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【医師監修】妊娠中のサプリメントとの付き合い方は?

おなかの赤ちゃんのため、普段よりもいっそう栄養に気を配りたい妊娠中。必要な栄養素がとれているか心配で、サプリメントを利用したいけど、飲んでもいいのか疑問に思うでしょう。妊娠中の体には、推奨されているサプリと、反対にとりすぎてはいけないサプリがあります。妊娠中のサプリとの付き合い方について、詳しく解説します。

医学博士

宗田 聡先生

広尾レディース院長
茨城県立医療大学客員教授

医学博士。日本産科婦人科学会認定医・指導医。臨床遺伝学認定医・指導医。筑波大学卒業後、筑波大学講師として臨床・研究・教育に従事。その後、米国ニューイングランドメディカルセンター(NEMC)遺伝医学特別研究員、茨城県周産期センター長(筑波大学産婦人科臨床准教授兼任)などを経て、2012年より広尾レディース院長。東京慈恵会医科大学非常勤講師、筑波大大学院非常勤講師などもつとめる。

栄養は食事からが基本。サプリは補助的に

栄養素は食品のほうがより複合的にとれる

近年では、栄養やビタミンをとる目的で、手軽なサプリメントを利用する人が増えてきました。サプリメントはパッケージに記載された1日の量を守って利用する限り問題はありません。しかし、大事な栄養やビタミンは、サプリメントではなく、食品でとるのが基本です。なぜなら1種類のサプリメントは通常数種類くらいのビタミンしか配合されていませんが、食品ならば1つの食材に多様な栄養素を含み、それらを複合的にとることができるからです。

食事のなかで効率よく栄養素をとっていく

また、栄養素は、単体でとるよりも、他の栄養素と組み合わせてとることで吸収率を上げたり、相乗効果を得たりすることが可能になるものがたくさんあります。

例を挙げると、鉄は、動物性たんぱく質と一緒にとるほうが吸収率は高くなります。ビタミンCはビタミンEと一緒にとると相乗効果が得られます。カルシウムはマグネシウムとのバランスが大切で両方必要です。

これらの組み合わせは、食事のなかで栄養素をとっていれば往々にして可能なのです。

妊婦さんに葉酸が必要とされる理由

赤ちゃんの重大な病気を予防する効果が

栄養は、食事からとるのが基本ですが、サプリメントで補ったほうが良い、とされているものもあります。それが葉酸です。水溶性のビタミンB群の一つで、最近の若い日本人女性では普段の食事からでは十分な葉酸をとっていないことが問題になっているからです。葉酸は赤血球の形成や胎児の正常な発育に必要な栄養素です。

この葉酸が、赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」という病気を予防する効果が期待されているのです。神経管という器官は、妊娠に気づいていないくらいのとても早い段階でできあがるため、できれば妊娠を計画したら、とり始めている状態が望ましいのです。

コラム

赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」とは?

精子と卵子が受精して、ヒトらしい形になる妊娠6週末までの間で、脳と脊椎の原形となる、神経管という組織ができるときに、上手くつながらない先天性異常で、無脳症・二分脊椎・髄膜瘤などの疾患として現れます。

食事からでは50%程度となってしまう葉酸

葉酸を多く含む食べ物は、枝豆や納豆、鶏レバー、焼きのりなど、色々とありますが、近年は妊娠可能な女性の日常の食事の偏食や洋食化によって、これらの食材が十分とられていないことが問題です。また食事からとれる葉酸は「ポリグルタミン葉酸」と言って、調理や消化の過程で失われ、摂取量の50%程度しか使われないことがわかっています。一方で、サプリメントで摂取した葉酸は、「モノグルタミン葉酸」と言って、食事でとるよりも利用効率が高いということで、確実に葉酸を摂取するためには、サプリメントの利用も推奨されています。

大事な「葉酸」だけどとり方や量に注意

葉酸は、妊娠したらとる、ではなく、妊娠前から服用開始するのがベター。神経管は、妊娠に気づかないこともある妊娠6週末には完成するためです。妊娠が成立する1カ月前以上前から服用しはじめておくことが良いとされるため、赤ちゃんが欲しいと思ったら、すぐに服用を開始しておくのがおすすめです。

また、1日の服用量を守ることも大切です。葉酸サプリはとればとるほどいい、というものではありません。1日あたり400㎍程度でOKで、上限は1000㎍を超えないようにします。現在妊婦さん向けに市販されているサプリなら、この基準は守られており、1日の量を守って服用すればOK。また、この上限1000㎍には、食事でとれる葉酸は考慮しなくて大丈夫です。

妊娠中にはとりすぎに注意するサプリも

いくつかのサプリの重複による過剰摂取に注意

妊娠中は、いくつかのサプリを一緒にとるのはやめたほうがいいでしょう。現代のサプリは、1つの栄養素だけが入っているように見えても、その多くが働きを高めるために数種類の栄養素が一緒に添加されています。複数のサプリを合わせてとると、思わぬものが1日の上限を超えてしまうことがあるため、サプリは1種類に留めていたほうが安心です。

例えば、ビタミンAは胎児の皮膚や粘膜の形成に必要な栄養素です。しかし、いくつかのマルチビタミン型サプリの重複によって、合計3,000μgRE/日を超えて摂取した場合、赤ちゃんに奇形が起こる可能性が指摘されています。

大豆イソフラボンもサプリはNG

そのほか、大豆イソフラボンのサプリも控えましょう。大豆イソフラボンは、体内で女性ホルモンと似た働きをするため、エストロゲンが大量に出ている妊娠中に摂取することはおすすめできません。

ただし、食品で大豆を食べることは全く問題ありません。豆製品は植物性たんぱく質や食物繊維を豊富に含み、積極的にとりたい食品です。

こうして見てきたように、妊娠中のサプリとの付き合い方にはちょっとした注意点があります。もしも飲みたいサプリがあれば、服用を始める前に主治医に見せてアドバイスをもらうと安心です。

この記事のまとめ

栄養は食事からが基本。でも葉酸は摂取を

妊娠中は普段以上に栄養がきちんととれているかに気を配る必要がありますが、サプリは注意が必要。栄養は食事からとるのが基本です。ただし、葉酸は、食事だけでなくサプリで補うことも推奨されています。またサプリは1日の容量を守って服用します。妊娠中に大量に摂取すると問題となるビタミンAや大豆イソフラボンのようなサプリがあるので、飲みたいサプリがあれば、主治医に見せて助言を得てから服用するのが安心です。

構成・文/
秋田恭子
イラスト/
山村真代