【助産師監修】【母親学級・両親学級特集】妊娠中の妻へのサポート、プレパパはどうすればいい?
~全4回の連載特集でお届けします~
【プレパパ レッスン1】
第1回目は男性も知っておきたい、妊婦さんの体の変化についてです。妊娠するとすぐ、女性の体は赤ちゃんを育み育てるための準備がスタートします。つわりやホルモンの変化などで心も体も不安定に。そんな時こそ妻の変化を知り、パパがサポートしてあげることが大切。では、どんなことをすればいいのか、解説していきます。
監修医師
浅井貴子先生
フリー助産師
赤ちゃん訪問指導歴約30年のキャリアを持つフリー助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、育児のアドバイスや母乳育児指導を実施。赤ちゃんのボディケアを始め、ベビーマッサージやマタニティエクササイズのインストラクターを始め、助産師としての知識を活かした産後の会陰ケア、おっぱいケア、ママのためのスキンケア、産後のメンタルケアなど、妊婦さんや産後ママ向けのセミナー講師を多数務める。
妊娠したらすぐに女性の体は変化していきます
つわりの辛さをイメージしてみて
妊娠したら起こる妻の「つわり」。これは赤ちゃんを育てる準備がすでに始まっている証です。吐き気、胃のムカつき、嘔吐などのほか、めまいやイライラ、頭痛や肩こり、さらには便秘など体の不調に始まり、においに敏感になったり、食べ続けていないと落ち着かないなど、ひと言で「つわり」と言っても症状の現れ方はさまざまで個人差も大きいものです。
男性にとってつわりを理解するのは難しいのですが、「ずっと乗り物酔いや二日酔いが続いているような感じ」と例えると、そのつらさがイメージできるでしょう。
つわりはなぜ起こる?いつ安定する?
つわりの原因には諸説あり、特定はされていません。一説によると胎盤になる繊毛から分泌される妊娠ホルモンが消化器系の働きに影響したり、急激なホルモンの増加に母体が追い付いていけなくなるからと言われることもあります。また、赤ちゃんは父親由来の遺伝子を半分持っているため、母体が異物と認識することでつわりが引き起こされるという説もあります。いずれにしてもつわりの原因はまだ特定されていませんが、12~16週頃にはしだいに落ち着いてきて体調も安定してきます。
妻をサポートするためにパパができること
特に初期は妊婦さんの見た目の変化はあまりないものですが、体の内側では変化はすでに始まっています。そのことをパパも知り妻をサポートすることが大切です。
■妻にあれこれアドバイスしすぎない
ネットや育児書で情報を得るのはOKなのですが、情報に振り回されて自己判断や決めつけをするパパも増えているようです。さらに得た情報を妻に対してあれこれとアドバイスするのは、あまりおすすめできません。
■ほかの妊婦さんと体調を比べない
「職場の妊婦さんは普通に働いているよ」など、他人と妻を比べないこと。症状やつらさは千差万別です。
■親や周囲からの壁になろう
例えば「私の時はこうだった」「つわりにはこれがいい」など、母親や周囲がいろいろ言ってくることも考えられますが、それに対して妊婦さんはなかなか反論しにくいものです。そんな時は「今はそっとしておいてあげて」などと、パパが壁となって妻を守ってあげましょう。
■妻がしてほしいことを聞く
家事を手伝ってほしいのか、話を聞いてほしいのか妻が周囲に求めることは人それぞれ。妻の声に耳を傾けましょう。
おなかが大きくなることで体にも負担がかかります
おなかの大きさの変化
赤ちゃんが大きくなるにつれ、子宮の中の羊水も血液の量も増えます。妊娠初期から前へとせり出し始め、中期には膨らみがわかるように。さらに後期妊婦さんになると、その腹囲は約100㎝近くまでになります。体の重心も変化し、おなかをかばう動作で腰への負担も大きくなり、腰痛が生じたり血流の変化で肩こりやむくみなどのマイナートラブルも起こりやすくなります。
妻にしてあげるとよいマッサージ
張りや痛み、コリなどでこわばった妻の体は、パパがほぐしてあげましょう。マッサージやおなかを軽くさすってあげるなど、コリをほぐすのはもちろんですが、ボディタッチで夫婦のスキンシップをはかることも心の安定につながります。
■お尻ほぐし
妊婦さんは足を延ばして座り、重心を片足にのせ片側のお尻を少し持ち上げます。パパは手のひらでヒップ全体を圧迫しながら優しくほぐしてあげましょう。
■腰回り
前かがみの姿勢を取り、パパが背中から腰回りを優しくマッサージ。妊婦さんが前に倒れ込みすぎないよう椅子を支えにするようにもたれかかると体勢が安定します。
■ふくらはぎ
妊婦さんは膝を立てて座り、対面して座ったパパが両足で相手の足首を軽く挟んで固定。揺らし、さすり、もみ、軽くたたく、の順でほぐしていきましょう。
■足裏
妊婦さんはおなかを圧迫しないように四つん這いの体勢を取ります。足裏をパパが青竹踏みのように踏んで、足裏から血流を促進していきます。
この記事のまとめ
パパは妻の伴走者。上手に寄り添って
妊婦さんの体調や心は変化していきますが、そのつらさも赤ちゃんの成長だと感じながらお産を迎えるものです。男性にとっては実感がわきにくいかもしれませんが妊娠中から産後まで体の変化や気がかりなどを知り、サポートすることで信頼や愛情をふかめていきましょう。
次回のレッスン2「出産時の妻へのサポート、プレパパはどうすればいい?」に続きます。
- 構成・文/
- 中島典子
- イラスト/
- タオカミカ