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【医師監修】妊婦さんとペットの暮らし。気を付けることは?

今まで飼ってきた犬や猫などのペット。妊娠してもこれまで通り飼い続けて大丈夫なのか気になるもの。犬、猫、注意が必要なのはどちらなのか、飼ってもOKだったとして、飼い方で注意することはないかなど、詳しく解説します。

監修医師

宗田 聡先生

広尾レディース院長
茨城県立医療大学客員教授

医学博士。日本産科婦人科学会認定医・指導医。臨床遺伝学認定医・指導医。筑波大学卒業後、筑波大学講師として臨床・研究・教育に従事。その後、米国ニューイングランドメディカルセンター(NEMC)遺伝医学特別研究員、茨城県周産期センター長(筑波大学産婦人科臨床准教授兼任)などを経て、2012年より広尾レディース院長。東京慈恵会医科大学非常勤講師、筑波大大学院非常勤講師などもつとめる。

今まで飼っていたペットなら、もちろんOK

一緒に暮らした家族の一員。手放さなくて大丈夫

妊娠中もこれまでと同様、ペットを飼い続けてもいいのか、妊娠に悪い影響が出たりしないか気になりますよね。でも、結論から言えば、今まで飼っていたペットならば今後も飼い続けて大丈夫です。

何かに感染していても既に抗体を持っている可能性が

動物との接触で心配されるのは動物が持つ細菌やウイルスですが、多くの場合これまで飼っている間に抗体ができており、今後も一緒に暮らしても問題ないとされています。

妊婦さんが気を付けるべきは猫

トキソプラズマ症にご注意を

近頃はさまざまなペットがいるなかで、妊娠中にちょっとした注意をしておくほうがいいのは猫。「トキソプラズマ」という原虫によって猫の糞便に排出されるオーシストと呼ばれる一種の卵のようなものが、抗体を持っていない妊婦さんに初感染し、さらに、そこからおなかの赤ちゃんにも一部感染が起こると、先天性トキソプラズマ症という病気を引き起こすことがあります。

このため猫を飼っている妊婦さんは、一度トキソプラズマの抗体検査をしておくとよいでしょう。抗体がある人は、これまで通りで大丈夫。抗体がない場合妊娠中に初感染すると問題になるので、飼い猫は外に出さないようにします。外で生肉やネズミを捕食して感染してしまうのを防ぐためです。また猫のトイレの掃除は夫や家族にお願いしましょう。また飼い猫がオーシストを排出していないか、抗体があるかどうかを動物病院で検査しておくとさらに安心です。

ほかの猫の糞尿に汚染されている場所を避ける

さらに公園の砂場や庭など、ほかの猫が糞尿をしそうな場所にはなるべく立ち入らないようにしましょう。自分の庭などでガーデニングをする際には、迷いこんできたネコの糞尿に誤って触れる可能性があることからゴム手袋着用を徹底するようにしましょう。

ペットの飼い方の注意点

エサのやり方やトイレの掃除には注意

妊娠期間中の飼い方では気を付けるべきことがいくつかあります。

散歩は別として外に放し飼いにすることは避けましょう。また、細菌やウイルスが動物の口の中、爪にいる場合を考えて手でエサやおやつを与えた直後は必ず手洗いを徹底。また、自分が使っている箸やスプーンでペットにエサを与えることはやめましょう。

糞尿の掃除やにおい対策も

細菌やウイルスが糞尿に排出される可能性を考慮し、ペットのトイレ掃除は夫や家族にお願いして清潔に保ってもらうようにしましょう。

さらにつわりの時期はにおいにも敏感に。空気清浄機やペットに無害な消臭スプレーなどを利用してにおいをなくす、または減らせるように注意しましょう。また、犬・猫とも積極的にワクチン接種を行って、予防可能な感染症リスクを減らすようにしましょう。

この記事のまとめ

飼い方に注意して、飼い続けてOK

今まで家族の一員であったペットたち。妊娠を機に手放さなくてはならないのか心配になると思いますが、これまで飼ってきたペットなら今後も飼い続けて大丈夫。ただ、飼い方にはいくつか注意点があります。放し飼いはNG、手でのエサやりは必ず直後に手洗い。自分の箸やスプーンを使ったエサやりはNGです。妊娠中に注意すべきなのは猫ですが飼い猫だけでなく、外の猫にも注意するためにガーデニングや公園の砂場付近に行くときにはなるべく土に触らないようにしましょう。

構成・文/
秋田恭子
イラスト/
山村真代

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