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【医師監修】妊娠中の体重管理できてる?妊婦の痩せすぎ・太りすぎのリスクを知ろう!

つわりがおさまって体調が安定してくると、突然食べることが楽しくなってしまって体重が増えだした、という人は少なくありません。でも妊娠中に体重が増えすぎるのはNG。かと言ってやせすぎもダメなのです。ましてやダイエットなんて…。妊婦さんの体重の増え方の目安について、詳しく解説します。

監修医師

宗田 聡先生

広尾レディース院長
茨城県立医療大学客員教授

医学博士。日本産科婦人科学会認定医・指導医。臨床遺伝学認定医・指導医。筑波大学卒業後、筑波大学講師として臨床・研究・教育に従事。その後、米国ニューイングランドメディカルセンター(NEMC)遺伝医学特別研究員、茨城県周産期センター長(筑波大学産婦人科臨床准教授兼任)などを経て、2012年より広尾レディース院長。東京慈恵会医科大学非常勤講師、筑波大大学院非常勤講師などもつとめる。

妊娠中は「やせ」も「太りすぎ」もNG

妊娠中は適度に少しずつ増えていくことが大切

妊婦健診などで医師や助産師、栄養士から話題に上ることも多い、体重。医師が妊婦さんに心がけて欲しいのは「やせすぎず、太りすぎず。適度に増えていってほしい」ということです。

妊娠初期はつわりなどで食べられず、なかにはやせてしまう人もいるかもしれませんが、この時期はまだ赤ちゃんも小さいので大丈夫。やがておさまって食欲が戻れば、出産直前の妊娠10カ月を迎えるまでに少しずつ体重が増えていくことが理想です。体重はおなかの赤ちゃんの成長に伴って増えていくことが大切。赤ちゃんの成長を超えて、ママ自身の脂肪が増えて太ってしまうのはあまりよくありません。

やせていると赤ちゃんの発育に影響が

ママが妊娠中に体重が増えず自分自身がやせてしまうことによる影響の一つに、赤ちゃんが小さく生まれる低出生体重児があります。おなかの赤ちゃんに十分な栄養がいきわたっていないため、赤ちゃんが標準的な体重に満たず小さく生まれてしまうことです。2500g未満の赤ちゃんを一般に低出生体重児と呼んでいます。

近年の研究では、母親の胎内にいるときに、低栄養の環境にさらされた赤ちゃんは、出生後の幼児期に肥満、さらに成人した後に高血圧や糖尿病、動脈硬化、高脂血症などの生活習慣病になるリスクが高まることが分かってきました。

最近ではダイエット志向の高まりもあって、妊娠中に太りたくないというママもいるようですが、適正な体重増加は赤ちゃんの健やかな成長に大切なことなのです。

コラム

「やせ」で上昇するリスク例

・低出生体重児(出生時の体重が2500g未満の赤ちゃん)
・胎児発育の遅れ
・切迫早産、早産
・貧血

太りすぎると妊娠中や分娩時にリスクが

妊娠中に太りすぎると、出産時のリスクが上昇することがあります。例えば、おなかの赤ちゃんが大きくなりすぎて難産傾向に。微弱陣痛になり、お産が長引くこともあります。その他、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病といった難しい合併症のリスクも高まります。こうした合併症では巨大児や低出生体重児が生まれる可能性もあります。

コラム

「太りすぎ」で上昇するリスク例

・妊娠糖尿病
・巨大児
・低出生体重児
・帝王切開
・妊娠高血圧症候群
・難産

臨月までにどの程度まで増えるべきか知っておこう

自分がどのくらい増えるのが望ましいか、妊娠前の体格によって知ろう

「小さく生んで大きく育てる」という言葉が盛んに言われていた頃もありましたが、今では考え方が変わっています。前述のように、出生体重が低いと将来的に生活習慣病を招くなどの研究報告があったからです。では自分が妊娠10カ月までに合計でどのくらい増やすのを目標とすれば良いのでしょうか。

実は、適切な体重増加量は妊娠前の体格が「やせ」「標準」「肥満」のどれに該当するかによって異なります。

「妊娠前のBMI」を計算してみよう

自分の妊娠前の体格が「やせ」「標準」「肥満」なのかは、妊娠前の身長と体重で計算した「妊娠前のBMI」で分かります。BMIとは、Body Mass Indexの頭文字をとったもので、肥満かどうかの判定に用いられる数値です。

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例)身長160㎝、体重50kgなら
50kg÷1.6m÷1.6m=19.5 BMIは19.5
となります。

「標準」の人なら、妊娠前からプラス7~12kg増やす

次に、算出した妊娠前のBMIから、自分が「やせ」「標準」「太り」のどれに当てはまるか判定します。それによって、妊娠中の適正な体重増加の範囲を知ることができます。

 

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例を挙げると、体重50㎏でBMIが「標準」の人であれば、臨月までに7~12kg増加するのが望ましく、出産までに体重を57~62kgの間までに増えるよう管理する、ということになります。

目指したいのは「ゆるやかな体重増加」

急に減らす、急に増やす…は、NGです

臨月までにトータルでどこまで増やすかがわかったところで、体重の増え方についても注意が必要です。急に減らす、急に増やす…は、NG。妊娠前の体格が「やせ」か「標準」だった妊婦さんの場合は、週あたり0.3~0.5kg、ひと月あたりでは1.2~2kg増が良いとされています。ゆるやかに少しずつ体重が増えていくのが望ましいのです。

増え方をゆるやかにするには?

まず、食材の選び方や食べ方、食べる時間帯を工夫するのがおすすめです。食材は、野菜や果物、きのこ類、海藻類などの食物繊維を豊富に含むものを多めに取り入れましょう。満腹感を感じやすく血糖値の上昇をゆるやかにする効果もあります。

また食べ過ぎを防ぐために、ゆっくりよく噛んで食べるようにしましょう。食べているうちに満腹感を感じられてたくさん食べる必要がなくなります。

さらに夕食は軽めに、寝る3時間前までに済ませるのもおすすめです。食べてすぐ就寝すると血糖値が高い状態で就寝し、活動による消費が少ないので余ったエネルギーは蓄えられ、やがて脂肪になります。

こうした食習慣を続けて、理想的な体重増加を目指しましょう。おなかの赤ちゃんが着実に育っていることを実感しつつ、毎日の生活のなかでできることを心がけていきましょう。

この記事のまとめ

太りすぎずやせすぎず、ゆるやかに体重増加を

妊娠中の体重は、ゆるやかに増加していくというのが正解。「やせ」も「太りすぎ」も妊娠・出産のさまざまなトラブルのリスクを上げてしまいます。また、うっかり食べすぎてしまい体重がオーバーしたからと言って、ダイエットはNG。毎日の食生活に注意をして、赤ちゃんの健やかな成長のために、適切な体重増加を心がけましょう。

構成・文/
秋田恭子
イラスト/
山村真代