もいれば、改善する人もいます。症状が出ている場合は、皮膚科を受診しましょう。妊娠中でも外用薬(塗り薬)の多くは使用できます。外用薬で症状を落ち着かせるのと同時に保湿も心がけて。また、アトピーの体質が赤ちゃんに遺伝する可能性はありますが、症状は出るかどうかは分かりません。赤ちゃんは出生後すぐからスキンケアを始め、肌を健やかに保つようにしてあげましょう。

構成・文/
秋田恭子
イラスト/
山村真代