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【医師監修】妊婦が安心して通勤するには?

特に都市部の満員電車などでは押されたりぶつかったりしたらどうしようと、通勤を「怖い」と感じる妊婦さんも少なくありません。妊娠中でもラクに快適に安全に通勤するためにはどういう方法があるのか、利用できる制度やグッズはあるか、詳しく解説します。

医学博士

宗田 聡先生

広尾レディース院長
茨城県立医療大学客員教授

医学博士。日本産科婦人科学会認定医・指導医。臨床遺伝学認定医・指導医。筑波大学卒業後、筑波大学講師として臨床・研究・教育に従事。その後、米国ニューイングランドメディカルセンター(NEMC)遺伝医学特別研究員、茨城県周産期センター長(筑波大学産婦人科臨床准教授兼任)などを経て、2012年より広尾レディース院長。東京慈恵会医科大学非常勤講師、筑波大大学院非常勤講師などもつとめる。

働く妊婦の通勤をラクにするための法制度

妊娠中の体に長時間の満員電車は大きな負担

満員電車は「仕事そのものよりつらい!」と感じてしまうこともあります。時には恐怖や不安も感じることもあるでしょう。通勤ラッシュによる苦痛はつわりの悪化やストレスの増大などをまねき、妊娠中の体には大きな負担がかかるものです。働く妊婦さんが通勤を今よりラクにできる制度や方法を積極的に利用しましょう。

時差出勤ができれば負担は軽減

主治医から妊婦さんに対してラッシュアワーの混雑を避けて通勤する「通勤緩和」の指導があった場合、事業主はその指導が守れるように措置をとることが法律で定められています。

主治医の指導内容は母子健康手帳にもついている「母性健康管理指導事項連絡カード(通称:母健連絡カード)」を利用すると的確に伝わります。具体的な通勤緩和の措置としては、時差出勤を認めたり、通勤手段をより混雑の少ない方法に認めたりすることが該当します。電車などの公共交通機関を使っての通勤ばかりでなく自家用車による通勤も通勤緩和措置の対象となります。

通勤服や靴、グッズで通勤時間を快適に

マタニティマークは妊娠初期こそつけよう

自分自身でも少しでも通勤をラクにする対策をとりましょう。

まずマタニティマークをまだ入手していないなら早めに手に入れましょう。最近ではずいぶん世間一般に認知が広がり、見かけたら妊婦さんに席を譲ろうとする人が増えてきました。おなかが目立たない妊娠初期こそ本領を発揮するマタニティマーク。体調が安定せず、つわりでつらい時期に妊婦であることが周囲にアピールできるので、座席を譲ってくれる人に出会うことも可能となります。早めに積極的に活用しましょう。母子手帳を受け取るときに多くの自治体が配布していますが、公共交通機関の窓口でももらうことができます。

快適に過ごせるゆったりとした服装で

服装はおなかや胸元を締め付けないものを選びましょう。夏場であれば通気性も考慮された快適に過ごせる素材を選びましょう。また、早めにマタニティウエアにチェンジするとおなか回りがゆったりして安心感が増し、快適です。今は仕事着にふさわしいデザインも多く出回っているので積極的に取り入れてみましょう。

靴はフラットなもので安全に

例えば、靴はかかとがフラットなものが足腰に負担がかからず楽。これからおなかが大きくなればなおさらです。階段などでの転倒は妊娠中の体にとって最も避けたいことなので、運動靴に変更ができるようならより安心です。

同様にバッグも手さげタイプよりは肩にかけられるタイプを。可能であればリュックタイプ(デイパック)を取り入れると楽なうえに、転倒予防にも役立ちます。

通勤による感染リスクについての「怖い」を緩和!

ラッシュアワーを避けて不安を軽減

特に最近では感染症の心配から満員電車での通勤を以前よりストレスに感じる妊婦さんもいるでしょう。対策としては、混雑をどのように避けるかが肝心になります。

自分でもすぐにできるのは公共交通機関の混雑を回避するアプリを導入することです。「電車混雑」などのキーワードで検索すればいくつか出てきますので、使いやすいものを選んで試してみましょう。

また、どうしても満員電車が不可避の場合、マタニティマークは見えなければ意味がありません。最近ではストラップ型、缶バッジ型、キーホルダー型などさまざまなタイプがあります。いくつかのタイプを入手してその日の服装に合わせて目につきやすいところにつけるようにしましょう。

テレワークへの切り替えもぜひ検討を

さらに、勤務先が対応していれば最近増えつつあるテレワークへの切り替えも検討しましょう。通勤時のストレスや恐怖心をなくし感染症のリスクも低減させることができます。

この場合も主治医に書いてもらう「母健連絡カード」をベースとすれば指導内容が的確に伝わりますので主治医に相談したうえで、上司と妊娠中の働き方についてよく話し合ってみましょう。

この記事のまとめ

通勤の「怖い」をなくして安心・安全に働こう

ラッシュアワーを避けてなるべく安全に通勤するためには主治医と相談のうえ母健連絡カードを利用し、時差出勤させてもらえるよう職場にお願いすることが肝心です。またなるべく快適で安全な服装やバッグ、靴などを使うこともおすすめです。マタニティマークは早期に入手して、効果的に利用しましょう。

構成・文/
秋田恭子
イラスト/
山村真代