【助産師監修】希望の出産に向けて、バースプランを立てよう
出産が近づくと、自分のお産についてどうありたいか、考えておくことが大切です。「こんなときはこうしてほしい」と具体的に考えることによって、例えその通りにならなくても、納得できるお産につながるからです。あなたも、出産の計画=「バースプラン」を立てておきましょう。
助産師
鈴木恵子先生
日本赤十字社医療センター
看護部看護師長
日本赤十字看護大学卒業。助産師としての経験は20年以上。産婦人科で数多くの妊婦に寄り添ってきた、出産のスペシャリスト。今まで立ち会った出産はのべ1000人以上。妊娠期、分娩期、産後ケアとそれぞれの現場での経験を経て、現在は看護師長を務める。
バースプランが必要な理由
自分らしいお産は何かを考え、真剣に向き合うことが自信につながる
バースプランとは、出産直前から退院するまでをどのように過ごしたいか、どんなお産にしたいかを妊婦本人が考えて記すリストのことです。バースプランを立てるうえで一番大切なのは、「どのような気持ちで赤ちゃんを迎えるか」を考えること。まずは「お産のときにどのように過ごしたいか」をイメージしてみましょう。具体的に思いつかないときは、キーワードだけでも構いません。それをもとに医師や助産師と相談し、自分のお産プランを具体的に考えていけばOKです。予定通りにいくことばかりではありませんが、赤ちゃんを産むことに真剣に向き合ってきたことで「自分はがんばった!」と自分自身に自信が持てます。
妊娠中期に考えておきたいこと
出産のイメージを膨らませよう
妊娠中期になったら、どんなお産にしたいかをノートに書き出したり、以下のリストにチェックを付けてみましょう。それをもとにお産に向けて今からできる心と体の準備を始めます。些細なことでも気がかりがあれば、医師や助産師にあらかじめ相談しておくと安心です。
出産に向けて
どんなお産にしたい?
- 赤ちゃんと一緒にがんばりたい
- リラックスした環境で産みたい
- なるべく明るく楽しい雰囲気で赤ちゃんを迎えてあげたい(好きな音楽をかける、上の子も立ち合うなど)
- 可能な限り自然の力でがんばりたい
- アットホームなお産にしたい
- ひとりで集中したい
- その他具体的な内容( )
今、心や体にはどんな変化がある?
- 母になる自覚の芽生え
- 体調の変化
- 体質の変化
- 体重の変化
- おなかの膨らみが目立つ
- 妊娠線が出始める
- 胎動を感じる
- その他具体的な内容( )
お産に対して不安なことや聞きたいことは?
- お産の流れについて
- お産の方法について
- 分娩中の緊急対応(吸引分娩や帝王切開など)について
- 陣痛時の過ごし方について
- 陣痛の乗り切り方について
- 立ち合いについて
- その他具体的な内容( )
妊娠後期に考えておきたいこと
陣痛から退院後まで具体的に考えてみよう
出産予定日が近づいてきたら、お産に向けて準備してきたことを振り返りながら、具体的な過ごし方をイメージしましょう。以下のチェックリストを参考にすると、考えるべきポイントがわかりやすいです。赤ちゃんとの過ごし方は、入院中だけでなく、退院後のことまでプランニングしておくと万全です。
陣痛のとき
希望する過ごし方は?
- 好きな音楽をかけたい
- 静かに過ごしたい
- アロマを焚きたい
- 部屋をあまり移動したくない
- 部屋の明かりは暗めがいい
- 動けるうちは自由に動き回りたい
- その他具体的な内容( )
夫や家族にお願いしたいことは?
- 腰をさすってほしい
- 常に立ち合っていてほしい
- マッサージ・いきみ逃しなどを手伝ってほしい
- 呼吸をリードしてほしい
- 飲物の用意などを手伝ってほしい
- その他具体的な内容( )
助産師さんにお願いしたいことは?
- お産の進行状況を教えてほしい
- 夫にサポート方法をアドバイスしてほしい
- 体を触る前に声をかけてほしい
- できるだけついていてほしい
- しばらく来られないときは事前に伝えてほしい
- その他具体的な内容( )
分娩のとき
分娩時に希望することは?
- 自由な体勢で産みたい
- 無痛分娩で産みたい
- なるべく自然の力で産みたい
- 出産の様子をビデオ撮影したい
- 赤ちゃんが生まれたらすぐに抱っこしたい
- すぐに赤ちゃんに母乳を飲ませたい
- 赤ちゃんと家族みんなで写真を撮りたい
- その他具体的な内容( )
夫や家族にお願いしたいことは?
- 分娩に立ち合ってほしい
- 分娩時は外にいてほしい
- 立ち合いの場合はなるべく頭側にいてほしい
- 赤ちゃんの産声を撮っておいてほしい
- 写真やビデオを撮ってほしい
- 手を握って応援してほしい
- その他具体的な内容( )
助産師さん、お医者さんにお願いしたいことは?
- 会陰切開を行う場合は説明してほしい
- いきみのタイミングや方法をアドバイスしてほしい
- 呼吸の仕方をアドバイスしてほしい
- 励ましてほしい
- カンガルーケア(分娩後すぐにママの胸元で赤ちゃんを抱っこすること)を行いたい
- 胎盤をみせてほしい
- その他具体的な内容( )
産後や入院中の
過ごし方
産後はどんな風に過ごしたい?
- 母子同室にしたい
- 個室にしたい
- できるだけ家族と過ごしたい
- 出産の様子をビデオ撮影したい
- お見舞いは断り赤ちゃんとの時間をとりたい
- 初乳を飲ませたい
- 退院後は、実家で過ごしサポートをお願いしたい
- その他具体的な内容( )
病院にお願いしたいことは?
- シャワー時や夜は赤ちゃんを預かってほしい
- 母乳指導をしっかりと行ってほしい
- 赤ちゃんの様子に応じて粉ミルクを飲ませたい
- 沐浴指導を夫と一緒に参加させてほしい
- 病室前に氏名を掲示しないでほしい
- その他具体的な内容( )
この記事のまとめ
バースプランを通して、心の準備を
バースプランのチェックリストを記入することで、出産に向けた心の準備も徐々に整ってきます。例え何度経験しても、出産に不安がない妊婦さんはいません。今抱えている不安も含めて、周囲に伝えればOK。医師や助産師が豊富な経験で、あなたを支えてくれるはず。
- 構成・文/
- 稲垣幸子
- イラスト/
- itabamoe